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掌編小説「リラックスジャスミン」
パッケージが紙製のサイコロになっている以外は、明治のクリームキャラメルである。十八年前だったなら、サイコロキャラメルはどこででも買えた。たとえば、鮮魚売り場に生簀のあったスーパーには必ず置いてあった。幼い私はサイコロ欲しさに買ってもらい、飽きたら捨てて、また買ってもらった。双六も持っていなかった。どうやって遊んでいたのかは、今となってはおぼえていない。
十八年前、私は小児ぜんそくを患って、県内
川柳連作「housing」(15句)
housing 景川神威虚をつくよ(愛読者カードに誓って)
憂いなくドールハウスの箸である
すばらしくない目薬は社で配る
あとがきにおさまるようにとる魚拓
両親ならミラーサイトの申し子
アナザーでスカイな今日がありますよう
漫画的表現ですが電話です
used 雨 used 傘に降りにけり
弟を少し飛び出るSIMカード
付箋紙はマニキュアをしてない爪に
唇のハイパーリンクが恥
ぜんぜん静かじゃねーじゃん
入院をしている。入院生活で辛いのは、騒音である。5回目の入院でも気になる。症状よりも気になるくらい。
最初の病棟はけたたましいところだった。人の出入りが激しい。常にアラームが鳴る。心電図が鳴る。患者が叫ぶ。という具合で、気になるどころではなかった。というか、ほかにも強いストレスがあり、音どころではなかった。だから、むりやり慣れってしまった。あるいは、状況をマゾヒスティックに解釈してむりやり適応
掌編小説「仕事道具」
紫色が蘭鋳の匂いで、クリーム色がメロンだった。そのほか二、三十種類の色の紙巻き煙草それぞれに匂いがあった。C自家製の缶入り煙草は、彼女の仕事道具で、仕事をしている間、彼女はこれをふかしていた。Cは自分の仕事をときにセラピーと言ったし、あるときは占い、またあるときはコンサルティング、そのまたべつのときは御用聞きと言うこともあった。その実、客によって言い方を変えているだけであって、彼女の主たる仕事は
もっとみる微生活vol.227
▼入院した。動きにくい。
微生活vol.226
▼昨日の気分は明日の気分を占わない。どうなるのかもわからない。晩飯を済ませたら、今日のことはおしまい。▼なんか選択を間違えたとしか思えなくなってきた。▼ぶっきらぼうなのは落ち込んでいるからです。
微生活vol.225
▼でれでれしてんじゃねーよ、おっさん。それ、私が言ったのとほとんど同じじゃねーか。ふざけんなよ。▼まったく資料はできておりません。明日やります。▼失踪するつもりだったが、やめておく。酒は飲んだ。
微生活vol.224
▼「駅から雨に濡れずに出社」できるのは素晴らしいのだろうけど、どうせその前に濡れるしな。▼客じゃなかったらおれをいじめているはずの店員。▼紀伊國屋回ったら、もうみるところない。まずしい。▼ローソンで横浜ハーバーがあったので買う。値段書いてなかったが、まあそんなに高くないだろうと踏んで買う。135円。うん。
微生活vol.223
▼よくない報告(悪いニュース?)をしにいくのに、カウンセリングではそれなりに普通に振る舞えた。いろんなことがありすぎる。▼弟がくる。寿司食べたいなと思ったが、普段魚を捌いている弟に悪い気がして、言わないでおく。▼リラックスジャスミンティーのなにがリラックスなのか。