僕は昔から夏という季節に対し、過度な思い入れをいている節がある。 中学生のとき、8月も終わりごろになると、今年の夏もなにもせず終わってしまう、という奇妙な焦りを…
夏の、とても暑かった日のこと。 ようやく日が落ちて暗くなった後、ぽつりぽつりと雨が降りだした。 空気はまだ熱を帯びたまま、僕の肌のうえを生ぬるい感触を残しながら…
僕たちはまだなんにでもなれる。 果たしてそうかな? まだなにもしていない僕らは、一方では可能性に溢れているといえるけど、一方ではただ先を見るのを怖がっているだけ…
高校を卒業して、彼女は髪を染めた。 高校を卒業して、彼はピアスを開けた。 高校を卒業して、彼女は化粧を覚えた。 高校を卒業して、彼は酒を飲むようになった。 偶然…
年齢を重ねるごとに、夜の長さを知るようになる。 小学校高学年になり、21:00からのTVを観るようになった。 中学生になり、塾から帰るのが22:00過ぎになった。 高校生に…
こなごな
2019年8月7日 22:06
僕は昔から夏という季節に対し、過度な思い入れをいている節がある。中学生のとき、8月も終わりごろになると、今年の夏もなにもせず終わってしまう、という奇妙な焦りを強く感じていた。それはいまでも大きくは変わっていない。なにか特別なことをしたくなるし、どこか特別な場所へ冒険したくなる。自転車に乗って空を見上げてみる。青空が広がっている。明日どこへ行こう。
2019年7月26日 22:47
夏の、とても暑かった日のこと。ようやく日が落ちて暗くなった後、ぽつりぽつりと雨が降りだした。空気はまだ熱を帯びたまま、僕の肌のうえを生ぬるい感触を残しながら這う。すこしだけ冷たい雨の粒が、熱をもった腕に、首筋に、ぽつりと落ちる。空を見上げる。飛行機が、赤や黄色の光を点滅させながら上空を横切っていた。この雨は続くだろうか。
2019年6月21日 22:33
僕たちはまだなんにでもなれる。果たしてそうかな?まだなにもしていない僕らは、一方では可能性に溢れているといえるけど、一方ではただ先を見るのを怖がっているだけということもできる。僕たちはほんとうにまだ、なんにでもなれるのだろうか?ひとりでいる夜、唐突に不安になる。僕にはなにができて、なにができないのか?無性に走り出したくなる。ゆっくり歩いていたらこの夜に取り残されるような気がするの
2019年5月5日 18:55
高校を卒業して、彼女は髪を染めた。高校を卒業して、彼はピアスを開けた。高校を卒業して、彼女は化粧を覚えた。高校を卒業して、彼は酒を飲むようになった。偶然街中でばったりあったあの子に、僕はまったく気づけなかった。地元で待ち合わせたあいつに、僕はまったく気づけなかった。鏡を見る。僕の見た目はまるで、あの卒業アルバムの中から飛び出して来たみたいに変わらない。全然変わらないね
2019年5月4日 19:16
年齢を重ねるごとに、夜の長さを知るようになる。小学校高学年になり、21:00からのTVを観るようになった。中学生になり、塾から帰るのが22:00過ぎになった。高校生になり、あの人からのLINEを待って日付を跨いだ。これから僕が知ることになる夜は、どのくらい長いのだろう。僕は何をきっかけにその長さを知るのだろう。そして極限まで夜の長さを知ったあと、僕はたぶん朝の尊さを知るのだろう