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音声配信「知ってもらいたい家族がいる」

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小冊子の音声配信版 目の不自由な方が音声で聴けるように作成しました。
運営しているクリエイター

記事一覧

2021年8月8日から月1回のペースで
配信していた私が担当する16家族のお話。
今回が「知ってもらいたい家族がいる。」
最終話になります。

『いつか突然遠くにいってしまうような、
万が一そんな時がきたしまったとしても、
「あー、楽しい毎日だったなぁ」
「この家族に産まれてきて良かったなぁ」
って思ってもらえるように…。』

家族がこの思いになるまでのストーリー
ぜひ、お聴きください。

先日4歳になったばかりの健人くん。
来春からお母さんの仕事復帰にむけ
保育園探しをこの1年間、ずっとしています。
ダウン症児に限らず、障がい児全般の親が集団に
入ろうと動いた時に言われるこの言葉。
「うちの園では人手不足で見れません。」
この一言に何人、いえ、数えきれない数の
お母さんが肩を落とした事でしょう。
厚生労働省では待機児童を解消し、受け皿の拡大が
一段落するまでの緊急的な対応として
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今回はさなちゃんのお話です。 さなちゃんに最初に出会ったのは2019年、夏。 もう、3年前になります。 「笑顔」でニコニコのさなちゃんかと思えば、 一瞬でへの字口になって「泣き顔」に変化する 言葉の代わりに表情で私たちに気持ちを伝えるのが とっても上手な女の子です。 そんな泣き顔を笑顔に変える特効薬はママ。 さなちゃんはママがいなくなると とっても不安になります。
ある時、ママが「先生、この絵本知

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「産まれてしまった…」
シホちゃんが産まれた時の
ママの心の声。

お腹の中にいる時から
病気があるのは知っていた。
「病気が重かったらどうしよう…」
不安になるのは当たり前だ。

しほちゃんは
ゴーハム病で
両手両足の骨(四肢骨)が
溶ける骨溶解が見られ、
ヌーナン症候群で
血液凝固異常がある。

そのほかにも
頭蓋骨腫瘍摘出で
頭蓋骨の一部はその時に
取り除いている為、
その部分に触れないよう

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今回はこころちゃんのお話です。
生まれてから約1ヶ月位まで、目を閉じたまま、
一瞬にっこりと笑顔になる「新生児微笑」
その後出てくる表情筋を自由に動かせず
笑っているような表情の「生理的微笑」
2ヶ月頃からみられる
人の顔を見てにっこり笑う「社会的微笑」

これらの赤ちゃんの笑顔は親だけではなく、
周りの人もその愛らしさに魅了されますよね。

今日のお話の「こころちゃん」はちょっと違っていました。

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いちかちゃんは術後低酸素性虚血性脳症後遺症、大動脈離断症候群、脳性麻痺、22q11.2欠失症候群の疾患をもつ女の子です。最後の疾患は染色体の22対(つい)目の片方の一部が欠失することによって定義づけられる、染色体起因疾患です。
起こり得る合併症は約180あると言われています。

周産期・小児医療の発展による生命予後の改善により、慢性疾患を持ち一般の小児に比べて医療サービスをより多く必要とする「医療

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「私の人生は終わった」と思った。

障がい児を出産した後の
気持ちがこうだったと私に話す。
これを読んで
あなたはどう思いますか?

ひどい母親だと思いますか?

でも、その先には
今までの人生で気づかずに
過ごすはずだった、
経験できない素晴らしいこと、
愛おしいと思う気持ち、
心打たれること、
心からの感謝、
命の大切さなど
ここでは障がいを持った我が子を
通して知り得た事が
たくさんあふれて

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あおとくんは現在小学校2年生。
脳性麻痺は、主に次の4つの型があります。
• けい直型
• アテトーゼ型
• 運動失調型
• 混合型
お話に出てくるアオトくんは

「アテトーゼ型脳性麻痺 」です。
脳性麻痺の小児の約20%にみられ、腕、脚、体幹の筋肉が自分の意思とは関係なく動いてしまいます。よじれるように動く場合や突然動く場合、断続的に動く場合などがあります。この動きは強い感情が起こると激しくなり

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りなちゃんは「口唇顎裂」「低位脊髄円錐」「脊柱側彎症」「運動発達遅滞」の疾患がある女の子です。
「口唇顎裂」は先天性異常の一つでお腹にいる早い段階で口唇や歯茎に割れ目が残ってしまうことです。400〜600人に1人の割合でこの疾患を持っているといわれ、そのままにしておくと空気が漏れ、うまく発音ができなかったり、赤ちゃんの時はミルクが上手に飲めません。大体1歳を過ぎた頃に手術を行い、綺麗にすることが出

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脳にダメージを受けると
今まで出来ていたことが
できなくなる。

体を動かすことも
話すことさえも…

昨日まで走り回っていた
自分の子どもが

もし、そうなったら、
あなたは何を願いますか?

#7 【仮死状態からの蘇生】初めての赤ちゃん。予定は3ヶ月後の夏に生まれるはずだった。いつものように職場で仕事をしていると、腹部に激痛、多量の冷や汗。夫に迎えに来てもらい、受診。特に異常は見られない。念の為、入院となったその夜。また激痛が走る。ナースコールを押しても夜間の出産で医師は対応不可。3度目のナースコール。その時は異常なまでにお腹が膨れていた。

「知ってもらいたい家族がいる。」動画版

「知ってもらいたい家族がいる。」
2020.1.30に全国と一部海外で無料配布された小冊子。
発行から1年。

障がいを持つ子どものいる家族の姿を
こどもの作業療法士が文字と声で語り、
家族・きょうだいのありのままのその瞬間を
写真家が切り撮る。

手の中で読む文字、目で見る写真から
視覚障害の方にも聞いていただけるよう
耳で聴く音声配信を2021年8月から開始。
2021年11月には足を運ぶ写
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【『吻合血管』と特別な臓器「胎盤」】
胎盤は不思議だ。
妊娠した時だけに出来る
女性のみが持つ偉大な臓器だ。

十月十日赤ちゃんを
優しく包み守っていく。

そして出産後、胎盤は
子宮から剥がれ落ち
その役割を終える。
それは後産と呼ばれる。

双子の赤ちゃんには
その胎盤と同じくらい大事な
『吻合血管』があるのは
ご存知だろうか?

この血管で双子同士
血液の交換をしながら
通常は成長する。

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#5 【ボクは奇跡を届けるために生きている】
「ボクの脳は500円玉と同じ大きさ。脳波は罫線のようにまっすぐ。だから臨床的には脳死。大好きなママの顔も見る事ができなくて、ママに”大好き”だって伝える事も出来ないんだ。でもね、ママはいつもボクの事を”奇跡の子”って言ってくれる。ボクはそんなママが大好きなんだ。ねぇ、みんなは知ってるかな?心の目ではボクはママのことちゃんと見えるし、心の声で言葉だって伝え

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