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鐔鑑賞日記

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#古金工

古金工 アイヌ鐔?①

古金工 アイヌ鐔?①

「371g」とやたらと分厚くやたらと重い銀の覆輪がかけられた実戦に使うには向いていなさそうな山銅鐔。
家紋のような銀の紋様が取り付けられている。
アイヌ鐔によく見られる特徴に似ている気がする。
北海道のお店で購入したのでその可能性も高いかもしれません。

横85.9×縦84×耳9.9(切羽台厚7.9㎜)、371g

覆輪の接続部。

覆輪の接続部が茎孔の真下にくる鐔は多いが、この鐔は少し右方にずれ

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丸櫃孔の鐔④ 薄すぎる厚みについて

丸櫃孔の鐔④ 薄すぎる厚みについて

個人的に結構古そうに感じている丸櫃孔のある鐔について。
以前のブログで描かれた文字の解読まで出来ました。

暫く仕舞っていたのですが久々に取り出し鑑賞。
改めて見るとその薄すぎる厚みについて引っ掛かかる。

厚みで言えば2.5~2.7mmしかない。

案の定というか横から見るとだいぶ歪んでいる。

以前もブログには書いたが、茎孔がやたらと大きく、普通にそのまま考えるとするならば3.5~4尺近い大太

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銀布目象嵌鐔

銀布目象嵌鐔

一見小汚いがよく見ると全体が銀の布目象嵌で華やかに彩られている鐔を鑑賞。
覆輪部には唐草模様がデザインされている。
素材は特定が難しいが、鉄などの素材に思えるが匂いから山銅かもしれない。いまいち自信がない。
横72.7㎜×縦74.6㎜×耳厚6.3㎜、切羽台厚5.3㎜

布目象嵌部の拡大。耳部も縁まで丁寧に象嵌が施されており、錦布を触っているような感触が鐔から得られる。

茎孔や櫃孔を覗くと3枚合わ

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古金工鐔 唐草模様図鐔①

古金工鐔 唐草模様図鐔①

表に葡萄の葉と蔦、裏に葵の葉と唐草を毛彫で表現し、水滴を表現しているのか金と銀の点象嵌が施された古金工極めの鐔。
この鐔の鑑賞記録を残しておく。
縦77.6mm×横76.1mm×耳厚4.5mm、切羽台厚3.8mm。

・象嵌部の拡大金と銀の点象嵌は綺麗な丸い形をピッタリはめ込んでいるというよりは、球のような窪みにラフに打ち込んでいる様子が見られる。

因みに象嵌が外れている部分もいくつかあり、その

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古金工鐔(花弁虫散図)①

古金工鐔(花弁虫散図)①

最近少し刀装具の鑑賞記録を残せていなかったので久々に。
古金工極めの花弁虫散図鐔である。
縦76㎜、横73㎜、耳厚5㎜、切羽台厚3㎜。
材質は鑑定書では四分一とある。

縦に魚々子が入り古色が感じられる。
「花弁虫散図」という名称が付いているが、虫は蝶と蜂と思われる。
一方で描かれた草花は多い。

草花は知見がなく、どのような物が描かれているか分からないものが多い。

更に鐔全体を駆け抜けるように

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古金工 家紋小物袋鐔①

古金工 家紋小物袋鐔①

室町時代ごろと思われる比較的小振りな山銅地の鐔。
小物の入れ物と家紋が高彫されたような意匠をしている。
大きさは横59.4×縦59.9×切羽台厚3.3、耳厚3.7mm。

櫃穴は山形と角形をしており、古い形状の櫃孔である事が分かる。

丸櫃孔の鐔③ 書かれた文字を解読

丸櫃孔の鐔③ 書かれた文字を解読

丸い櫃孔を有したちょっと変わった鐔には文字が金象嵌のような感じで書かれています。
この文字を個人的にも調べていたのですが、正直全く分からず…。

こんな時は以前鐔の文字解読に役に立った崩し字アプリ「miwo」を試してみる。
しかし…金象嵌であるからか、そもそも文字を認識してくれず断念。

・「ココナラ」で崩し字の翻訳を依頼という事で専門家に翻訳を依頼しようと思い、辿り付いたのが「coconala(

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古金工 素文鐔②

古金工 素文鐔②

今回は角形、山形と言われる古い様式を示した櫃孔を持った大振りな打刀鐔についての鑑賞記録です。
①はこちら↓

①素材と構成について

古金工 菊花透鐔①

古金工 菊花透鐔①

この鐔を初めて見つけたのは9ヵ月前、とある刀剣店のサイトであった。
古い鐔に興味を持ち始めた頃で、サイトを色々探しまわって気になった鐔をまとめていた事がありそれをブログに書いたりもしていた。

これを書いてから7ヵ月位経った時だったか。
ブログ執筆時は売約済となっていたこの鐔であるが刀剣店を訪れ刀展示ケースの打ち合わせが終わった後に「古金工系の鐔ありますか?」と話をしたところ3枚程見せて頂けたので

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古金工(素文鐔)①

古金工(素文鐔)①

室町から桃山時代にかけての打刀拵に付けられたと思われる鐔を手にした。古金工鐔とすべきか悩むところでもあるが、恐らくその極めが付くだろうと思いそう題した。

古金工 獅子目貫①

古金工 獅子目貫①

古金工とは桃山時代以前に製作されたとされる作で後藤や美濃など特定の流派の極めがつけ難い物を指しており、言わば作者不明の金工郡の事を指しているようである。

この目貫もまたそんな作者不明の物で、桃山時代頃の物とのこと。

太刀師鐔 小菊模様図 ①

太刀師鐔 小菊模様図 ①

先日新たにコレクションに加わった鐔をじっくり眺めてみる。
菊花模様の刻印が一面に施された山銅地の鐔で表面には山銅の茶色っぽい地鉄と黒ずんだ地鉄が見え、良い艶感がある。

縦6.9cm ×横6.6cm ×切羽台厚0.8 cm 、耳厚0.7㎝、重量 187g

この菊花の刻印であるが一見ランダムに打たれているように見えるがよく見ると規則性を持っているのが分かる。
遠目から見ると大切羽のような形に見える

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古金工_花唐草雪雁渦文図鐔①

古金工_花唐草雪雁渦文図鐔①

今回は貴重な生ぶの櫃孔を残した古金工鐔について見ていて気付いた事をまとめようと思います。
鑑定書は赤銅となっているものの、色合いから山銅と思われる。
室町時代頃の古金鐔には櫃孔の周りを鏨で縁取りするという所作がまま見られるが、この鐔にもその縁取りの跡が見られる。