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今でもクリスマスはトラウマです

この季節になると、街がライトアップされあちこちに明るいイルミネ―ションの輝きが映し出されます。デパートのショーウィンドウにはクリスマスのデコレーションが飾られ、歩く人もなんだか賑やかで華やいだ雰囲気になります。今年はコロナで抑制気味とはいえ、やはり銀座などを歩くと楽しげな雰囲気で心が浮き立つ人も多いことでしょう。

営業マンをしていた頃、10月から12月の三ヶ月の目標が一年で一番重く、この季節は本当に大変でした。バブル崩壊後、どんどん悪化する景気のなか、重い目標と重い鞄を抱え、凍えそうなビル風が吹く西新宿の高層ビル街を、とぼとぼと歩いていたことを思い出します(今と違ってネットなどほぼ無い時代、広告の営業は重い見本誌がつきものでした)。達成できそうもない目標、受注できそうもないお客さんの状況をどうやって上司に伝えるか、道行く人たちが楽しそうにすればするほど、僕はへこたれそうになっていました。自分で自分を憐れむほど情けないことはありませんが、自分自身で悪循環に陥っていました。

今でもこの季節になると、あの頃のヘタレな自分を思い出して情けない気持ちになります。と同時に、どやしつけてしばき倒したくなります。寒さがなんだ、重さがなんだ。重い目標、上等じゃ。やってやろうじゃないか。そう思うことでしか道は拓けない。そう思えるようになったのは、独立して苦労してからのことですし、世の中で本当に苦労している人たちを知ってからです。

今年はさすがに無理ですが昨年まで、毎年この時期は社員旅行でビーチリゾートに行っていました。ある年のクリスマス時期にプーケットに行ったのですが、そこで知り合った現地のガイドさんは、その二年前に起きたスマトラ島沖地震で保有車両をすべて失い、ゼロから出直すべく働いている元レンタカー会社の経営者でした。僕の苦労など苦労のうちに入らない。生きてるだけでもめっけもの。そう感じることが出来たのは、きっと僕へのクリスマスプレゼントだったのでしょう。

ある意味、今でもクリスマスはトラウマです。情けなかった自分を思い出し、恥ずかしくなります。でも何度でもやり直そう、まだまだ頑張ろうと思うきっかけになる季節でもあるのです。みなさんに素敵なクリスマスがやって来ますように。

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