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流人道中記 浅田次郎著
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08625TBGF?ie=UTF8 いちばん最近に読んだ本から感想書きます。 ときは、桜田門外の変があり、その下手人の探索と断罪に幕府が…
「日本習合論」を読んで
内田樹氏の「日本習合論」は、日本という国が古来大陸からの宗教文化を受け入れ、自国の宗教文化と融合させ、独自の多様性を身に着けて来たことを説いています。その中で内田氏自身が合気道の武道家であり、能とハングルを学んでいて、フランス哲学者であり、特にユダヤ教の研究者でもあることの意味を語っています。日本人に限らず、個人のアイデンティティというのは、ある意味その習合性の構成要素によることが気づかされま
もっとみる坂本龍馬という出来事。
「坂本龍馬と明治維新」マリウス・ジャンセン著 この本との出会いのきっかけは、日本近現代史の研究者である三谷博さんの「明治維新を考える」(岩波現代文庫)を読んだことです。三谷さんは、この本の冒頭で明治維新の謎として「なぜ、武士が自ら武士身分の社会的自殺を招いたのか」を上げます。その答えとして三谷さんが考えたのが「間接的アプローチ」という考え方です。つまり、最初から武士が自らの特権の放棄を意図したわけ
もっとみる幕末の幕臣、永井尚志と大久保忠寛
1853年のペリー来航前後、老中首座阿部正弘は旗本から優秀な人材を次々と登用し、目付、海防掛に取り立てました。その中に永井と大久保がいます。このふたりの共通点は、明治まで生き残ったことです。
永井尚志は三河奥殿藩の藩主松平乗尹の庶子として生まれ、3歳で父が亡くなると江戸の藩邸で育ちます。25歳で旗本永井家の婿養子になりました。永井家の禄高は3000石と言いますから、かなり高位の旗本です。永井
幕末五人の外国奉行 続き
幕末の外国奉行たちの顔ぶれを眺めていると共通点がいくつか見えてきます。その第一は養子が多いということです。まあ幼児の死亡率が高かったということも原因ですが、旗本の場合、経済的な収入が家に帰属している点が重要です。つまり後継ぎがいなくなると、家自体が解散になってしまう。使用人も含め一族が路頭に迷うし、ご先祖さまにも申し訳ないということです。そこで、よそから優秀そうな少年あるいは青年を養子にするわけ
もっとみる幕末五人の外国奉行 土居良三著
幕末と言うと、薩長の勤皇の志士とか、倒幕側からの歴史がほとんどで、幕府側から書かれたものは少ないです。特に、日米通商条約をはじめとする幕府が結んだ各国との条約は、明治政府から不平等条約のレッテルを貼られて、これを平等対等なものにするのは、本当に大変だったのだと言われるわけです。無能な幕府の連中は唯々諾々と外国の言うがままに条約に調印してしまったのだと、そういう印象をわたし達は知らぬ間に持たさ
流人道中記 浅田次郎著
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いちばん最近に読んだ本から感想書きます。
ときは、桜田門外の変があり、その下手人の探索と断罪に幕府が右往左往していた時分です。直参旗本青山玄蕃は姦通の罪で訴えられる。奉行所は切腹を申し渡すのですが、玄蕃はこれを拒否します。寺社、勘定、南町の三奉行は旗本を打ち首にすることもできず、「流