自走人材と非自走人材
コロナ禍に日本全体が巻き込まれてから早くも10カ月、企業も個人も働き方や生活の仕方を根本から見直す必要に迫られ、実際にあらゆる側面で変化が生じているのはご承知の通りです。僕たちの仕事で言うと、企業サイドから人事制度や処遇のあり方を見直したいというご要望がかつてなく増えています。いわゆるジョブ型の人事制度を導入したいという話もその一環です。
そんな中、人事の方々と話していて最近話題になることが多いのが、社員個人個人が「自走人材」なのかそうでないのかが、非常にはっきりしてきた、というお話です。リモートワーク、在宅ワークが進む中で、指示されずとも自ら動いて成果をあげる社員と、上司の目が届かないのを良いことに仕事をしている振りをするだけで、あまりパフォーマンスの上がらない社員とが明確に分かってきてしまった、ということです。これは階層に関わらない話で、管理職クラスでも非自走人材がいることも多い、と。
会社で机を並べて常に指示をしてコミュニケーションを取ったり、会議に同席して個人の動きや反応を目の当たりに出来る状況とは違い、ウエブ経由での仕事のやりとりだとどうしても細かい表情や本人のやる気といったことは分かりにくいものです。しかし短期的にはごまかせても、中長期にわたって観察すると、当然仕事の成果やスピードで実力が露呈してしまうのです。
興味深いのは、コロナ前の状況ではハイパフォーマーだと思われていた人材が意外と非自走人材だと認定されてしまったり、逆にこれまであまり評価されていなかった人材が、コロナ下では極めて高いパフォーマンスを発揮する自走人材ということが判明した、というケースもかなり多いことです。自ら課題を設定し、指示されずともどんどん仕事を進めて周囲を巻き込んで成果をあげていく社員が、なぜこれまで評価されてこなかったのかということが問題視され、過去の人事評価や育成のあり方を根本的に見直さないといけない、という話が増えているのです。
その意味では、コロナ禍は迷惑な話ではありますが、人事的観点から見ると新たな発見や新しい気づきを与えてくれたとも言えます。どのような環境にあっても自発的に仕事を推進できる、本当の意味での自走人材を活かして厳しい環境下でも成長出来る企業体を創って行きたいものですね。
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