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20代後半、業界未経験者がゲームプランナーになった話01

 やあ、諸君。急に暑くなったり寒くなったり季節の変わり目の胡乱さに振り回されては、丁寧に畳んだ冬服を押し入れから出し入れしていることと拝察する。今日もお陰でお気に入りの長袖が塩を吹いた。チキショウ。

 はてさて人間万事塞翁が馬と言うが、人生もここもとの天気のように何が起こるかわからないものである。すなわち、ぼくは都内でゲームプランナー一年生として新たなキャリアをスタートした。今年の2月からのことである。
 きっかけは単純明快で転職エージェントを通じて書類を送った。ただそれだけである。特別なことはもちろんしたし、ゲームプランナーになるために情報集めや企業分析はしすぎるほどした。それでも運が悪ければ開かないのがこの業界の門戸である。

 今回話して行こうと思うのは簡単に言えば転職体験記である。自分自身、一度は携わりたかった業界・業種であるので、まあまあ人気な世界であることは承知している。どうやって転職に至ったのか。どんな工夫をしたのか。また、入る前のイメージと入ってからのギャップなどの思いや、自信が採用を勝ち取るに至った企画書・ポートフォリオの公開なども検討中である。学生、社会人、フリーター、ニートetc.現在のご自身の状況に関わらず、この業界に興味を持っているすべてのひとへ、今回のエッセイが参考になれば幸いだ。


 差し当たってまずは自分の来歴を述べるべきだと思う。しかし、それに意味があるかは正直自信がない。新しいことを始めるのに年齢やそれまでの経歴は関係ないと思うし、もしもそれが可能ならどのように自分の過去を新しい世界で役に立てられるか、説明するのは個人の仕事である。何よりもぼくと全く同じ来歴の人間はいないだろう。従って、ぼくの来歴と自分自身を比較して慢心したりあるいは落ち込んだりせず、持っている武器と磨きたい武器を以て転職・就職に臨んでもらいたい。

 さて、学歴で言えば都内の有名私立大の文系である。名前を聞けばおそらく誰もが知ってる程度には有名な大学でこれは客観的にも主観的にも人に話して恥ずかしいものではないと思う。しかし、はっきり言って転職市場でどれだけ学歴というものが、価値を持つのかは甚だ疑問である。新卒であればそれ以外に評価軸が乏しい故に学歴は見られすぎるほど見られるものだが、実感値的に述べればやはり学歴は大きな意味は持たないようだ。面接の際も、触れられることは一切なかったし(参考にされても実際、文系については学歴や当時の研究について面接などで尋ねられることは稀に思う)

 3年間の前職では金融向けのITサービスに携わり、大手銀行を顧客に、提供しているサービスやその運用方法についてのサポートやコンサルティングなどをしていた。業務上英語を利用するため、日本語と合わせて二カ国語操れる。実務ではあまり使わないのでプログラミングは初学者レベル、VBAやpythonなどを趣味で触っていた。転職の際には職務経歴書を作成するにあたり、上記のものをより具体化資料を作成して書類として提出した。

  また、ゲーム制作そのものは初めてではなく大学時代サークル活動で経験している。その当時は背景作画とシナリオ、サウンドをやっており、新卒当時もサウンド職と企画職でゲーム業界を志していた。どちらかといえばこの時培った画力やソフトウェアの習熟が企画書作成に役立ったため採用の決め手になったといえる。


 ざっとここまで話したが、今のところゲームプランナーとして過去の経験で得たものは一切使っていない。というか日々新しいことばかりなので過去の杵柄にこだわる意味があまりない。強いて言えば想いだろうか。

 履歴書と職務経歴書は一番時間をかけて作るべきなのは言葉にするまでもない。月に何十何百と応募者がいる中で、採用担当者はぼくたち応募者について提出された書類からしか知り得ないのだ。嘘をつく必要は一切ないが見せ方は考えるべきだろう。次の項目は書類作成の指針について大まかに解説する。


