刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケー…

刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケースを製作中。 刀が三度の飯より好き。 HP https://www.katana-case-shi.com/ ツイッタ https://twitter.com/katana_case_shi

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定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

このnoteも気が付けば630日以上毎日更新している日本刀ブログとなりました。実は1週間ほど前から「刀箱師の日本刀note」という定期購読マガジンをスタートしています。 今…

「刀剣美術」の誌上鑑定がQRで楽に?!

「刀剣美術」という日刀保(日本美術刀剣保存協会)の会員になった人だけが貰える冊子があり、そこには毎月1題「この作者はだれでしょう」という形で問題が出されています…

名刀は海外へ。大名刀はまだ国内に。

円安の影響もあり刀が海外で高く売れているようですね。 とはいっても全ての刀が海外で高く売れているわけではなさそうで、完全に2極化しているようです。 例えば清麿や虎…

展示会での個人蔵の出品について

次回の刀剣博物館の展示「五ヶ伝と五カ国の日本刀」の展示目録が発表されました。 宇和島伊達侯爵家伝来の在銘国永や、名物鍋島藤四郎(吉光)、在銘の正恒や年紀入りの新…

第13回「刀屋さん見学会」レポ

今日は13回目となる刀屋さん見学会を行いました。 刀屋さん見学会とは、刀をまだ手に取った事が無い人や、刀剣店に1人で入るのに抵抗がある初心者の方などを対象に、実際に…

断捨離と預金減

今日は刀装具を2つ下取りに出せました。 2つ出して1つ手に入れたので所持数マイナス1。 預金もマイナス。 引き出しの中に桐箱1つ分の空間が生まれました。 手持ちの刀装具…

刃区数センチ上にありがちな凹み

刃区から数センチ上が部分的に凹んだように見える刀を時々見る気がします。 以前購入した歴戦の刀と呼んでいるこの刀もこれに該当。 大げさに書くと、以下の赤線の様に刃区…

漫画「燃えよ剣」で歳三がノサダの刀を手に入れるシーンがはめ込まれているようにしか見えない件

2021年に公開された映画「燃えよ剣」 なんとその漫画も出ていたようで。 個人的に好きな映画の一つなのでその漫画版という事でこれは全巻読もうと決めました。 その一部が…

【お知らせ】「短刀箱」の寸法変更等について

制作している短刀展示ケースの中で最上位モデルとして位置付けている「短刀箱」ですが、拵が少し大きい物でも納まる様に横幅を100㎜大きくしました。(600→700㎜) これに…

成木鐔⑰道歌鐔(信家写)

今回紹介する鐔は無鑑査鐔工、成木一成氏により平成4年に作られた信家写の道歌鐔。 刀連全国大会の天位賞で送られた鐔と箱書きがあります。 この本歌は以下になります。 …

糸巻太刀拵のささやかな発見

現在目貫は単体で楽しむアイテムとしても地位を確立していますが、本来は柄に付いて実用を兼ねていました。 しかし拵などが展示されていても鐔や下緒、縁頭などの金具には…

成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。 箱は無いが銘の形はこの時期の…

成木鐔⑮ 赤坂初代忠正 鉢木透写

好きすぎる成木鐔の紹介が止まりませんが、手元にある成木鐔でまだ紹介していない物がいくつかあるので気が向いた時に載せていきます。 今回は有名な赤坂鐔の鉢木透写の鐔…

名刀を名刀と見極めるのは初心者の頃ほど難しい

刀を見始めて日が浅い内は全ての刀が綺麗に美しく見えるものです。 はじめて刀を手に持って鑑賞した時などは興奮と緊張状態でまともに刀を見ることもままならなかった記憶…

「日本刀を後世に残す事が大事」は一見ごもっともだが、難しい

「日本刀を後世に残す事が大事」 ごもっともな意見で実際「綺麗な言葉」でもあるので唱えれば多くの人から同意を得られる事でしょう。故にこれを唱える人も多いです。私含…

最近の製作状況の事など(刀箱と刀箱箔漆の製作)

最近暫く製作していた刀箱と刀箱箔漆の製作がようやく終わり梱包まで終わりました。大型テレビ位の梱包サイズになるので部屋の大部分を占めてしまいます。 以下は完成した…

定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

このnoteも気が付けば630日以上毎日更新している日本刀ブログとなりました。実は1週間ほど前から「刀箱師の日本刀note」という定期購読マガジンをスタートしています。

今回はこのマガジンを定期購読するとどういった記事が読めるのか?について書こうと思います。

①定期購読すると読めるものについてこちらでは過去に書いた記事を全て無料で見れる他(単体購入記事以外)、定期購読者の方限定で読める公にはあ

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「刀剣美術」の誌上鑑定がQRで楽に?!

