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管理職任期制について

つい先日、大阪のねじの専門商社に勤務する90歳の玉置泰子さんという女性が、「世界最高齢総務部員」としてギネス世界記録に認定されたという記事がありました。なんと勤続64年ということですが今でもバリバリの現役、総務部長付課長というポジションでパソコンやスマホを使いこなし、会社に貢献しておられるそうです。多くの会社員が再雇用を含めても65歳で定年退職していることを考えると、さらに25年以上も働いておられるとは頭が下がるの一言です。

このケースではご本人の努力、エネルギーが素晴らしいことはもちろん、会社の組織文化や周囲の理解が支えとなって実現出来ていることは間違いありません。レアケースとはいえ、こういった事例があることには勇気が湧いてきます。

一方、世の中の企業では役職定年制が設けられるケースが増えて来ており、例えば55歳になると執行役員になっている方を除いてすべての役職から外されることになっていたりします。確かにベテランの方をポストオフすることでポジションを空け、若手や後進に道を開くという意味では組織的に意義があることは間違いありません。

しかしながら実際には、まだまだ力量を発揮できる方がポストを外されてモチベーションが下がってしまったり、能力も意識も不十分な方がポストに就くことで生産性が下がってしまったり、マイナス面が多々あることも事実です。

そこで最近では新たな取り組みとして、「管理職(役職)任期制」を設けることをお勧めし、実際に導入されるケースが増えて来ました。いわゆる課長職、部長職というポストについて、取締役と同じように2年から3年、最長5年程度の任期を設け、その任期が終わる際には再度任用するかどうか、本人が希望するかどうかを審議するというものです。

この制度を導入すると同時に役職定年制を廃止し、年齢に関係なく本人の能力と実績、意欲次第で任用が出来るようにするケースがほとんどです。もちろんこの制度を導入しても、役職を解かれる方のモチベーションが下がってしまうリスクは残ります。しかし「年齢」という、本人の努力ではどうしようもない要因で役職を解かれるよりは納得感があるのではないでしょうか。

また女性の活躍を推進するという観点からも、「ずっと管理職をやるのはしんどいが、親が元気な今のうちにチャレンジしてみたい」「子供が受験生になるまでの間なら管理職をやってみたい」といったケースに柔軟に対応出来る仕組みでもあります。特に日本企業で働く女性の場合、会社にいる限りずっと管理職の責任を負わなければならないとなると、精神的にも肉体的にも負担が大きすぎるということで任用を辞退するケースが生じています。任期制を導入すれば、これも避けることが可能です。

私は、これからの人事戦略のキーワードは「柔軟性」と「機動力」だと考えています。管理職任期制はこれを実現する重要な要素の一つだと思います。ぜひ導入することを考えてみられてはいかがでしょうか。

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ベリタス・コンサルティング(株)代表取締役。東京生まれ広島育ち。東京大学法学部卒業後、(株)リクルート入社。’00年にベリタス・コンサルティング(株)設立。大学ラグビー部でのポジションはフロントロー。座右の銘は「鶏口牛後」。www.veritas-consulting.co.jp