刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケー…

刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケースを製作中。 刀が三度の飯より好き。 HP https://www.katana-case-shi.com/ ツイッタ https://twitter.com/katana_case_shi

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定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

このnoteも気が付けば630日以上毎日更新している日本刀ブログとなりました。実は1週間ほど前から「刀箱師の日本刀note」という定期購読マガジンをスタートしています。 今回はこのマガジンを定期購読するとどういった記事が読めるのか?について書こうと思います。 ①定期購読すると読めるものについてこちらでは過去に書いた記事を全て無料で見れる他(単体購入記事以外)、定期購読者の方限定で読める公にはあまり書きづらいような事など含めてまずは月に2〜4記事を目標に触れていく予定です。

    • 日本刀の伝来を調べたい時に便利な「売立目録」の検索

      所有刀の伝来を調べたい時の手段の1つとして売立目録を調べるという方法があります。 売立目録というのは大名家や著名コレクターの蒐集した美術品が売りに出された時のいわばカタログのようなもので、明治後期から昭和までに数多く開催され残っています。 2015年には東京文化財研究所がこの期間に発行された2532冊の売立目録をデジタル化する事業を開始し、2019年にはデジタルアーカイブとして完成したのは記憶に新しいです。 この売立目録デジタルアーカイブは、東京文化財研究所資料閲覧室の専用端

      • 第14回「刀屋さん見学会」開催します!(9/14 13:00~)

        2024/9/14に第14回「刀屋さん見学会」を開催します! 参加方法については④に書いてありますので、内容を理解されている方は④まで飛ばしてお読みください。 ①刀屋さん見学会とは刀屋さんに行ってみたいけど1人では行く勇気がない方や、刀に興味があり正しい知識を付けたい方を対象に、少人数で刀屋さんを訪問し実際に店内の刀を手に持たせて頂きながら、鑑賞マナーや鑑賞方法、刀を見るポイントなどを教えて頂く初心者向けのイベントです。 刀を一度も持った事の無い方も安心してご参加下さい。

        • なんでも鑑定団の郷の義弘の刀を巡って

          リアルタイムでは見れていないのですが、なんでも鑑定団に出ていた郷義弘の刀が本物だったようです。 金額は以下から見れます。 オープン・ザ・プライス…! しかしどうやら既に重要刀剣に指定済みの有名な刀だったようです。 「重要刀剣」というのは、日本美術刀剣保存協会(民間の信用度の高い鑑定機関)が本物と定めた上で更に出来が良い物にのみ指定されるものです。 つまり既に「正真」と分かった刀がなんでも鑑定団に出た事になります。 鑑定士の柴田さんも番組が始まる前に一度見ているとは思いま

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        • 刀箱師の日本刀note(初月無料!過去記事も読み放題)
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          892本
        • 刀展示ケース製作日記
          158本
        • 愛鐔紹介
          74本
        • 刀装具
          193本
        • 刀工について
          45本

        記事

          卓上短刀箱の「2段仕様」の製作

          製作している短刀用の展示ケース「卓上短刀箱2.0」の前後方向を少し大きくして拵と刀身を上下に並べて展示出来るものを製作してみました。 拵を下段に飾る事も出来ます。 なるべく上下方向をコンパクトに製作したく上下段の幅を狭めていたところ、別部品で作るよりも一体にしてしまった方が見栄え良さそうだったので一体にしてみました。 本当は現状の卓上短刀箱2.0にそのまま刀受けだけ差し替える事で改良出来れば良かったのですが、前後方向の幅が足らず、そう単純ではなさそうでした。(ケースの高

          卓上短刀箱の「2段仕様」の製作

          鏡師鐔① 鶴亀紋

          少し前に以下のブログを書いたのだが、無事海外から取り寄せる事が出来た。円安もあり想像しているよりも高くついてしまったが、里帰りさせることが出来たとでもいうべきか。 白銅地の古鏡に茎孔と櫃孔をあけ、茎孔は鉛が埋め込まれている。 紋様は鶴と亀、亀甲紋に菊と思われる。 横76.5mm×縦75.9mm×耳厚6.6mm(切羽台厚4.3mm)

          平安城鐔① 鹿紅葉図

          非常に洒落ていて実に日本らしさを感じる鐔。 鉄地に紅葉と鹿が象嵌で描かれており、櫃孔を銅(鍍金)で埋めている。 横72.9mm×縦75.6mm×厚み4.2mm。時代は室町~桃山頃だろうか。

          根の無い目貫

          目貫には大抵棒状の突起が裏側に付いている。 これを「根」というが、大別して「丸」「四角」「無根」の3種類ほどあるように見受けられる。 このように根には丸い物や四角い物などがあるが、古い物、例えば古美濃や蝦夷などはこうした根がない物がまま見られる。 こうした目貫は松脂などを埋め込んで柄に直接固定する以外に方法は無いように思うが、そうした固定方法が戦の多かった室町時代当時に主流だとしたらそもそも「根」は必要なかったのではないだろうか、と疑問にも思う。 思い返してみると不思議な