「刀剣美術」の誌上鑑定がQRで楽に?!

「刀剣美術」という日刀保(日本美術刀剣保存協会)の会員になった人だけが貰える冊子があり、そこには毎月1題「この作者はだれでしょう」という形で問題が出されています。
実物の刀を見ずに誌面でやる刀の鑑定なので誌上鑑定。
今まで応募がハガキという事もあり面倒でやっていなかったのですが、なんと令和6年4月号の刀剣美術より、QRを読み込んで回答が出来るようになったようです!!

QRを読み込むと、会員番号や

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名刀は海外へ。大名刀はまだ国内に。

名刀は海外へ。大名刀はまだ国内に。

円安の影響もあり刀が海外で高く売れているようですね。
とはいっても全ての刀が海外で高く売れているわけではなさそうで、完全に2極化しているようです。
例えば清麿や虎徹、村正、正宗という有名工は高いそうです。
五ヶ伝で言えば相州伝は人気だとか。
金筋や砂流し、地景など目に見えて派手さがあり分かりやすいからかもしれません。
一方で日本人が好き?な粟田口などはそこまでの人気ではないと聞きます。
地鉄の奥ゆ

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展示会での個人蔵の出品について

展示会での個人蔵の出品について

次回の刀剣博物館の展示「五ヶ伝と五カ国の日本刀」の展示目録が発表されました。

宇和島伊達侯爵家伝来の在銘国永や、名物鍋島藤四郎(吉光)、在銘の正恒や年紀入りの新藤五国光、名物大島行光、芦屋正宗や蜂須賀正宗、太鼓鐘貞宗、重美の廣光などなど個人蔵の名品も多く並ぶようです。

以前開催された「珠玉の名品展」も個人蔵中心の名品(特重)が並び素晴らしかったですが、前回の「正宗十哲」展もあれだけの名品がよく

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第13回「刀屋さん見学会」レポ

第13回「刀屋さん見学会」レポ

今日は13回目となる刀屋さん見学会を行いました。
刀屋さん見学会とは、刀をまだ手に取った事が無い人や、刀剣店に1人で入るのに抵抗がある初心者の方などを対象に、実際にお店で刀の鑑賞方法やマナーを教えて頂こう、という会です。

場所はいつもながら帝国ホテル内の「霜剣堂」さんです。
ロビーに綺麗な花が飾ってありますがその近くで参加者の方と待ち合わせお店に移動しました。

①見学会スタートお店に着くといよ

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断捨離と預金減

断捨離と預金減

今日は刀装具を2つ下取りに出せました。
2つ出して1つ手に入れたので所持数マイナス1。
預金もマイナス。
引き出しの中に桐箱1つ分の空間が生まれました。
手持ちの刀装具が1つ減る、量が減る事になぜか嬉しさがこみ上げてきます。
これは断捨離出来た事への達成感に近いかもしれません。

買う時は「これしかない!欲しい!」と即買いしてしまったものも暫く鑑賞している内にあまり感動が得られなくなり、次第に鑑賞

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刃区数センチ上にありがちな凹み

刃区数センチ上にありがちな凹み

刃区から数センチ上が部分的に凹んだように見える刀を時々見る気がします。
以前購入した歴戦の刀と呼んでいるこの刀もこれに該当。
大げさに書くと、以下の赤線の様に刃区の少し上だけが一段下がっているように見えるのです。

研ぎ減りが進んだ刀であれば下の図の②の様に(絵は大げさですが)一度凹んだ部分はそのままの幅で伸びていくような姿が何となく素人考えでは自然に思えるのですが、結構①のように部分的に凹んだ刀

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漫画「燃えよ剣」で歳三がノサダの刀を手に入れるシーンがはめ込まれているようにしか見えない件

漫画「燃えよ剣」で歳三がノサダの刀を手に入れるシーンがはめ込まれているようにしか見えない件

2021年に公開された映画「燃えよ剣」
なんとその漫画も出ていたようで。
個人的に好きな映画の一つなのでその漫画版という事でこれは全巻読もうと決めました。

その一部が今日公式アカウントからXで投稿されており、内容はなんと土方歳三が二代兼定(ノサダ)を手に入れるシーンでした。
(尚、現実では歳三の刀はノサダではなく十一代兼定の為、司馬遼太郎原作の「燃えよ剣」はフィクションと思われます)

