JW509 中嶋宮は何処
【垂仁天皇編】エピソード38 中嶋宮は何処
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前16年、皇紀645年(垂仁天皇14)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、中嶋宮(なかしま・のみや)への遷座(せんざ)を宣言。
御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、五人の従者たちと解説をおこなう。
すなわち、采女(うねめ)の香刀比売(かとひめ)(以下、カット)。
忍比売(おしひめ)(以下、おしん)。
大称奈(おおねな)(以下、ねな)。
「ねな」の弟、大荒(おおあら)(以下、アララ)。
舎人(とねり)の市主(いちぬし)である。
ワッコ「前回は、五つの候補地の内、三つを紹介したのであったな?」
カット「左様にござりまする。して、四つ目の候補地が、丸宮神明社(まるみやしんめいしゃ)にござりまする。」
おしん「だども、二千年後の地図には、そんな社(やしろ)、どこにもねぇぞ?」
ねな「当たり前でしょ。西暦1918年(大正7)に他の神社に合祀(ごうし)されちゃったんだから・・・。」
ワッコ「合祀? エピソード490で、『アマ』様が、明治時代から大正時代にかけて、神社合祀令(じんじゃごうしれい)なるモノが有ったと申しておったが・・・。」
アマ「その通りじゃ。こちらも御多分(ごたぶん)に漏(も)れず、周辺の社と一緒にされてしまったのじゃ。」
市主「では、二千年後は、そちらの社に鎮座(ちんざ)しておると・・・。そういうことですな?」
アマ「その通りじゃ。その名も、中嶋宮(なかしまのみや)じゃ!」
おしん「此度(こたび)、遷座した宮と同じ名前だども、これは、どういうことです?」
カット「実はな・・・。合祀された際は、八剱社(はっけんしゃ)という名であったのじゃ。されど、それでは、中嶋宮の候補地としての歴史を失ってしまう。そこで、西暦1964年(昭和39)『中嶋宮』に改称したのじゃ。」
ワッコ「そのようなことが、二千年後に起きるのか・・・。」
ねな「仕方ないでしょ。合祀されちゃったんだから・・・。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
カット「ち・・・ちなみに、鎮座地は、愛知県一宮市(いちのみやし)の萩原町中島丸宮(はぎわらちょう・なかしま・まるみや)にござりまする。」
市主「では、最後の五つ目。御園神明社(みそのしんめいしゃ)にござりまする。」
ワッコ「こちらも祭神は『アマ』様となっておるゆえ、特に問題は無さそうじゃな・・・。」
ねな「ちなみに、鎮座地は、愛知県清須市(きよすし)の一場(いちば)よ。」
おしん「ところでよぉ、御園神明社は、内宮(ないくう)とも呼ばれてるんだぞ。」
ワッコ「内宮じゃと? で・・・では、どこぞに外宮(げくう)が有るということか?」
市主「左様。それが、上畠神明社(うえばたしんめいしゃ)にござりまする。」
カット「清須市の清洲(きよす)に鎮座しておりまする。」
ワッコ「祭神は、当然、豊受大神(とようけのおおかみ)じゃな?」
ねな「当たり前でしょ。そうじゃなかったら、困るんだけど・・・。」
ワッコ「そ・・・そうじゃな・・・(;^_^A」
アマ「皆の者、解説、大儀(たいぎ)であった。では、次の地に遷(うつ)るぞ!」
ワッコ「此度(こたび)は、長く鎮座しないのですね?」
アマ「何か、文句が有るのか?」
ワッコ「い・・・いえ、そういうわけでは・・・(;^_^A」
アマ「して、次の宮の名は、桑名野代宮(くわなの・のしろ・のみや)じゃ!」
ワッコ「桑名? もしや、三重県桑名市(くわなし)のことにござりまするか?」
アマ「よく知っておるのう。その通りじゃ。」
ワッコ「つ・・・ついに、三重県・・・。すなわち、伊勢国(いせ・のくに)に入ったのですね?」
伊勢に辿り着いた一行。
約束の地は、もうすぐと見せかけて、まだまだ遠いのであった。
つづく