kobo-taro

koboとtaroで、エッセイ・小説・ゲーム制作過程を書いています。 twitter…

kobo-taro

koboとtaroで、エッセイ・小説・ゲーム制作過程を書いています。 twitter : https://twitter.com/taro_kobo (@taro_kobo)

マガジン

  • ヘベムニュラの落星

    オリジナルホラー小説『ヘベムニュラの落ち星』です。

  • 歴史に関するマガジン

    愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

  • ボードゲーム制作室

    ボードゲーム、つくっちゃいます。

  • Alive In the Coffin

  • kobo-taroのマスターピース

    いい感じに書き上がった記事を集めました。

最近の記事

RPGのサポート職、特にデバッファーって慣れたプレイヤーじゃないと難しいよねという話-後編

そもそもなぜ、敵はデバフに耐性を持つのか。  一作目の真•女神転生はこの時代のゲームの例に漏れず嫌がらせのように難しい。当時のプラットフォームの描画能力も相まって、マップは無機質で現在位置が分かりにくくまた、道中登場する敵はその時に到達し得る主人公たちの適正レベルを10以上も超える場合があり、遭遇したら最後、死ぬか逃げるかしかない。だが、ボスはといえば結構あっさりとクリアできたりする。というのも妨害系の魔法に耐性が設定されていないからだ。  女神転生にはシバブーやバインドボ

    • RPGのサポート職、特にデバッファーって慣れたプレイヤーじゃないと難しいよねという話-前編

       関東圏で気温30℃を超え、やっと夏が近づいてきたと実感が湧いてくる今日この頃。体育祭を今の時期に開催している学校も少なくないのではなかろうか。30℃を超える中での運動は気をつけなければ、不幸な事故に繋がりかねない。水分補給と適度な休憩を忘れずに存分に楽しんでもらいたいものだ。  さて、体育祭といえば応援だが、仲間からの声援や期待は自分の力になることも、あるいは重圧として本来の実力を発揮する妨げになったりもするだろう。  ぼくの出身校の体育祭は運動が得意、不得意に関わらず、各

      • [告知]文芸フリマ東京2022春に参戦します[5/29 ア13]

         こんにちは、みなさん。ゴールデンウィークからおよそ二週間が経ちお休みムードも薄れて五月の下旬。相も変わらず不安定な気候で気分も晴れないことが多いがいかがお過ごしだろうか。ゴールデンウイークで思い出したのだが、ちょっとしたぼくの母についての自慢をさせてもらってもいいだろうか。無論、ダメと言っても続けるのだが。今回のメイントピックはぶっちゃけ掲題ですべて完結してるので他に話す内容がないのだ。まあ、許してほしい。  ゴールデンウィークは皆さんはどこへ出かけただろう。自主規制のな

        • 20代後半、業界未経験者がゲームプランナーになった話01

           やあ、諸君。急に暑くなったり寒くなったり季節の変わり目の胡乱さに振り回されては、丁寧に畳んだ冬服を押し入れから出し入れしていることと拝察する。今日もお陰でお気に入りの長袖が塩を吹いた。チキショウ。  はてさて人間万事塞翁が馬と言うが、人生もここもとの天気のように何が起こるかわからないものである。すなわち、ぼくは都内でゲームプランナー一年生として新たなキャリアをスタートした。今年の2月からのことである。  きっかけは単純明快で転職エージェントを通じて書類を送った。ただそれだ

        RPGのサポート職、特にデバッファーって慣れたプレイヤーじゃないと難しいよねという話-後編

        • RPGのサポート職、特にデバッファーって慣れたプレイヤーじゃないと難しいよねという話-前編

        • [告知]文芸フリマ東京2022春に参戦します[5/29 ア13]

        • 20代後半、業界未経験者がゲームプランナーになった話01

        マガジン

        • ヘベムニュラの落星
          17本
        • 歴史に関するマガジン
          7本
        • ボードゲーム制作室
          8本
        • Alive In the Coffin
          0本
        • kobo-taroのマスターピース
          11本
        • 台湾に関する記事群
          3本

        記事

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』17完結

          「気になってたんだけど、それ誰にもらったの? 」 ぼくと工藤は、盗んだバイクで『遠く』を目指していた。二人乗りで交代で運転しながら真っ直ぐな道をひたすら走った。今はぼくが運転しているところだ。 時間帯のためか、世間で騒がれる人口減少のためか、ぼくたちが走る道路にぼくたち以外の車両はいなくて、真っ昼間から包帯だらけの中学生二人が大袈裟な荷物をぶら下げているにもかかわらず、関心を払う大人はいなかった。 工藤はぼくの首にきらめく赤い石を見ながら綺麗だねと言った。 「市波がくれたんだ

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』17完結

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』16

           その時、上がった悲鳴は怪物のものだった。床を転げて地面が振動し、天井から石綿が埃になって降りかかる。 ぼくはうっすらと目を開け、自分の生存を理解するとともに言葉を失った。  ククが化け物の右半分の顔に食らいついていた。  しかし、不意打ちが上手くいっただけで、劣勢なのは火を見るよりも明らかだった。  ククは小さすぎた。甲殻の化け物が大型トラックほどのサイズであるのに比べて、ククはオートバイよりやや大きい程度だった。 それでも、ククの鋭い顎と強靭な四肢はあいつの頬の関節の

