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JW679 天子の水

【景行征西編】エピソード50 天子の水


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦88年、皇紀こうき748年(景行天皇18)4月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、還幸かんこう(天皇が帰宅すること)とめいって、筑紫ちくし(今の九州)の巡幸じゅんこう(天皇が各地をめぐること)をおこなっていた。

ここは、熊本県あさぎりちょう深田西ふかだにし

筑紫行幸参加者名簿
地図(熊本県あさぎり町深田西)

シロ「これが、湧水わきみずか・・・。」 

たっちゃん「どれどれ・・・。ん? 美味うまい!」 

リトル(7)「俺も飲むぅぅ!」 

シロ「うむ。たしかに、美味うまい。」 

もち「こうして、大王おおきみが、つかれをいやしたことから、湧水わきみずは、天子てんしみずと呼ばれるようになったんやじ。」 

いっくん「二千年後は、天子てんしみず公園こうえんになってるで。」 

地図(天子の水公園)
天子の水
天子の水

キャサリン「それだけじゃないわよ! とどまった地は、天子てんし神社じんじゃとなってるのよ!」 

カヤ「祭神さいじんは、当然、大王おおきみにございます。」

地図(天子神社)
天子神社(鳥居と拝殿)

シロ「そうか・・・。行宮かりみやであったのじゃな?」 

カヤ「御意ぎょい。」 

ナッカ「それだけじゃないっすよ。あさぎりちょう免田東めんだひがしにも、大王おおきみまつる、天子てんし神社じんじゃがあるっす。」 

地図(天子神社:免田東)
天子神社:免田東(鳥居と拝殿)

シロ「われまつってくれるとは・・・。ありがたいことじゃ。」 

真白ましろ「ワンワン!」 

タケ「ふむふむ・・・。休みを取ったあとは、如何いかがするのじゃ・・・と聞いておるぞ。」 

シロ「では、川をくだろうぞ。」 

するとそこに、熊県くま・のあがた豪族ごうぞく兄熊えくまがやって来た。 

兄熊えくま「そうもうされると思い、舟を支度したくいたしましたぞ。」 

舟木ふなき「おお! 話が早い!」 

兄熊えくま「紙面の都合というヤツじゃ。」 

シロ「では、舟にってまいろうぞ。兄熊えくま達者たっしゃでな。」 

兄熊えくま大王おおきみも、お達者たっしゃで。皆様みなさまがたも・・・。」 

モロキ「短い間であったが、世話になった。」 

夏花なつはな「ちょっ・・・涙が・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

モロキ「なにを泣いておるのじゃ!?」 

シロ「して、兄熊えくまよ。川の名は、なんもうすのじゃ?」 

兄熊えくま球磨川くまがわと思われまする。」 

地図(球磨川)

小左おひだり「ん? 兄熊えくま殿どの? 思われるとは?」 

兄熊えくま「このあと、船路ふなじを進んだことはたしかなのですが、くわしい記述がありませぬゆえ・・・。されど、熊県くま・のあがたから進んだとなると、球磨川くまがわであろうと・・・。」 

シロ「むべなるかなもっともだわれも、そう思うぞ。」 

こうして、一行は、川をくだっていった。


そして、西暦88年、皇紀こうき748年(景行天皇18)4月11日。 

シロ「して、ここは、何処いずこじゃ?」 

ルフィ「キキキッ!」 

タケ「ふむふむ・・・。葦北あしきた小島こじまもうしておるぞ。」 

シロ「葦北あしきた?」 

ワオン「葦北あしきたとは、熊本県葦北郡あしきた・ぐんのことで、水俣市みなまたし芦北町あしきたちょう津奈木町つなぎちょう八代市やつしろし南部のあたりにござりまする。」 

地図(葦北)

野見のみ「して、我々は、海に浮かぶ、小島こじま停泊ていはくしておるようですな。」 

シロ「もう、海まで来てしもうたのか。」 

おやた「ところで、はらりもうしたな。そろそろ、朝餉あさげいたしませぬか?」 

シロ「まだ、朝餉あさげを取っておらなんだのか?」 

えっさん「伝承では、食事を取ったとしか、書かれておりません。この物語のオリジナル設定にあらしゃいます。」 

シロ「そ・・・そうか。」 

とにもかくにも、一行は、小島こじまで朝食を取った。 

シロ「・・・にしても、飲み物が無いのは、つらいのう。」 

キャサリン「おみずるのね?」 

おやた「朝から酒というのも、よろしくありませぬしな・・・。」 

タケ「ん? ダメなのか?」 

夏花なつはな「もう飲んでおられまするのか!?」 

シロ「ま・・・まあ、先生のような酒豪しゅごうなら、よろしいのですが、われは、大王おおきみゆえ・・・。」 

ナッカ「大王おおきみ・・・。もうわけないっす。みず・・・らしてまして・・・。」 

シロ「なにっ?!」 

カヤ「こまりましたね。」 

シロ「よし! では、小左おひだりよ。みずさがしてまいれっ。」 

小左おひだり「ははっ。」 

シロ「して『えっさん』も、いのとして、ともをせよ。」 

えっさん「かしこまりました。」 

大王おおきみめいによって、島内とうないさがまわる、小左おひだり(と「えっさん」)であったが・・・。 

小左おひだり何処どこにも無い・・・。どうすれば良いのじゃ・・・。」 

えっさん「こうなったら、いのりするほか、あらしゃいません。」 

小左おひだりいのり?」 

えっさん「天津神あまつかみ国津神くにつかみうやまって、いのりするのや。」 

小左おひだり「で・・・では、そうしようぞ。」 

祈りは通じるのであろうか。

次回につづく

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