『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』17完結
「気になってたんだけど、それ誰にもらったの? 」
ぼくと工藤は、盗んだバイクで『遠く』を目指していた。二人乗りで交代で運転しながら真っ直ぐな道をひたすら走った。今はぼくが運転しているところだ。
時間帯のためか、世間で騒がれる人口減少のためか、ぼくたちが走る道路にぼくたち以外の車両はいなくて、真っ昼間から包帯だらけの中学生二人が大袈裟な荷物をぶら下げているにもかかわらず、関心を払う大人はいなかった。
工藤はぼくの首にきらめく赤い石を見ながら綺麗だねと言った。
「市波がくれたんだ