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ポリコレなどの「キレイゴト」といかに付き合うか

今回のアカデミー賞「アジア人差別」騒動で、いちばん痛烈、かつ深遠だと思ったのは、次の河野有理(法政大教授)の言葉でした。


お前たちが始めた偽善なんだからもうちょっとちゃんとやれよ、と言いたくなる気持ちはもちろん分かりますが、もうそろそろ「憧れるのはやめましょう」というか、そもそもあんなの見る方が悪いという方に気持ちが傾きつつあるのも事実であります。


お前たちが始めた偽善ーー「ポリコレ」「差別反対」「ヘイト反対」をやりすぎて、自分たちが守れなくなってるじゃないか、というのが、まず痛烈ですね。



アメリカでは、たとえばアカデミー賞の授賞式で、ヘイト的なことを言ったり、ヘイト的な挙動をしたりしただけでは、警察につかまることはない。

言論・表現の自由を守る憲法修正第1条が効いているからね。

日本でも、基本的にはそうである。

しかし、今後はどうなるかわからない・・


偽善とキレイゴトの蔓延は、「ヘイトスピーチ規制」の厳罰化、という形で表れつつあるーーと憂慮する欧米のリベラルは多い。

先日はスティーブン・ピンカーの発言を紹介したが、今度はリチャード・ドーキンスが、「新たなヘイトスピーチ規制が表現の自由をおびやかす(New hate speech legislation threatens free expression)」という記事をリポストしていた。



SDGs、LGBT法の次は、ヘイトスピーチ規制が来る。そっちの方向に、「国連のほうの人たち」も、盛んに煽ってるからね。

LGBT法や、ヘイトスピーチ規制、あるいは「侮辱罪」「不敬罪」ふくむ言論の規制は、理念法である場合が多かったが、それが罰則つきで厳しくなる傾向が英語圏でみられるという。


・・まあ、日本で唯一の罰則つきヘイトスピーチ規制(条例)がある、川崎市に住む私が言うのも、なんですが。

あれは、私が引っ越してくる前に決まってたことだから。私の責任じゃない。

罰金もコワいが、こんな記事を書いていたら、神奈川新聞の活動家記者のつるし上げを食うんじゃないかと、ビクビク、ヒヤヒヤですよ。


今後は、世界の国レベルで、反ヘイト法ができるかもしれない。

日本が川崎化し、世界が川崎化する!



上記記事によれば、「ユダヤ人虐殺を肯定する」ようなことを言っただけで、終身刑もありうる法律案が、カナダで上程されるかもしれないという。

アメリカ人の記者は以下のように書いている。


大虐殺を肯定するようなことを言っただけで終身刑だって?! アメリカでは、差し迫った暴力を喚起する場合以外は、言っただけで法律違反にはならない。シカゴの中心地で「ユダヤ人にガスを食らわせろ」と私が叫んでも、違法ではないだろう。(中略)もっとも、違法ではない、というだけで、会社をクビになったりするかもしれないが。

(A life sentence for advocating genocide?! (Note that the CBC below says that a life sentence in Canada is actually 25 years.) But advocating genocide is not even illegal in the U.S., so long as your speech is not inciting imminent and predictable violence. I could stand in downtown Chicago and cry “Gas the Jews” without violating any laws.
Remember, free speech frees you from the legal consequences of your speech but not the social consequences. And of course you can be fired from some jobs for such expressions.)


ほかには、「イギリスのネット規制では、『トランスの女は、本当は男だ』とツイートしたら、警官が飛んでくるかもしれない」といった記事も引用されている。

(In Britain, existing online harm legislation means that tweeting “transwomen are men” can lead to a knock on the door from the cops.)


トランスジェンダーについては、日本でも『あの子もトランスジェンダーになった』が「焚書」になったばかりで、まったく他人事ではない。



こうした「キレイゴト」の広がりが、世界的には逆に保守主義を活気づけている、というのは、以前にも書いたとおりです。

アメリカ人も、キレイゴトに疲れて、「神は男と女という2つの性しかつくってない!」と叫ぶトランプに人気が集まる。


日本でも、LGBT法にキレて発足した日本保守党に、自民党員が流れているという話がある。

『あの子もトランスジェンダーになった』も、産経新聞出版から出ることになった。



私はリベラルだが、日本保守党の百田尚樹や飯山陽の「キレイゴトが嫌い!」という姿勢には、共感するんだよね。

日本保守党がいう「政治家の家業化反対」も、キレイゴトではないか、と思うけど、それはともかく。

私の考えでは、右翼や左翼は現実離れしたことを言うが、保守とリベラルは本来「現実主義」で、そこは一致できるのではないかと思う。

「キレイゴトの言い過ぎ反対」で連帯できないものか。



偽善、キレイゴトは、役に立つ場合はあるが、多くの場合は問題の解決にならず、害も大きい。

その行き過ぎは、自由を直接におびやかすだけではなく、反動として、社会の分裂や過激主義をまねく。

人びとは、その危険に気づきつつあるが、キレイゴトの蔓延を止められないでいる。


コロナの次は、「キレイゴト」ウィルスが世界を席巻しつつある。なんとかしなければいけない。

と、偽善の中心地、川崎で考えている。



<参考>








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