景川

書きます。

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  • 絵馬の裏

    日記的な

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    小説などをまとめています。

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    あえてツイートするほどでも、かと言って日記に書くのも面倒くさい細々としたことを書いていきます。

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    短歌やその他いろいろの評や感想を書きます。

  • 降灰記

    短歌がわからなくなって始めた短歌の一首評です。

最近の記事

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「泡」vol.1

「泡」vol.1PDF版「泡」vol.1の番外編インタビュー N: 成瀬遠足 T: トダリョウコ K: 神威 〈トダさんにとって「境界」とはなにかの話〉 N: 今回は泡のテーマである「境界」について話しあいたいのだけど、まずトダさんにとって「境界」とはどういうもの?そこから話を広げていこうかな。 T: 最初に浮かぶものは皮膚かな。外界と体内を隔てる皮膚がイメージとしてあって、その薄い皮があることで「個体」が成り立っているけど、それはいろんなものにも通用すると思う。

    • 都会のブックオフ

       最近、ブックオフに行ってがっかりすることが多い。下巻だけある。2巻だけ特装版みたいなアクシデントはブックオフ的だからいいのだが、最近、値付けが甘くなくなって、ブックオフ的ではない。ここでいうブックオフ的な値付けとは、本自体の市場価値ではなく、状態によって値段がつけられていることを指す。最近はボロボロの本でも100円均一に並ばない。均一棚から掘り出し物を探す楽しみがなくなった。ブックオフは今おもしろくない。背表紙が潰れている三島由紀夫『青の時代』(新潮文庫)に400円は出した

      • 掌編小説「リラックスジャスミン」

         パッケージが紙製のサイコロになっている以外は、明治のクリームキャラメルである。十八年前だったなら、サイコロキャラメルはどこででも買えた。たとえば、鮮魚売り場に生簀のあったスーパーには必ず置いてあった。幼い私はサイコロ欲しさに買ってもらい、飽きたら捨てて、また買ってもらった。双六も持っていなかった。どうやって遊んでいたのかは、今となってはおぼえていない。  十八年前、私は小児ぜんそくを患って、県内の公立病院に入院した。その頃の私は、相当偏食で、病院の料理をほとんど口にしなかっ

        • 川柳連作「housing」(15句)

          housing 景川神威虚をつくよ(愛読者カードに誓って) 憂いなくドールハウスの箸である すばらしくない目薬は社で配る あとがきにおさまるようにとる魚拓 両親ならミラーサイトの申し子 アナザーでスカイな今日がありますよう 漫画的表現ですが電話です used 雨 used 傘に降りにけり 弟を少し飛び出るSIMカード 付箋紙はマニキュアをしてない爪に 唇のハイパーリンクが恥ずかしい 着心地が悪くて歳時記にしまう キングジョーにも顎引いてもらう 箱

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        「泡」vol.1

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        記事

          状況

           不適切な引用なのだが、私もとうとうこの一線を越えてしまった。いや、そもそもなにも求められてはいなかったのだから、そのような一線は最初からなかった。自分で線を引いていたのだと思う。「なにも求められていない」ことは、とてもありがたいことだ。私は私の人生を生きることができる。なにかを求めていたのは、家族ではなく自分だ。そして、自分がもう自分になにも求めなくなったことを、家族の口を借りて(利用して)、了解している、というのが今の状況だ。その状況をどう受けとめようか考えている。

          感謝の謝

           名人である以上、簡単に奥義を伝授するわけにはいかない。単に技法を教える。そんな者は名人を名乗ってはならない。修練に伴う精神力——窓ふきを続けていたつもりが、いつの間にか武術を習得していた感動、のような——を叩き込んでこそ名人である。名人芸は、やすやすと理解などされてはならない。マニュアル化されてはならない。霊性を失ってしまっては名人の存在意義が薄れる。  名人というのは、どの分野にもいる。芸事に限らない。気づかないだけで、神がかりは業種問わず存在している。それはあの具体的に

          感謝の謝

          タケモトピアノ冒頭のセリフ100連発(みんなまあるく篇)

          000. ♪ピアノ売ってちょうだ〜い 001. ♪風を切ってちょうだ〜い 002. ♪ポスト蹴ってちょうだ〜い 003. ♪己(おのれ)知ってちょうだ〜い 004. ♪コタツ消してちょうだ〜い 005. ♪もっと練ってちょうだ〜い 006. ♪裏をかいてちょうだ〜い 007. ♪声を聴いてちょうだ〜い 008. ♪エンコ詰めてちょうだ〜い 009. ♪示しあわせてちょうだ〜い 010. ♪終電乗ってちょうだ〜い 011. ♪票をいれてちょうだ〜い 012. ♪南向いてちょうだ

