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ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』これが"Old meets New"ってか?やかましいわ!

2023年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ヴィム・ヴェンダース長編最新作、『パレルモ・シューティング』以来15年ぶり10度目の選出。流石は白人老人会コンペといったところか。映画は東京でオシャトイレの掃除をする中年男の日常を描いている。寡黙な男という設定なのか同僚には顎で指図してる…と思ったらトイレにいた少年には普通に声を掛けていて、なんか中途半端だなと。頑なに声を出さないシーンと普通に喋るシーンが混在していて、前者が滑稽に思えるほど。全く喋らないか、ちいかわレベルの語彙力でも物語を推進できたはすだが、中途半端に喋る。また、冒頭から鍵を開けるシーンばかり映して閉めるシーンを一切映さなかったので理由でもあるのかと思ったら、普通に閉めるシーンも出てきたので、家の鍵も車の鍵も閉めない変な人になってしまっていた。家に帰る度に鍵を開けてたけど、毎日誰が閉めてるのだろうか、ということしか関心がなくなってしまった。こちらも中途半端。古い車、カセットテープ、フィルムカメラ、コインランドリー、和室、古本といった古い要素と、スカイツリー、オシャトイレ、姪っ子といった新しい要素の融合…ってTIFFの予告編で死ぬほど見させられたTokyo Tokyo Old meets Newってか?やかましいわ!→もしかして、OldとNewを混ぜたら中途半端になるってことか?!そんなわけないか。今年はエリーズ・ジラール『Sidonie in Japan』も外国人監督が日本に幻想見すぎた感じの映画だった(イザベル・ユペールの相手役の名前が溝口健三だったし)。まぁもう幻想くらいしか売り物がないのかもしれないけど。

追記
本作品を観ていると『ノマドランド』を思い出した。綺麗な上澄みだけを見せているのも含めて。

・作品データ

原題:Perfect Days
上映時間:125分
監督:Wim Wenders
製作:2023年(ドイツ, 日本)

・評価:30点

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