          鐔の現存する刀工

          室町時代頃の製作と考えられる古刀匠鐔などは元は刀匠が刀を1振り製作する度に簡易的な(装飾の無い)鐔も合わせて製作していたという説がある。 こうした室町期の鐔には銘が無い物が殆どであるが、桃山時代頃から鐔にも銘を入れるようになる。 代表的な所でいえば、金家、信家、埋忠明寿であるが、中でも埋忠明寿は刀の作も現存している事から、鐔も刀も現存しているという意味では一番古い刀匠であり金工であるとも言える。 そして江戸時代中期になると最上大業物として有名な長曽根虎徹が登場するが、虎徹

          完璧を求めると名刀は手に入らない話

          先日「大素人」という昔の刀剣書籍を読んでいたところ興味深いコラム「往時回想の記 文:三田彰久」を見つけた。 中務正宗は現在トーハクに所蔵されており、中務正宗という号は中務大輔を称した本田忠勝所持にちなみ、徳川家康が所持した事でも知られる。 物打ちあたりの小さな鍛え割れのような疵、というのは以下の写真でいえば切先したあたりの鎬筋あたりにある疵の事だろうか。 この話は先日Xにも投稿したのだが、実はこの話にはまだ続きがある。 つまり話を大まかにまとめると、会社を救うために止む

          完璧を求めると名刀は手に入らない話

          肥前国忠吉 鑑賞メモ

          肥前国忠吉(初代)の初期作から晩年作まで3振と、陸奥守忠吉(3代)1振の重要や特重の名品を手に取り拝見させて頂いたのでメモ。(因みに画像の忠吉短刀は関係ありません。鑑定書ランクは書かなくても良いかと思いましたが名品と書くだけでは主観になり分かりづらいので分かりやすさの指標として書いておきます) 1振目はいわゆる秀岸銘時代の作で肥前国忠吉と五字銘の入った初期銘の作。 中切先でやや浅く反り南北朝頃の太刀を大摺り上げしたような姿をしている。 地鉄は大和物にも似た潤いがあり、肌は区

          剣(粟田口)④ 拵のこと

          前回 今回はこの剣に付帯している拵について紹介しようと思います。 特段良い拵というわけではなくおまけ程度の拵には思うのですが意外に凝った面白い部分などもあります。 銀杏の目貫が付いています。 裏を見てみないと良く分かりませんが、単品で買うとしても5000~1万円位で手に入る目貫ではないでしょうか。 ただ拵に用いるデザインとしては上品さを感じます。 獅子や龍など動物の目貫は躍動感から武士の気概などが感じられるような気が個人的にはするのですが、こうした植物の刀装具はどちらか

          剣(粟田口)③ 鎺のこと

          前回 今回はこの剣についた鎺を紹介しようと思います。 剣は上からみるとひし形になっている事もあり、鎺もひし形になっています。 面白いですよね。 個人的にはとても好きな形です。 剣のハバキは左右対称で取り付け向きが分かりづらいという欠点があります。よーく見ると僅かに違いがあるのでそれで見極めつつ、ゆっくりハバキを上げていき引っ掛からない方、という感じで装着しています。 鎺の全体写真はこんな感じ。 ぱっと見、金無垢に見えます。 実際結構ズッシリします。 うーん、良く分か

          剣(粟田口)② 体配のことなど

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          剣(粟田口)② 体配のことなど

          剣(粟田口)① 刃文や地鉄のことなど

          無銘の剣。 刃長18.2cm、元幅1.4cm、元重8.5mm。 日刀保の極めでは粟田口となっている。 大体売り物で出ている剣の重ねは4~6mm位のものが多いので、その中で8.5mmというのかなり健全な部類にはなると思う。勿論元々薄い造りの古剣もあるので6mmだから研ぎ減っていると判断出来るわけではない。 ・刃文について何と言えば良いかなかなか難しいが、のたれに足入り一部二重刃掛かる、とでも表現すれば良いだろうか。 沸出来で匂口は相対的に深めに見える。 刃中にはそこまで働き

          剣(粟田口)① 刃文や地鉄のことなど

          静嘉堂文庫「超・日本刀入門 revive」展を見て

          静嘉堂文庫で8/25まで開催中の「超・日本刀入門 revive」展にようやく行ってきました。 今回の展示は重文、重美中心の名品揃いで(中には国宝も)、曜変天目以外は全て撮影可というのも嬉しいです。 太刀置きが多く刃文は目線をかなり落として70cm位の高さで見る必要があり30歳を越えた人は腰が痛くなるかもしれません。 ただライトが非常に綺麗に当たっているので腰さえ落とせば刃文などは見やすいです。 刀剣乱舞コラボということもあり平日の昼間でしたが結構混んでいました。(誰かしら

          静嘉堂文庫「超・日本刀入門 revive」展を見て