          タケモトピアノ冒頭のセリフ100連発(みんなまあるく篇)

          竹林のくそガキ

           意外なことだが、住んでいた家の近くにはかつて竹林があった。小学校2年生とき、「生活科」の授業で、「身の回りのものを紹介しよう」という課題が出され、私は色鉛筆で竹林の絵を描いた。竹の絵は比較的描きやすかった。それから数年して、竹林は伐採され、住宅街になった。  私と竹林との関わりといえば、これくらい。と言いたいのだが、もう一つある。いわば黒歴史と言えるもので、できれば隠したいのだが、恥ずかしい話、私は竹林の七賢を自称していた。高校3年生のとき、なんとなく教室に残って受験勉強し

          竹林のくそガキ

          ぜんぜん静かじゃねーじゃん

           入院をしている。入院生活で辛いのは、騒音である。5回目の入院でも気になる。症状よりも気になるくらい。  最初の病棟はけたたましいところだった。人の出入りが激しい。常にアラームが鳴る。心電図が鳴る。患者が叫ぶ。という具合で、気になるどころではなかった。というか、ほかにも強いストレスがあり、音どころではなかった。だから、むりやり慣れってしまった。あるいは、状況をマゾヒスティックに解釈してむりやり適応して、やり過ごした。  症状が落ち着き、病棟を移る。機械音もしない。人の出入りも

          ぜんぜん静かじゃねーじゃん

          掌編小説「仕事道具」

           紫色が蘭鋳の匂いで、クリーム色がメロンだった。そのほか二、三十種類の色の紙巻き煙草それぞれに匂いがあった。C自家製の缶入り煙草は、彼女の仕事道具で、仕事をしている間、彼女はこれをふかしていた。Cは自分の仕事をときにセラピーと言ったし、あるときは占い、またあるときはコンサルティング、そのまたべつのときは御用聞きと言うこともあった。その実、客によって言い方を変えているだけであって、彼女の主たる仕事は話し相手、と言うのが、私にはしっくりきた。  C自身は、私には占いのつもりで仕事

          掌編小説「仕事道具」

          掌編小説「ない」

           道中、なにかなかったような気がした。なにがなかったのかわからなかったのだが、実家のマンションに着いて、結局それは歩道橋であったと思いいたった。ここにいた頃は、たいてい自転車で移動していたし、手前に横断歩道もあったので、十回も渡ったことのない歩道橋である。なくなっていても、はじめは気がつかなかった。 「なくなったんだね、歩道橋。気づかなかった」と母に言った。  どこの、と母は聞き返す。 「薬局の前」  古かったからね、と母は言った。 「子供も少ないだろうしね」  年寄りはたく

          掌編小説「ない」

          微生活vol.227

          ▼入院した。動きにくい。

          微生活vol.227

          微生活vol.226

          ▼昨日の気分は明日の気分を占わない。どうなるのかもわからない。晩飯を済ませたら、今日のことはおしまい。▼なんか選択を間違えたとしか思えなくなってきた。▼ぶっきらぼうなのは落ち込んでいるからです。

          微生活vol.226

          微生活vol.225

          ▼でれでれしてんじゃねーよ、おっさん。それ、私が言ったのとほとんど同じじゃねーか。ふざけんなよ。▼まったく資料はできておりません。明日やります。▼失踪するつもりだったが、やめておく。酒は飲んだ。

          微生活vol.225

          微生活vol.224

          ▼「駅から雨に濡れずに出社」できるのは素晴らしいのだろうけど、どうせその前に濡れるしな。▼客じゃなかったらおれをいじめているはずの店員。▼紀伊國屋回ったら、もうみるところない。まずしい。▼ローソンで横浜ハーバーがあったので買う。値段書いてなかったが、まあそんなに高くないだろうと踏んで買う。135円。うん。

          微生活vol.224

          微生活vol.223

          ▼よくない報告(悪いニュース?)をしにいくのに、カウンセリングではそれなりに普通に振る舞えた。いろんなことがありすぎる。▼弟がくる。寿司食べたいなと思ったが、普段魚を捌いている弟に悪い気がして、言わないでおく。▼リラックスジャスミンティーのなにがリラックスなのか。

          微生活vol.223