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#81 九九が苦手な子への指導法~具体的活動で解決する~

算数障害には、次の4つの領域があると言われています。
①数処理(数字・数詞・具体物の対応)
②数概念(基数性と序数性)
③計算(暗算・筆算)
④推論(文章題)

算数障害といえば、この4つのうちのどれかの理解に著しい困難を示します。
くわしくしりたい方はこちらを↓


前回は、③計算(暗算・筆算)の中の暗算についてでした。

暗算ができるようになるには、
①5の合成分解
※合成とは→1と4で5
※分解とは→5は1と4

②10の合成分解

③和が20までの数のたし算、ひき算

ここまできたら、いよいよ九九です。
この九九ができないと、3年生以降の算数は壊滅的ダメージを被ります。

例えばこんな子はいませんか?
九九を忘れている子
苦手な段の九九があり、かけ算やわり算で計算ミスする子

どうしてつまづいているのか?
前回、

10の合成分解が自動的に行われるのは、その後の計算の学習に不可欠ですが、量として捉えずにただ答えだけ暗記してしまうのは危険です。
だから、必ずブロック操作をさせてください。
このブロック操作をたくさんしたかどうかが、中学年以降の算数の学習の肝になります。

算数障害って何?⑤より

と説明しました。
つまり、量として捉えずに答えだけど暗記しようとしているためです。
記憶に頼りすぎた結果、ワーキングメモリーが低めの子は、九九を忘れてしまうのです。
同時にこのような子たちは、聴覚を使って理解することも苦手です。
2年生の時できたのに…ってつぶやく子もたまにいます。
それは毎日たくさん学校でも家でも宿題で取り組み、休み時間や放課後などに特訓をすることが多いですから、担任もなんとか全員合格できるよう努力しています。
しかし、合格させることをゴールにしてしまったため、九九(いわゆるかけ算)の本質的部分の理解が欠如したまま、上の学年に進級してしまっているのです。

これは、算数障害ではない大多数の子にいえる大きな問題といえます。
九九は本当は全部暗記しなくてもいいんだよっていう指導がされていれば、
「だったら、先生どうするの?」
となるはずです。
「九九には秘密があるんだよ」
「えっ!どんな秘密?」
と、暗記が苦手な子でも興味をひきつけるような授業に展開していけばいいだけです。

では、どうすればよかったの?
①記憶にたよらない指導が必要です。
そのためには、かけ算の意味を確実に理解させ、九九とは何かを理解させることです。
|〇〇|〇〇|〇〇|(おだんごが1皿に2つ、それが3皿ある)
1つ分の数×いくつ分=全部の数
 2   ×  3 =  6
答え 6個
これが小学2年生で学習するかけ算です。
この問題場面では、2×3としないといけません。
3×2は違います。
「もし、2×4の答えがわからなかったらどうしたらいいと思う?」
「おだんごのお皿が1つふえるんだから、6+2で8だよ」
という考えを引き出していくのです。
そうすれば、九九の答えを忘れてもなんとかなることを学びます。
暗記にたよっていると、答えがわからなかったら、適当な答えをだしてきます。

②視覚的情報を活用する
九九を暗記できない子はおそらく聴覚優位ではなく、視覚優位の子が多いかと思います。
そこで、1の段から9の段までの計算式と答えが一覧となって見れるような表を作成し、教科書やノートにその表をはらせ、わからなくなったらいつでもみてよいことにしておけば、答えを忘れてしまったときに有効です。
しかも、一覧になっているため、かけ算のきまりなども見えてくるようになり、数学的な見方考え方も養えます。

暗記だけにたよって、力ずくで九九を暗記させても、ワーキングメモリーが低い子たちはいずれ忘れます。忘れたら3年生以降の算数の学習に大きく影響してきます。
3年生くらいから算数が苦手という子が増えることが多いです。
その理由の一つに無理やり計算を自動化させようとしたことが原因と考えられます。

たのしく、問いをもたせながら算数の学習をすすめていくことが大切ですね。
そうすれば、大人になったとき、自分に課された課題と向き合い、これまでの経験を生かしながら、課題を解決することができるのです。
課題を解決する過程で、人に伝える力(いわゆるプレゼン力)も身に付きます。

これは、算数パズルですが、数字がでてくるわけでも、計算をするわけでもありません。
迷路です。
しかも、答えが1つしかない迷路なのです。

以上、暗記(九九)の巻でした。

何か算数の指導や支援のことで質問や、お困りの方がいらっしゃいましたら、気軽に連絡下さい。
コメントもしくは、クリエーター問い合わせからメールを下さい。

それではまた。

次回はいよいよ計算のラスボス 筆算です。
お楽しみに!

参考になる方がいたら幸いです。



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