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エッセイとか

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記事一覧

ドイツ語に関するnoteでの誤りに関して

久しぶりにnoteを開いたら、一つの記事だけ飛び抜けてアクセス数が多くて驚きのあまり飛び跳ねた。
それがこちらの記事。

私が美しいと思うドイツ語7選
https://note.mu/kleinod_99/n/n29309c07767a

「ドイツ語 美しい」 とかそんな感じで検索するとこの記事が結構上に出てくるみたいで、察するにそのせいなんだろう。アクセス数が多いこと自体は良いんだけれど(恥ずか

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小さな出会い

ロビーに入り、我が家のポストを押し上げる。暗闇の中でいくつかの郵便物が見つけられた。ダイヤルを回して開けようとして、開かない。回し方を間違えたらしい。番号なんだったかなあ、と首を捻りながらくるくると回す。
郵便ポストの前で四苦八苦する私の後ろを、他の住人が横切ったのがわかった。働き盛りと見受けられる若々しいお母さんがオートロックの鍵を開け、自動ドアが開いた。コツコツと響くハイヒールについていく、小

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生きていること、を知る

少し不安になって、右手を左胸にあてる。布越しでも体温が感じられるくらいに隙間なく触れると、ようやく、――ドクン、ドクン。振動が伝わってきた。
指先から伝わる鼓動に、私はやっと安心してひと息ついた。
大丈夫、心臓はちゃんとここにある。ここでちゃんと動いている。そう思って。

小学生くらいの頃から、ずっとそうだった。
ことあるごとに心臓の音が聞こえるのを確認して、ちゃんと聞こえるとひどく安心した。時に

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月を求めて泣く夜に

帰り道、黄金色の三日月が空に横たわっていた。
こんなに鮮やかな黄色は久しぶりに見たように思う。
柔らかに描かれた曲線に、ちょっと前、古典の授業で聞いた話を思い出した。萩原朔太郎の詩で、猫のしっぽの先で三日月が笑ってる。なんてのがあるんだよ。そう言っていたような。

まつくろけの猫が二疋、 なやましいよるの家根のうへで、 ぴんとたてた尻尾のさきから、 糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、

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私が美しいと思うドイツ語7選

自己紹介文にドイツを敬愛している、なんて書いておきながら、まだ一度もドイツに関する記事を書いていなかった。
実は私は、昨年の春からドイツ語を勉強している。それまで私の中には、ドイツ人に対して真面目で無愛想なイメージがあったのだけど、そんな紋切り型なイメージを思いっきり覆す陽気な先生と出会い、毎週緩く、楽しくドイツ語を学んでいる。そんな先生の授業を受け始めてからもう一年半くらいになるわけだけど、英語

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「同級生」だった季節

久方ぶりに「同級生」を読み返した。
私が今までに出会ったあらゆる漫画のなかで、一番大好きな作品だ。
いわゆるBL漫画なのだけど、私はこれはむしろ青春漫画とでも言うべきではないかと思う。
二人の男子高校生の、長いようで短い、甘酸っぱい青春の一ページ。一番最初の本は2008年発行で、もう9年も前なんだけど、そうとは思えないくらいみずみずしい、若葉のようなきらきらが詰まっている。

草壁光と、佐条利人。

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幸せを買ってきた

今月から学期が改まり、月曜日は全休日になった。すべて空きコマ。最高だ。昨日は模試に苦しめられたから、ゆっくり眠れたのが嬉しい。ただ、眠りすぎて起きる頃には逆に疲れが溜まっていた。寝疲れというやつだろうか。
今の状況を思えば、おちおち寝ている暇もないのだけど。それでもだらけてしまう私はテレビをぼんやりと見ながら、今日一番の用事を思い出し、11時がすぎる頃に本屋に向かった。
目当ての雑誌はやや無造作に

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夢と知りせば

思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを

日本人であれば知らない人はいないだろう、かの有名な女流歌人、小野小町の歌だ。
私は数ある和歌の中で一二を争うくらい、この歌が好きだ。初めてこの歌を知ったのは中学のときだったと思う。教科書の中からこの一文を見つけたとき、運命の相手に出会ったような心地がした。和歌と言えばうんと昔の人たちの遊戯で、今を生きている私のような子供には理解

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