#読書随想
『海がきこえる』氷室冴子著(徳間書店):図書館司書の読書随想
この本は、今まで何度読み返したことか。爽やかな青春を追体験でき、読了したそばから、また再読できる日を心待ちにするほど好きな本だ。
はじめて読んだのは、私が高校三年の時。物語は主人公が大学に進学し、それからの一年と高校二年の時に転校して来たヒロインとの関わり合いを思い出す形で進んでいくので、まさに自分と同年代の話と言えた。
ただ、私が通っていた学校は男子校だったので、同じクラスに女子がいるとい
「七階」ブッツァーティ著:図書館司書の短編小説紹介
ジョゼッペ・コルテは病気の治療のため、その分野では定評のある療養所へ赴いた。
そこは七階建ての白いビルで、病状が軽い人は上階に、重くなるにつれて下の階に移ってゆくというシステムを採り入れていた。
最上階、つまり一番軽い症状の患者が入る七階の病室を当てがわれたコルテは、看護婦からのその説明を聴き、それは病気の程度に合わせた段階的な治療を徹底的に施すことができるため効率的だと、好意的に評価する。