定性的か定量的か 

 結論から言えば定量的に自身の経歴を表す方が良い場合が多い。最終的には書類を評価する人に依存する要素であるが、未経験異業種から移る場合は、ゲームに限らずその業界の採用担当者は自身の業界に全く明るくない前提で書類を作成するべきだ。このため数値化できない要素をアピール材料にして書類を書いたところで、それがいかに凄いことであっても100%その凄さを伝えきれない場合が多い。採用の場面では、わからないけどなんか凄そうだから面接に引き上げようと考える採用担当者は大手であるほど少ない印象だ。経営幹部や代表が直接書類や面接の選考に係るならばつゆ知らず、自社で各セクションから要望を受けて、または自社の新たなプロジェクトを共有されてそのために必要な人材を採用するロードマップを引きそれに合わせて、人事部も月、あるいは期ごとの目標採用人数を決める。面接できる時間も人も限られている中で、直感だよりの選考通過判断はしない。だからこそ、異業種であってもゲーム業界で活躍できる可能性を感じさせてもらえるよう定量的な表現に徹するべきなのだ。
 ぼくの場合は異業種の人には伝わりにくい部分をその業界では定番の類似サービスやプラットフォームに例えて表現した。前職で提供していたサービスをUnityなどのゲームエンジンの状況の類似性と絡めて説明するなどである。これはこのまま面接の場面でも面接担当者を納得させる際に有効だった。また定量的に説明できることはそれ自体数字に対して苦手意識がない印象を与えやすい。まともなビジネスマンで数字に対して低い意識の人間は稀であると思うが新卒で就活する学生などはこれができていると他の応募者と差がつきやすいだろう。また、特にゲームは他の業種と違って追いかけるべき数字が多い。他のビジネスでは、営業をかけ、案件を取れたか取れなかったか。というシンプルな話で決着しやすいことも多いだろう。日別月別のユーザー数、チュートリアルの突破率、あるクエストのクリア率、キャラクターの所持率、ユーザー一人当たりの平均ログイン時間やガチャなどメイン商材を回転させるためのゲーム内通貨の所持率。どの数字がどの状況の原因になっているのか、タイトルの客層や展開中のイベントの盛り上がりなど内的な理由だけでなく、競合他社のゲームの状況にも左右され、分析は一筋縄では行かないものだ。実際に自分自身が数字に強いか否かは別として、数字に対する意識をアピールしておいて損はない

企画書

 具体的には次回以降実物を公開しながら自分の取った戦略を紹介するつもりだが、異業種から転職を望む場合必ず用意するべきだ。これは繰り返しになるが、まさに上述した通りの理由に起因する、つまり採用担当者はぼくたち応募者について提出された書類からしか知り得ない。転職においては新卒採用と違い、業界経験者たちとも採用枠を競わなければならない。彼ら彼女らは経歴的にぼくたちにすでに先んじており、それを押し退けるだけのフックが必要になるのだ。履歴書と経歴書だけで業界経験者と渡り合う自信があるならばそれで良いのだが、自分自身を採用担当者に説明してゆくためにも企画書は用意しよう。書き方についてはネットで検索すれば出てくるのでそれらを参考にしても良い。
 ポイントは必ず人に見せること感想をもらうこと、そして数を揃えて応募する会社の傾向にあわせて最低限かつ最高の出来栄えのものを提出すること。また、あわせて仕様書も書けるのであれば提出すると良いだろう。これはタイトルや開発チームによって書き方が千差万別なので必ずしも必須ではないものの、実際に入社してからは企画書以上に仕様書を書く機会の方が多いので、たとえ拙いものでも最低限姿勢や根性をアピールできるだろう。ちなみにぼくは企画書は提出したが仕様書は実際に採用された会社には提出しなかったため、必須ではないというのが実感である。いずれにしても、あって困るものではない。

  次回はゲーム会社の種類と異業種から転職に挑戦する場合の狙い目などを紹介したい。もっとも、これに左右されず、行きたい会社の求人には積極的に応募するべきだ。どんな会社でも書類を提出するまでは採用される確率は0パーセント、書類を提出して初めてそれが1%〜始まるのだ。

(kobo)

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