Syllas Tzoumerkas&Christos Passalis『The City and the City』テッサロニキとユダヤ人の暗い歴史
2022年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門選出作品。シラス・ツメルカス(Syllas Tzoumerkas)の長編四作目、俳優のクリストス・パサリス(Christos Passalis)は初監督作で、二人は今回が初タッグ。本作品はテッサロニキにおけるユダヤ人の歴史を追った作品である。1931年以前のテッサロニキでは、ユダヤ人が最大人口のコミュニティだったが、ポントスや小アジアからのキリスト教難民が流入し、多数派を形成し始めた。1942年には、"リバティ広場"に集められた大量のユダヤ人男性が軍人たちによって屈辱的な仕打ちを受けた。ここには55000人のユダヤ人が暮らしていたが、二次大戦終戦までに9割以上が収容所で死んだ。など、近現代の様々な点が舞台となり、日記の朗読や中間字幕などを使って時系列順に語りを勧めていく。しかし、再現映像などは遠慮なく現代の背景を使い、様々な言語と様々な時代の断片的なイメージが渾然一体となって悪夢のように駆け回り始める。試みそのものは興味深い作品ではあるが、流石に滅茶苦茶すぎて90分も集中できなかった。20分が限界かな。
・作品データ
原題:Η πόλη και η πόλη
上映時間:87分
監督:Hristos Passalis, Syllas Tzoumerkas
製作:2022年(ギリシャ)
・評価:50点
・ベルリン国際映画祭2021 その他の作品
★コンペティション部門選出作品
1 . カルラ・シモン『Alcarràs』スペイン、ある桃農家一族の肖像
2 . カミラ・アンディニ『ナナ』1960年代インドネシアにおけるシスターフッド時代劇
3 . クレール・ドゥニ『愛と激しさをもって』生まれ変わった"私たちは一緒に年を取ることはない"
5 . ニコレッテ・クレビッツ『A E I O U – A Quick Alphabet of Love』ドイツ、母音のレッスンと恋のレッスン
6 . リティ・パン『すべては大丈夫』リティ・パンはお怒りのようです
7 . パオロ・タヴィアーニ『遺灰は語る』兄ヴィットリオ・タヴィアーニに捧ぐ物語
8 . ウルスラ・メイエ『The Line』スイス、トキシックな家族関係について
9 . ホン・サンス『小説家の映画』偶然の出会いの連なり
11 . ミカエル・アース『午前4時にパリの夜は明ける』人生の中で些細な瞬間を共有すること
12 . フランソワ・オゾン『苦い涙』ピーター・フォン・カントの苦い涙
13 . ミヒャエル・コッホ『A Piece of Sky』スイス、変質していく男と支え続ける女
14 . アンドレアス・ドレーゼン『クルナス母さんvs.アメリカ大統領』ラビエ・クルナズと国家の1800日戦争
15 . リー・ルイジュン『小さき麦の花』中国、花と円形は愛のしるし
16 . ウルリヒ・ザイドル『Rimini』"父親"を拒絶し、"父親"となる歌手の兄
17 . ナタリア・ロペス・ガヤルド『Robe of Gems』メキシコ、奇妙に交わる三人の女性の物語
18 . ドゥニ・コテ『That Kind of Summer』カナダ、性欲過剰者の共同生活から何が見えるか
★エンカウンターズ部門選出作品
1 . アルノー・ドゥ・パリエール『American Journal』フランス、独り善がりなシネマエッセイ
3 . Jöns Jönsson『Axiom』ドイツ、嘘とパクリで構成された人生
4 . Syllas Tzoumerkas&Christos Passalis『The City and the City』テッサロニキとユダヤ人の暗い歴史
5 . ベルトラン・ボネロ『Coma』停止した"現在"は煉獄なのか
7 . Kivu Ruhorahoza『Father's Day』ルワンダ、"父親"を巡る三つの物語
11 . アシュリー・マッケンジー『Queens of the Qing Dynasty』カナダ、"期限切れ"の未来
13 . 三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』聾唖のボクサーの日記
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