このシー

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【お知らせ】「短刀箱」の寸法変更等について

【お知らせ】「短刀箱」の寸法変更等について

制作している短刀展示ケースの中で最上位モデルとして位置付けている「短刀箱」ですが、拵が少し大きい物でも納まる様に横幅を100㎜大きくしました。(600→700㎜)
これにより今まで全長50㎝以下の短刀や脇差、及び拵の展示に限られていたのですが、全長60㎝以下まで飾って頂けるようになりました。
また横幅を広げた事でライトも1灯追加し、3灯→4灯に増やしています。(オレンジ色ライト:2灯、白色ライト:

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成木鐔⑰道歌鐔(信家写)

成木鐔⑰道歌鐔(信家写)

今回紹介する鐔は無鑑査鐔工、成木一成氏により平成4年に作られた信家写の道歌鐔。
刀連全国大会の天位賞で送られた鐔と箱書きがあります。

この本歌は以下になります。

表裏それぞれ並べて見ます。
櫃孔は後世開けられたものと思われるので、写の方は製作当初の形を再現するためか櫃孔は開けられていません。

この鐔は平成作でいわゆる成木氏の作風が確立した頃の作と見られ、トロンとした艶やかな地鉄をしている。

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糸巻太刀拵のささやかな発見

糸巻太刀拵のささやかな発見

現在目貫は単体で楽しむアイテムとしても地位を確立していますが、本来は柄に付いて実用を兼ねていました。

しかし拵などが展示されていても鐔や下緒、縁頭などの金具には目がいっても目貫は柄糸の下に埋め込まれているからか個人的にあまり記憶にない事が多い…。
という事で過去の展示会写真から拵の柄部分を眺めていたのですが、糸巻太刀拵には必ず家紋の目貫が付いている事に気が付きました。
龍や獅子、植物などの目貫は

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成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。
箱は無いが銘の形はこの時期のものと一致しているし、まず成木氏が製作した鐔で間違いないと感じる。
縦104㎜、横103㎜、厚み2㎜(耳、切羽台共)と大型。

こちらは常に見る成木鐔とは鍛が明らかに異質で、一言で言えば泥を乾燥させたような肌をしている。
爪ではじくとカ

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成木鐔⑮ 赤坂初代忠正  鉢木透写

成木鐔⑮ 赤坂初代忠正 鉢木透写

好きすぎる成木鐔の紹介が止まりませんが、手元にある成木鐔でまだ紹介していない物がいくつかあるので気が向いた時に載せていきます。
今回は有名な赤坂鐔の鉢木透写の鐔になります。
謡曲の「鉢木」の物語を比喩した図柄です。

箱書きは無いのですが、鉄の質感や銘の書体から平成頃の作と思われます。

成木さんの作は高温で熱する為か側面に鍛割れが出ているのが多いのですが、こちらの作も出ています。
むしろこれがあ

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名刀を名刀と見極めるのは初心者の頃ほど難しい

名刀を名刀と見極めるのは初心者の頃ほど難しい

刀を見始めて日が浅い内は全ての刀が綺麗に美しく見えるものです。
はじめて刀を手に持って鑑賞した時などは興奮と緊張状態でまともに刀を見ることもままならなかった記憶があります。
そのような状態の中で、加えて「○○のような刀が名刀」という基準が自分自身の中にない状態で名刀を判断するというのはだいぶ美的センスに左右される話かと思います。

世の中には非常に美的センスに優れた方がいてそうした方は刀に詳しくな

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「日本刀を後世に残す事が大事」は一見ごもっともだが、難しい

「日本刀を後世に残す事が大事」は一見ごもっともだが、難しい

「日本刀を後世に残す事が大事」

ごもっともな意見で実際「綺麗な言葉」でもあるので唱えれば多くの人から同意を得られる事でしょう。故にこれを唱える人も多いです。私含め。
しかし同じことを唱えている人でも背景を見てみると、視野が小さいか大きいかという違いがある事にも気がつきます。

それぞれどういうことかというと、まず視野が小さい方は、ひとまず自分の手元で管理している刀を後世に引き継ぐのが大事と考えて

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最近の製作状況の事など(刀箱と刀箱箔漆の製作)

最近の製作状況の事など(刀箱と刀箱箔漆の製作)

最近暫く製作していた刀箱と刀箱箔漆の製作がようやく終わり梱包まで終わりました。大型テレビ位の梱包サイズになるので部屋の大部分を占めてしまいます。

以下は完成した刀箱と刀箱箔漆。

そういえば今回ケースに貼るベロアシートをいつも使っているものと別の物を貼ってみたのですが、貼り付け当初は綺麗に貼れていたのですが1日経つとなんと気泡が沢山現れてしまいました。
やむなく再度ケースをばらして貼り換えていつ

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