ご先祖供養と夏休み
2022.8.11【124限目】
小さいころの夏休み
私が小学校の中学年になった頃からは、母が仕事をしていたので、夏休みは妹と一緒に1か月ほど母の実家で過ごしていました。
田舎に行く時は、山陽本線の姫路駅で姫新線の蒸気機関車に乗り換えて行きます。トンネルに入ると一斉に窓を閉めます。(石炭を燃やした臭いや、燃えカスの炭が服について、薄黒く汚れてしまいます。)
トンネルをいくつも越えていくと、田舎暮らしの夏休みの始まりです。母の実家は兵庫県から岡山県の入ったすぐの所にあり、山間の小さな村で、前には幅5メートルぐらいの小川が流れています。隣の家までは100mぐらい離れています。
朝起きたら、祖父が朝露をいっぱい含んだ草を刈って、その塊を前と後ろに棒で担いで、家までの坂を上ってきます。刈ってきた草を牛のエサにするために大きな裁断機で切って牛に食べさせます。母屋の入り口の右側が牛の部屋です。
お昼は前の川でいとこたちと泳いだり魚を獲ったりして遊びます。自転車でアイスキャンディーを売るおじさんが来ると、祖母にねだって買ってもらいます。
裏山の赤土の斜面で、山滑りを楽しんだり、祖父に竹竿の先に輪を付けてもらい、そこにジョロウグモの巣を網のように巻き付けてセミ捕りを楽しんだり、山に探検に行ったり、畑に行って温かいトマトをかじったり。
日が落ちると、満天の星空を見ながら、五右衛門風呂に丸い木の底板を両足でそーっと沈めながら入り、周りの鉄の熱い所に触らないように入るのも楽しい経験でした。
ただ、暗くなってから、母屋から離れたトイレに行くのは怖かったのを覚えています。
田舎生活でのお盆
お盆には、母の実家に親戚の人がお参りに来たり、泊まったりと、とても賑やかで、叔母はとても忙しそうでした。
お墓は、家の横の少し高くなっている所に、ずいぶん昔の石のようなお墓から今に至るまでのお墓がずらーっと並んでいます。そこにお水とお米を持って行き一つ一つのお墓にお参りします。夜になると庭で炭をおこして、バーベキューをしていつもと違った食事会が始まります。
田舎暮らしでお盆は「8月13日~16日までの間にご先祖の霊をお迎えして供養し、またお戻りいただくという行事で、田舎ではお正月と同じぐらい重要な行事」ということを知りました。
私が結婚をして、夫と一緒に子供を連れてお盆に田舎へ帰りますと、いとこたちも家族で実家に帰ってくるので、とても賑やかなお盆になります。
やっぱり夜は庭でバーベキューが始まります。みんなが仲良くしていることが一番の先祖の供養になっていると思いました。
我が家のお盆
私の家には仏壇があります。一番近くて亡くなった母の命日に、毎月お寺さんがお参りに来てくださいます。
日常では、朝、仏壇に「今日も一日、みんな仲良く元気に暮らせますように。」と、手を合わせます。夜は、炊き立てのご飯を供えて「今日も一日、無事仲良く元気に過ごせました。」と、手を合わせます。
お盆は夫の実家のお墓、私の実家のお墓、私たちのお墓の掃除をして、お迎えをします。
特に何かを信仰しているという事では無く、先祖がしてきたように、父や母がお祭りしていたように、それが習慣になっているのですが、手を合わせる事で一日のくぎりがつくことと、一日を振り返り、感謝の気持ちを持てることがいいなあと思っています。
コロナが蔓延する前は、お盆になると、親戚の叔父や叔母や妹の一家が来て、にぎやかなお盆でした。コロナ禍の今は、家族だけで、13日にお迎えをして、代々、家を守ってくれた先祖に、感謝の気持ちを込めて供養し、16日には送り盆で精霊を送ります。これが我が家のお盆です。
お盆を前に思う事
おめでたいことがあり、いいことがあると「盆と正月が一緒にやってきた。」と、いう言葉がありますが、お正月とお盆は、日本人にとっては、一年の中でも大きな行事になっていたようです。
大阪にいるとあまり感じませんが、田舎へ行くと、お盆の時期になると実家に帰省して、お墓参りやお供えをします。
私の小さかった頃は、盆踊りも行われていて、浴衣を着て参加するのが楽しみでした。盆踊りは、本来先祖の霊を供養するという意味合いがあるそうです。
今年は3年ぶりに、徳島県の阿波踊りが再開されたと聞き、早く日常に戻って欲しいと思いました。
8月になっても、新型コロナウイルスの流行が衰えを見せません。集中豪雨も多くなり雨の被害も多く出ています。暑い日が続き、多くの人が熱中症にもなっています。お盆が過ぎると、暑さは少しおさまると思います。
日常の生活に気を付けながら、残り少ない夏休みを楽しみたいですね。
【編集担当より】
《夏が過ぎ風あざみ~♪》いつも少年時代のフレーズを聞くと、入道雲と田舎のあぜ道と川のせせらぎをイメージします。たぶんそういう映像や体験があるのでしょうね。例年よりも暑い夏(毎年言っている気もしますが)もお盆が過ぎ、残暑へ向かっていく頃でしょうか。夏の忘れ物をしないように、最後まで楽しみたいと思います。
祖母の実家は、岡山の山奥の古い家でした。一面に田んぼが広がり、親戚のお兄ちゃんに山遊びを教えてもらうのが楽しみでした。また祖母も山育ちなので、いろいろな遊び方や山菜取りに連れて行ってくれました。
一番衝撃だったのは、祖母とお菓子を買いに近くのお店へ川沿いを歩いていると、蛇がにょろにょろと出てきました。怖くなって祖母の後ろに隠れると、《なんもこわありゃせん》と言って、しっぽをつかんでぐるぐる回し始めました。そして川へ投げ入れました。《あんたは怖がりやな》と言われましたが、いやいやおばーちゃんがタフなだけと思った次第です。
良い夏の思い出は、音楽や景色と共にふと思い出されるものです。特に小さい頃の思い出はずっと残るかもしれませんね。たくさんの良い夏の思い出がありますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?