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』16

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』15

           とにかく足を動かし続ける。目の前に人影があった。朝まで飲んでいたのだろう、酔っぱらったサラリーマンとすれ違った。いつの間にか広めの公道へ出てしまったらしい。どこへ逃げるかに際して、人気の有無を構っている暇などなかった。  背後を見やるとサラリーマンは化け物の後脚に踏みつぶされて絶命した。 化け物は道路脇に駐車してあった乗用車を弾き飛ばしてぼくに追いすがる。ひしゃげたフレームがドライバーの頭部に食い込んで、噴き出した血がガラスを赤黒くスモークした。それを見て悲鳴を上げたランニ

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』15

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』14

           工藤を救急車で搬送してもらったあと、ぼくは家路付いた。付き添いを求められるものだと思ったけれど、むしろ来るなという雰囲気を感じ、ついていけなかった。  そして、ククはここにはいない。もう、ぼくのところに二度と帰ってこない気さえする。  あの時、ククはぼくの言葉を聞いて青山に飛び掛かった。発達した前足が、青山の柔らかい腹を押しつぶし、胃の中身を空中にまき散らした。爆弾のピンを抜かせる暇も与えなかった。  ククの不意打ちを受けても青山は生きており、猫と人間とではやはり体長の大き

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』14

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』13

           間抜けだった。どうしようもない。間抜け。救いようもない無能。引き金にかかった指に徐々に力が込められる感触が後頭部に触れた銃口を通じて伝わってくる。ダブルアクションの撃鉄が内部の機構と連動して起き上がり――撃鉄が倒れた。 「は? 」  弾は出なかった。当然だ。入れてないのだ。一発だけしか。暗がりをあえて選んだのは人目を避けることのほかにこういう誤認に対して補強を加えるためだ。困惑する青山の頭部に向かって、横なぎの鉄パイプがさく裂する。「石田、やっぱまだなんか隠してやがった

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』13

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』12

           繁華街から四キロほど外れた廃ビル街は寂れた雰囲気と活況のなさからさらに人気は遠ざかり、まともな人間はあまり近づきたがらない。行政の開発がとん挫して久しく、管理の行き届いていないむき出しの鉄骨組みの構造体は、いつか崩れて誰かを下敷きにするだろう危険を想像させた。  ぼくたちが合流した後、工藤が青山の携帯で取り巻きの一人に電話をかけた。数度のやり取りの中に明らかに動揺と怒りを隠せない様子の怒鳴り声がスピーカーから聞こえてきた。工藤の方はというと、至って平静かつ事務的で、あんな

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』12

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』11

          (↑バックナンバー↑)  いつもの帰り道を歩く。大通りで救急車とすれ違った以外は――いや、ここ最近はそれさえも日常の風景の一部のような気がするが――平和な時間だった。以前は死に場所を探す旅の果てに必ず目にするアパート近所の風景だったのに、この場所を捨てて遠くへ行くともなると感慨深いものがあった。 アパートの敷地に足を踏み入れると、みあ、とクリシェが出迎えた。なぜ外でと疑問に思ったが、ぼくはクリシェへ優しく声をかけた。この子もつれて行こうか。工藤は何と言うだろう。  そういえ

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』11

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』10

          「遠くに行こうよ、石田」 「遠く? 」 「私たちのことを誰も知らない場所。そこで一緒に暮らそうよ」  夕映えの街並みを眺めるぼくたちはブランコを漕いでいた。ぼくはシャツ一枚で工藤はぼくの制服のワイシャツを着ていた。工藤の体格に悔しくもすこし小さなそれは、ぼくの汗で少し透けていて目 のやり場に困った。公園に隣接する下りの坂道は帰宅ラッシュの時間帯のために、パートを終えてついでに買い物に行く主婦や下校する学生でにぎわっており、顔を腫らした女の子と白シャツ一枚の男子中学生は非常に目

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』10

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』09

          (01) https://note.com/kobo_taro/n/n52895d13d196 (02) https://note.com/kobo_taro/n/n2fa61e863c7d (03) https://note.com/kobo_taro/n/n3714e1ae6566 (04) https://note.com/kobo_taro/n/nc4c2e5954b4a (05) https://note.com/kobo_taro/n/n4589cc684f0c

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』09

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』08

          (01) https://note.com/kobo_taro/n/n52895d13d196 (02) https://note.com/kobo_taro/n/n2fa61e863c7d (03) https://note.com/kobo_taro/n/n3714e1ae6566 (04) https://note.com/kobo_taro/n/nc4c2e5954b4a (05) https://note.com/kobo_taro/n/n4589cc684f0c

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』08

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』07

          (01) https://note.com/kobo_taro/n/n52895d13d196 (02) https://note.com/kobo_taro/n/n2fa61e863c7d (03) https://note.com/kobo_taro/n/n3714e1ae6566 (04) https://note.com/kobo_taro/n/nc4c2e5954b4a (05) https://note.com/kobo_taro/n/n4589cc684f0c

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』07

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』06

          (01) https://note.com/kobo_taro/n/n52895d13d196 (02) https://note.com/kobo_taro/n/n2fa61e863c7d (03) https://note.com/kobo_taro/n/n3714e1ae6566 (04) https://note.com/kobo_taro/n/nc4c2e5954b4a (05) https://note.com/kobo_taro/n/n4589cc684f0c

          『ヘベムニュラの落星(おちぼし)』06