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JW562 宴と解説のあいだ

【伊勢遷宮編】エピソード21 宴と解説のあいだ


第十一代天皇、垂仁天皇すいにんてんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の鎮座地ちんざちを求め、倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)一行は、旅を続けていた。

登場人物一覧表(倭姫の一行)
登場人物一覧表(五人の大夫)

そして、五柱ごはしらの神が御饗みあえ献上けんじょうし、うたげもよおされたのであった。

五柱の神とは、下記の通り。

吉雲建子命よしくもたけこ・のみこと(以下、くもた)。

大歳神おおとしのかみ(以下、としお)。

桜大刀命さくらとじ・のみこと(以下、さくら)。

大山祇神おおやまづみのかみ(以下、やま)。

朝熊水神あさくまのみなとのかみ(以下、アサーク)である。 

くもた「さぁ、どんどん食べろ!」 

ワッコ「か・・・かたじけのうござりまする。」 

カット「と・・・ところで、奈尾之根宮なおしねのみやの解説が、まだなのですが・・・。」 

ワッコ「あっ(;゚Д゚)! そうであったな・・・。」 

カーケ「うたげをしながら、解説するしかないんだぜ。」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 

市主いちぬし「で・・・では、此度こたびみやの候補地を紹介しょうかいいたしましょう。」 


おしん「このあわびも、うめぇぇぞ。」 

焼き鮑

ねな「あら! ホントに、美味おいしいんだけど!」 

おしん「だべぇ?」 


市主いちぬし「えぇ・・・。那自賣なじめ神社じんじゃにござりまする。」 

那自賣神社(鳥居と拝殿)

カーケ「さ・・・祭神さいじんは?」 

カット「大水上御祖命おおみなかみのみおや・のみことと、御裳乃須蘇比売命みものすそひめ・のみことにござりまする。」 

市主いちぬし二柱ふたはしらとも、五十鈴川いすずがわの守り神とされておりまする。」 


としお「さぁさぁ、飲みなされ。飲みなされ。」 

くにお「では、御言葉おことばあまえて・・・。」 

ちね「おお! 一気いっきみかいな! 流石さすがやなぁ。」 

さくら「あまり、無理なさらないでくださいよ。」 


カーケ「ち・・・鎮座地は、何処いずこになるのかね?」 

市主いちぬし「み・・・三重県みえけん伊勢市いせし宇治うじ中之切町なかのきりちょうと言われておりまする。」 

地図(三重県伊勢市宇治中之切町)

ワッコ「言われておる?」 

カット「二千年後は、別の地に遷座せんざしておるのです。」 

カーケ「どこかの神様のもとに、合祀ごうしされたということかね?」 

カット「左様さようにござりまする。」 

ワッコ「して、何処いずこに?」 


乙若おとわか「この鹿肉しかにくも、なかなかにて・・・。」 

鹿肉の焼肉

やま「そうであろう? 山幸やまさちも、良いであろう?」 

アサーク「あゆも有りますぞ。」 

鮎の塩焼き

ワクワク「わお! すっごく美味おいしいね! 酒に合うよ!」 


カット「ええ・・・二千年後は、宇治うじ山田ようだ神社じんじゃ同座どうざしておりまする。」 

ワッコ「そ・・・そちらのやしろ祭神さいじんは?」 

カット「山田比売命ようだひめ・のみことという、水の神様にござりまする。」 

カーケ「二千年後の地名で言うと、何処いずこ鎮座ちんざしているのかね?」 


オーカ「では、不肖ふしょう大鹿島おおかしま! 『菟狭うさ伝説でんせつ』やりますぅ。」 

ちね「おお! ついに出た!」 

オーカ「菟狭津彦うさつひこ殿どの! いまし妹御いもうとごを『よめじょ』にしたいっちゃ。われくんないください!」 

武日たけひ「こんげな『記紀きき』にない、やり取りは無用むようやじ!」 

オーカ「武日たけひ・・・。これは、われの言葉やない。天種子あまのたねの心の声やかいだから・・・。」 

ねな・おしん「きゃぁぁ!!(〃▽〃)ポッ」×2 


カット「い・・・伊勢市いせし中村町なかむらちょうにござりまする。」 

地図(宇治山田神社:那自賣神社)

ワッコ「さ・・・左様さようか・・・。」 

市主いちぬし「ちなみに、那自賣なじめ神社じんじゃ鎮座ちんざしていたとされる、宇治うじ中之切町なかのきりちょうには、二千年後、おかげ横丁よこちょうが有りまするぞ。」 

地図(おかげ横丁)
おかげ横丁
おかげ横丁の風景
おかげ横丁の風景

カーケ「それがしたちのうたげに負けないくらい、にぎやかなんだぜ。」 

ワッコ「赤福あかふくが、気になりまするな。」 

赤福

カット「私たちの時代には、まだ『あんこ』が有りませぬゆえ、想像するしかありませぬな。」 

インカ「『ワッコ』様! 解説は、ほどほどにして、ささっ、お食べくだされ。」 

乙若おとわか「さぁさぁ、カーケ様も、どうぞ一献いっこん・・・。」 

カーケ「す・・・すまないんだぜ。」 

ワッコ「で・・・では、私も、いただこうぞ。」 

こうして、うたげは続いたのであった。 

つづく

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