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【シナリオ】年の差恋愛の何が悪いんだろうって話。

ーはじめにー
年の差だけじゃなく、色んな形の恋愛がある。
なぜ自分が体験したもの以外の恋愛を、認めない人がいるんだろう。共感できる方に読んで欲しい。

〇大学の教室 昼休み
20人も入らない狭い教室内。
ダンス部4年の3人は、隣合わず各々バラバラに座る。
琴は無心でパンを食べ、栞はサンドイッチ食べながらスマホをいじっている。
色音はスマホの画面を一生懸命見ている。
他には誰もいない。

色音「ねぇこれは?」
栞「ん?」
色音「今送った。」

栞と琴のLINE着信音が鳴る。

栞「…あ、可愛い。」
色音「ね。値段も安いしさ、レース生地で可愛いし裾も長い。」
栞「ターンした時に映えそうだよね。」
色音「もうこれでいいんじゃないかな?衣装。後輩も私たちに任せてくれてんだよね?」
栞「いんじゃね?もう。理子ぴと凪もいいって言うでしょ。」
色音「…こっちゃんはー?」

琴、ただパンを食べ続ける。

色音「まだだねー。」
栞「もうどれくらいたった?」
色音「(琴が)食べ始めてから?」
栞「うん。」
色音「…30分くらい?」
栞「チョコチップスティックパン1本30分で食べ終われない輩いるのウケるな。」
色音「もはや食べてないかも。」

色音、琴の行動を実況し始める。

色音「(琴の動きを見ながら)ゆっくりパンを口に運び、口をほんの少し開け、…5mmかじる。もぐもぐ。ゴクリ。瞬き。」
栞「5ミリは食べた内に入らねーだろ5ミリは!おい琴!」
色音「ああちょっとシオ!」

栞、琴の前の席に座り、体を琴の方に向ける。

栞「琴ー!!」
琴「…。」
栞「…(デコピン)」
琴「いっ!!!!(おでこを手で抑える)たぁぁぁ…。」
栞「やっと起きた。」
琴「爪!ネイルしてるでしょ!」
栞「あ。」
琴「痛ああネイルパーツでデコピンすなぁぁ、人死ぬぅぅ。」
栞「ご、ごめんごめん。」
色音「こっちゃん、パン美味しい?」
琴「パン?…あ、パン食べてたんだ私。」
栞「おいおい大丈夫かよ。」
琴「ごめんごめん。いやー、やっぱ思った以上に気にしてるみたいで。」
色音「…さっきの?」
琴「うん。」
栞「まーそりゃ気にするよなー。気にしないでって方がおかしいよな。」
琴「…でもまぁ、世間的にはそれが当たり前だもんね。そりゃそうだよね。」

色音「…世間的ってさ、言葉って難しいよね。」
琴「…。」
栞「わかる。自分の周りの意見が世間的になる感じするよね。それ以外の場所では、違う世間的があるかもしれないのに。」
琴「…私この大学来てさ、凄いなって思って。私の今までの少数意見が、多数意見になってたから。ほんとにここに来てよかったって思ったの。ここでなら、堂々と年上が好きって言えたから。」
栞「オレもー。ここじゃないと言えないよ、自分がバイだなんて。」
琴「でもやっぱり、ここにも多数意見の人っているんだなって思ったな、今日。あはは。」

琴「やっぱ気持ち悪いよね、20歳とか離れてる人と付き合うのって…。」

色音「…私、こっちゃんが友達だからこういうこと言うとかじゃないんだけどさ。」
琴「ん?」
色音「…歳上って、普通に良くない?」
栞「わかる。俺も極端な話、年下か歳上かだったら、断然歳上だし、まぁ言うて俺も2歳上くらいとしか付き合ったことないけど、包容力とか、違うよね。」
色音「男女で精神年齢違うからね。」
栞「そうそう。」
色音「芸能人でも増えてるしね、年の差婚。」
琴「ありがとう。」
色音「だから本当に、気にすることないんだよ。」
琴「うん。…やっぱダンス部入ってよかった。」
栞「それはよかった。」

琴「ちょっと、トイレ行ってくるね。」
栞「うん。」

琴、部屋を退出する。

色音「…え、具体的にさ、なんて言われたの?こっちゃん。」
栞「…クラスのやつにね。「10以上離れた人と付き合うのはさすがにやばい。ヤバい奴。」って。」
色音「あー。」

色音「…まぁ、そう言う子もいるよね。」
栞「バチくそ偏見なんだけどな。」
色音「うーん。…偏見を取るのってさ、難しいよね」
栞「色音って親に言ったの?マッチングアプリのこと。」
色音「言えない言えない。シオは?彼女のこと。」
栞「それがさ、かなり勇気を出して言ったんだけどさ、」
色音「言ったんだ。」
栞「うん。でもねー、はぐらかされたんだよねぇー。聞かなかったふり?みたいな感じにされた。」
色音「それ辛くない?」
栞「うん。辛い。頑張って言ったのに。まぁ時間が経てばわかってくれるかなーとは思ってるんだけどさ。」
色音「仲良いもんね、親と。」
栞「まぁねー。」

栞「要するにさ、」
色音「うん。」
栞「人の気持ちを理解できるかってとこだと思うんだよね、偏見持ってる人と、そうでない人の違いって。」
色音「うん。偏見って要するに、自分の意見以外は受け入れない、みたいな感じとちょっと似てるもんね。」
色音「そうなんよ。いや、正直よ?正直俺だって、10以上歳上と今後付き合うか?って言われたら、正直わからんよ。てかほぼ無いんだろうなって思うよ。父親か?って思うし。」
色音「うん。」
栞「マッチングアプリもね?怖いし。」
色音「うん。」
栞「でも、それと同じように、俺が同性を好きなのも、理解できない人がいるわけで。」
色音「そうだね。」
栞「でしょ?」
色音「うん。でもそれが、それぞれの幸せだからねぇ。」
栞「そうなんだよねぇ。ただの多様性なんだよねぇ。」
色音「人の幸せを想像できないかー。」
栞「想像力にかけてる奴らなんだよきっと。」

色音「…こっちゃん、大丈夫かな。」
栞「まぁ、時間が経てば。あと、俺らと一緒にいれば平気じゃね?」
色音「だね。」


おしまい

ーあとがきー
私は、人の幸せを否定する人にはなりたくない。
「やばい」「無理」「ありえない」
何を思ったっていい。
けどそれを口にすることで、傷つく人がいることを忘れないで欲しい。

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