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文学と尺八📖

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古文書・地誌・狂言・詩集などに登場する尺八、虚無僧をご紹介♪
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#虚無僧

文学篇★旅する巡礼者たち☆六十六部聖と虚無僧

文学篇★旅する巡礼者たち☆六十六部聖と虚無僧

消えた巡礼者たち<其の二>

前回は、東海道五十三次などの浮世絵に描かれた六十六部と虚無僧を見てみました。

今回は文学に登場する六十六部を追ってみたいと思います。

まずは、宮本武蔵の小説から。

『宮本武蔵  諸国漫遊』

「目付きの怪しい六十六部」、

題からしても、この六部が虚無僧に取り代わってもおかしくない、時代劇に登場する代表的な怪しいヤツです。やはり、六部と虚無僧、謎な部分は似ている

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虚無僧と文学☆夏目漱石『草枕』岡本一平漫画

虚無僧と文学☆夏目漱石『草枕』岡本一平漫画

山路を登りながら、こう考えた。

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通とおせば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟さとった時、詩が生れて、画が出来る。

 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国は

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吉川英治の名作『鳴門秘帖』を読む📖隠密虚無僧☆法月弦之丞!

吉川英治の名作『鳴門秘帖』を読む📖隠密虚無僧☆法月弦之丞!

吉川英治作、長編時代小説『鳴門秘帖』とは。

大正15年8月から翌年の昭和2年10月まで、354回にわたって大阪毎日新聞に連載された、吉川英治の前期の代表作のひとつ。まだ大衆娯楽機関のあまりなかったその頃、「鳴門秘帖」のたぐいない面白さに、夕涼みのお内儀さんから使い走りの小僧さん、また花柳界の女性まで夕刊を待ちわびて愛読したそうな。

主人公は、多情多恨の青年剣士である法月弦之丞。

あらすじ

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とりわけ憎んで厭うべし?!虚無僧ならぬ虚無族の実態が書かれた草茅危言を読む📖

とりわけ憎んで厭うべし?!虚無僧ならぬ虚無族の実態が書かれた草茅危言を読む📖

18世紀末頃の普化寺や虚無僧たちの所業の実態について書かれた書物に、中井竹山(積善)著 『草茅危言』(1789年)があります。

中井竹山とは、江戸時代中期の儒学者。大坂の学問所 懐徳堂の四代目学主として全盛期を支えたそうな。
詳しくはこちらをどうぞ↓

『草茅危言』とは、

因に、四字熟語の草茅危言の意味は、

と、言う事で、批判満載の書物なんですね。虚無僧に関してもなかなか厳しい苦言が呈されて

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暮露ってだれ?『七十一番職人歌合』を読み解く!

暮露ってだれ?『七十一番職人歌合』を読み解く!

暮露と文学 其の一!

中世の頃、虚無僧の前身といわれる「ぼろぼろ」「暮露々々」「暮露」という人々が存在しました。

彼らは一体どのような人々であったのか⁉️

『暮露』の名称は以下に記録があります。

 

十四世紀初め『徒然草』では「ぼろぼろ」「ぼろ」(始原として「ぼろんじ・梵字・漢字」)

十四世紀頃の『暮露々々のさうし』では「暮露々々」「暮露」

十六世紀初めの『七十一番職人歌合』では「暮

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ニンジャの虚無僧?!『絵本高木英雄伝』📖

ニンジャの虚無僧?!『絵本高木英雄伝』📖

またまた虚無僧キーワードで探しておりましたら、明治時代の珍しいイラスト出てきました。

『絵本高木武勇伝』 寛永舎 1885年刊

表紙です。

こちらは見出し画像の挿絵。

「二人の虚無僧、八幡宮の社前にて武術試合す」

よく見ると二人の虚無僧が忍者みたいな武器を持ってます🗡✨

文章には「妙安寺門下」「一月寺の門流」と書かれています。関東対関西の虚無僧寺の争いでしょうか🤔

そして、

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虚無僧をさがせ!『絵本慶安太平記』

虚無僧をさがせ!『絵本慶安太平記』

「虚無僧」をキーワードに探し物をしておりましたら、このような絵本に行き当たりました。絵本とありますが挿絵はとても少ない…。が、漢字のふりがなはバッチリです。

まずは、

『慶安太平記』とは?
慶安の変を題材にした実録本・講談・歌舞伎などの題名または通称。

『慶安の変』とは?江戸時代の前期1651年、軍学者・由井正雪 (ゆいしょうせつ)が、槍の達人だった丸橋忠弥(まるばしちゅうや)らと共に、幕府

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