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オジサンの孤独を防ぐには?~神山まるごと高専・全国CARAVAN③

前回のコラムに続き、「神山まるごと高専」の全国CARAVANの様子をお伝えします。

起業家の講演に続いて行われたのは、ビジネスプランを作るワークショップ。初対面の中学生がひざを突き合わせてビジネスプランを考える学校説明会って、想像しただけでワクワクしますね。

ワークショップには、起業のためによく使われる「エフェクチュエーション」という理論が使われました。これは、次の5つの原則からなる考え方です。

①手中の鳥
今ある資源をもとに行動を起こす
②許容可能な損失
失敗しても許せる範囲で行動する
③パートナーシップの形成
異なるスキルを持つ仲間と一緒に作り上げる
④レモネード
失敗しても工夫してそこから価値を生み出す
⑤飛行機のパイロット
自分がコントロールできることに集中して動き続ける

中学生と大人は席が完全に分かれていたので、どんなディスカッションをしたのかは聞けませんでしたが、最終的にこんなアイデアが発表されていました。

★釣り堀とレストランを組み合わせた施設をつくる!
★アイデアがほしい人と、アイデアをマッチングするサービス!
★重機や建機を活用した発展途上国へのインフラ支援!

参加していた中学生にとって、濃密なひと時となりました・・・

と言いたいところですが、実は大人たちにとっても非常に有意義な議論の場でした。というのも、このイベントでは保護者を含む大人は部屋の後ろ側に集められていたのですが、大人たちにも同じミッションが課せられていたのです!

コミュニティづくりの大切さ

私は30代後半~40代の男性ばかり4人のテーブルでグループワークを行っていたのですが、ここで飛び交っていた話がとても示唆に富んだものでした。

グループの一人にNPO法人でコミュニティ活動などをされてる方がいて、その方の話から「人が集まってつながる場って大事ですよね」と話がふくらんでいきます。

そこからさらに話が展開して、「これから中高年男性の孤独が大きな課題になる」という話題になりました。2020年の国勢調査によると男性の生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は28.3%に上り、その中にはいずれ独居老人となる人も多いと思われます。

しかも、会社員一筋で働いてきた人は職場以外にコミュニティを持っていないことも多く、退職後に生きがいを見つけられない人もいます。徐々に家から出なくなり、認知症のリスクが高まる可能性もあります。

そんな話を繰り広げながら「オジサンが子どものように遊べる場所」「オジサンの独立支援」「新しいコミュニティに入るトレーニングの提供」などのビジネスアイデアが飛び交っていました。
(中学生以上にキャッキャと盛り上がっていた気がしますw)

また、そのNPO活動をされている方は「退職後の孤独を防ぐために『きょういく』と『きょうよう』が必要」という話を教えてくれました。これは「教育」と「教養」ではなく、「今日、行くところ」「今日の用事」だそうです。

まさに目からウロコのひと時でした。

中高年にこそ必要な起業家精神

この議論をしていて、私はサントリーホールディングスの新浪剛史社長が2021年に発した「45歳定年制」という言葉を思い出していました。当時は批判を浴びましたが、この真意は「60歳を過ぎてからキャリアに困らないよう、45歳あたりから自分の市場価値を再構築しましょう」というもの。

「会社という組織に依存した生き方ではなく、個人でも価値を生み出す力をつけましょう」
「会社の人間関係の中でしか仕事ができない人から、新しいコミュニティに恐れず飛び込んで、そこで価値を生み出せる人になりましょう」
真意はともあれ、そんなメッセージを感じるものでした。

これって、まさに起業家精神に通じるものがありますね。
「アントレプレナーシップ教育」というと、何となく若者向けのイメージがありますが、中高年の方にも、というより全世代に必要なものかもしれません。

「やっぱり『起業家精神』て年齢とか、起業するかどうかに関係なく、みんなに必要ですね。だからこんな学校が増えてくれたらいいですね~」
最後はこんな話で盛り上がりました。

それにしても、初対面のオジサン4人のワークショップが、これほど学びにあふれたものになるとは想像もしていませんでした。未知のコミュニティに飛び込んでいくと、予想外の発見や収穫があるものです。これも「起業家精神」を持つ上で欠かせない行動のひとつですね。



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