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就職氷河期、宗教2世の悩み、体験の記録

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就職氷河期世代で、宗教2世として生きてきた人間が、これまで体験したことや、思ったことなどの記録です。
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#非正規雇用

小さなリュック

夕方、アルバイトのため職場のネットカフェにいつものように自転車でやってくると、店のあるビルの手前に救急車が一台停まっているのが見えた。

人だかり、というほどではないが、人が十数人ぐらいいて、何かあったのかな、と思ったが、たいして気にとめもず、扉が開いていた救急車の中を見るともなく見ながら、僕は通り過ぎてビルの駐輪場に自転車をとめ、エレベーターに乗って、6階にあるバイト先のネットカフェに向かった。

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コールセンター

コールセンター

目の前にある電話機のランプが、ずっと赤く点滅しつづけていて、早く電話を取れと言っている。赤いランプの点滅は、このコールセンターに着信した電話で、まだ応対されていないものがあるということの知らせなのだ。
僕はすぐさま着信拒否解除のボタンを押し、「お電話ありがとうございます」と言い、見知らぬ誰かの電話に対して応対を始めなければならない。でも赤く点滅するランプの横に表示された、24という数字を見ると、と

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世界は僕らの顔をしていない

世界は僕らの顔をしていない

ネットで、うつ病、仕事、採用などとキーワードを入れて検索してみると、僕のようなうつ病歴のある人間を会社に採用しない方法や、職場から自主退職にして追い出すための方法を、社労士や弁護士が企業の人事担当者に対してアドバイスしているサイトが出てきた。
「法的に何の問題もなく、こちらに非はないのですから、わかってもらいましょう」というコメントが書かれていた。
パソコンの画面から目を離して、僕はアパートの二階

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