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魯山人のこと

北大路魯山人の名前を聞かれたことのある方は多いと思います。漫画「美味しんぼ」に出てくる海原雄山のモデルとも言われ、破天荒な一生を送った美食家、陶芸家、画家でもあるという多芸な方でした。僕は魯山人の器が大好きで、葉山にある魯山人ゆかりの陶器屋さんで写しを買ったり、彼が陶芸を習ったという石川県山代温泉にある須田青華さんにも何度もお邪魔して陶器を購入したりしています。

魯山人の器で素晴らしいと思うのは、器単体で見ても素晴らしいのですが、料理を載せると俄然輝きを増して、器も料理も引き立つように見えることです。僕は陶器についてそんなに詳しいわけではありませんが、やはり同時代の他の陶芸作家の作品と比べても、魯山人の器は一味も二味も違うように感じます。

実は陶器の世界では魯山人は必ずしも高く評価されているわけではなく「魂がない」と酷評する人もいたそうですが、僕にとってはいつか必ず手に入れてみたい究極の逸品です。歴史のある陶器屋さんなどでたまに本物が売っていたりしますが、本物は小皿でも100万円単位になりますので、そうそう手が出ませんが。。

この「魯山人・器と料理」は茶懐石「辻留」の三代目主人、辻義一さんが魯山人のもとで修業した時代を振り返り、思い出や料理、器に対する魯山人の考え方などを著した本です。今の時代に生きていたらおそらく徹底的に批判されたであろうその破天荒な生きざまと、見事なまでに計算されたような器の美しさとのギャップがより一層興味をかき立てます。

美術館などで見る魯山人の陶器はもちろん食物が載っていません。この本のように料理を載せた状態で見てこそ、魯山人作品の真価が分かると思います。陶器が好きな方にはお勧めの一冊です。

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