文章を魅力的にする組み立て方4選
文章において、構成はとても大事な要素です。起承転結、三幕構成、序破急などなど。構成って、要は情報を出す順番のことなんですが、それだけで文章の面白さって全然変わってくるんですよ。不思議ですよね。
今回はそんな奥深い文章構成の中から、魅力的な組み立てかたを4つ紹介していきます!
参考書籍
「あるある」から話しはじめる
セールスライティングで使える組み立て方です。一般的な文章にゴールがあるのだとしたら「人の心を動かすこと」です。
しかしセールスライティングは「お客に商品を買ってもらうこと」がゴールとなってます。「感動した」「恐怖を感じた」「面白かった」では、商品の購入に繋がりにくいです。
ここで紹介するのはジャパネットたかた元社長である高田明さんが書いた書籍の一部です。ウォーキングシューズを販売した時の導入部分です。
シニア向けのウォーキングシューズを売るとき。普通ならそのウォーキング良さを伝えたいですよね。たとえばメーカーの名前やシューズの機能、他のシューズと比較してこんなところが凄い!とか。
しかし、高田さんはこのやり方を真っ向から否定しています。曰く「面白くないから、関心を持ってもらえない」とのこと。
肝心なのは自分にとってのシューズの良さではなく、お客さんにとってのシューズの良さを話すことです。
お客さんにとっての関心は「シューズ」そのものではなく、「足腰のつらさ」にあります。ここを軸に徹底して伝えるべきなんです!
冒頭から読者に呼びかける形で注目を集めます。
シニアにとってのあるあるを列挙することで、読者が共感してくれます。
悩みを共感してもらったあと、これらの悩みを解決する手段を提案します。
ここからウォーキングシューズの紹介に入ります。とても自然な導入で惚れ惚れますね。このようにシューズの価値を「足腰を鍛え、日常生活を豊かにするモチベーション」にシフトすることで、上手くお客様に商品を訴求できます。
確かに自分が面白いと思うものを書き続けることも、創作における1つの道だと思います。
しかし今もし自分が伸び悩んでいて、どうにかしたいと考えているのなら、読み手にとっての面白さはなにか?を考えてから書き始めてみるといいかもしれません。
オチを先に書いてしまう
いわゆる「古畑任三郎方式」です。先に犯人(オチ)を明らかにし、刑事である古畑任三郎が、推理をもとに犯人を追い詰めるという方式です。
見たことがない人からすれば「え、犯人が分かるサスペンスって面白いの?」と思うかもしれません。これが面白いんですよ、ほんとに。
とにかく犯人が追い詰められていく過程を追うのが面白い。この点と点が線になる感じ。文章の構成でも応用できます。以下の文章はさくらももこさんのエッセイの一部です。
冒頭のこの部分が「犯人」(オチ)となってます。歌詞の「うすく切ったオレンジ」に注目してください。ももこさんはお姉さんとレコード店に行き、この曲を買おうとしますが、タイトルがわからない。仕方なく歌詞を思いだそうとしますが、どこかあやふやです。
読者はちゃんとした歌詞(正解)を知っているので「ミカンだかレモンってなに笑」と余裕のツッコミを入れられます。
「ミカンじゃなくてオレンジだって!!」読者はツッコミのギアを入れっぱなしです。古畑任三郎でたとえるなら、警察側が無実の人を犯人だと決めつけているシーンを見せられているようなものです。
真相の発見が、まさかの店内で流れるという秀逸なオチ。視界の隅の店員の反応は、そのまま読者の反応として捉えることができます。
このようにオチをある種の伏線として活用できれば、読者に「いつ最初のオチ(伏線)が回収されるんだろう」と興味を引かせることができます。
謎は解くのも楽しいですが、解き明かされるのも楽しいものです。
アンチに対するフォローを入れておく
自分の伝えたいことが斬新であればあるほど、読者はなかなか同意してくれないものです。だからこそ想定される反論のフォローを先回りすると、読者は受け入れやすくなります。シンプルな言葉でその反発を片づけるイメージです。
読者からすれば「そこまでいうなら聞かせてもらうじゃねぇか…」と、一旦腰を下ろして聞いてみたくなります。
以下の文章は近藤麻理恵(通称こんまり)さんの「人生がときめく片づけの魔法」の一部です。
著者は片づけのコツをはっきりと書いています。「一生」なんて言葉があったらびっくりしますよね。著者はさらに畳み掛けます。
「えっ、完璧に片づける……?」きっと誰もが怯んでしまう文章です。そもそも読者は、楽に片づける方法を知りたいからこんまりさんの本を買ったはずです。それなのにかえって大変そうなことを勧められている。思わず本を放り出したくなりますが、その瞬間を彼女は見逃しません。すかさずフォローに入ります。
いかがでしょう。読者の反応を想定して「心配いりません」と安心させます。そして「なぜなら」のあとに、その理由を加えています。
こうされると、誰でも続きが読みたくなってしまいますよね。こうなったら読者はこんまりさんの話に釘付けです。
このように斬新な発言をする場合は、反論を受け入れる姿勢を持つと、大勢の人がついてきてくれるようになります。
思い切ったことを断言する→反論を想定する→(シンプルな言葉で)フォローする。
ぜひ使ってみてください!
言いたいことを、言い換える
文章は自分の伝えたいことを発信する方法の1つです。しかし伝えたいことにばかり気を取られてしまうと、文章全体の構造が脆くなってしまいます。
「コンパクトにまとめようとしたら、ほんとにコンパクトに終わってしまった」とか「伝えたいことの半分も伝えきれてない!?」とか。
そんなときに使えるのがこちらの手法。実は言いたいことは展開しなくても、言い換えができます。
具体的には「慣用句をアレンジして使う」という方法です。自分の提唱する新しい考え方、主張を、アレンジした慣用句に乗せて発信できれば、魅力的な文章構成が完成します。
以下は作家の斎藤考さんの書籍の一部です。
斉藤さんは最初に「動詞は、その人の生きる姿勢に投影されやすい」という一文でキーワードを出しています。以降はこのキーワードに関する詳しい説明が続きます。
ここで「名は体をあらわす」という慣用句をアレンジした「動詞は体をあらわす」が登場します。
著者はこのアレンジを使って「動詞は、その人の生きる姿勢に投影されやすい」という主張を補足しているのです。しかも旧来の慣用句よりも断然説得力があります。
面白い文章とは、読者に新しい見方、価値観を提供できる文章です。読者があなたの文章を読んで新しい視座が手に入ったのなら「読んでよかった」と思ってくれるはずです。
慣用句のアレンジはそういった視座を与えるための文章の組み立てに適してます。あの言葉を、違う方向から見てるんだなと、すぐにわかってもらえるからです。ぜひ慣用句を利用して、立体的な文章を作ってみてください!
まとめ
✅あるある→共感→提案はセールスライティングで使える型。
✅先にオチを書くと、点と点がどう繋がるのか気になる文章が作れる。
✅思い切った発言の後にシンプルなフォローを入れると説得力が増す。
✅慣用句をアレンジして、自身の主張に加えると説得力が増す。
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