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食べる事は愛なのである 『劇場版 おいしい給食〜卒業』

食べる事は愛なのである 『劇場版 おいしい給食〜卒業』

ドラマから始まり映画化され、その後season2まで続き、
そして再びの映画化!!
前回の映画時はコロナで打ち切りになった館も多かった。

1980年代の中学校を舞台にした給食をテーマに繰り広げられる
給極のヒューマンコメディ。
給食が大好きで、全ての情熱を給食に注ぐ
数学教師の【甘利田幸男】(市原隼人)と
給食を究極においしくする事に強いこだわりを持つ
生徒【神野ゴウ】(佐藤大志)との、
「より

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果たして「無償の愛」はこの世に存在するのか? 『神は見返りを求める』

果たして「無償の愛」はこの世に存在するのか? 『神は見返りを求める』

この作品は年代や立場によって捉え方が極端に違う作品かもしれない。

イベント会社に勤める【田母神】(ムロツヨシ)は、
乗り気でもなかった合コンで、
底辺YouTuberである【ゆりちゃん】(岸井ゆきの)と出会う。
田母神は周りから少し馬鹿にされながらも、
懸命に夢を追い再生回数UP のためにひたすら頑張る彼女を少し不憫に思い、
なんとなく彼女のYouTubeチャンネルを手伝うようになり、彼女の夢を

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名実ともに伊藤健太郎に新たな命を吹き込んだ『冬薔薇』

名実ともに伊藤健太郎に新たな命を吹き込んだ『冬薔薇』

阪本順治監督らしい作品
投げっぱなしのような作品で申し訳ないと自身で仰られていたが、
それこそがこの作品の真意ではないだろうか。

【渡口淳】(伊藤健太郎)は、
夫婦である【義一】(小林薫)と【道子】(余貴美子)で営む海運業の次男。
長男は幼い頃にその船上での事故で亡くなっている。
時代と共に仕事も減り、なんとか営む家業を継がぬまま
様々な向かい合うべき事を避けて、いい加減にここまで生きてきた淳。

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阿部サダヲと岡田健史の化学反応の凄み『死刑にいたる病』

阿部サダヲと岡田健史の化学反応の凄み『死刑にいたる病』

観終わってからも数時間、ちょっとした興奮状態が続く。
それほどの作品であった。

家庭環境も満足いくものでもなく、今の生活と人生に何の希望も持たない大学生【雅也】(岡田健史)の元に、ある日一通の郵便が届く。
その差出人は、昨今のワイドショーを騒がしている
24人の連続殺害事件の容疑者【榛村】(阿部サダヲ)からだった。
殺人容疑のうち9件の立件が決定しているうちの1件の冤罪を訴える内容は、
「その冤

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心と肉体のバランスと承認欲求 満たされる意味を問う『裏アカ』

心と肉体のバランスと承認欲求 満たされる意味を問う『裏アカ』

中堅キャリアになってきたアパレル関係の【伊藤真知子(マーチ)(瀧内公美)】は、誰かに認められたくて、必要とされたくて、大事にされたくて∙∙∙
裏アカウントを始め、そこでセクシャリティな画像をアップし
フォロワーを増やし注目を浴びるようになり、
DMやリプライなどから誘われる事が多くなるなか、
ふと気になった男性【ゆーと(神尾楓珠)】と会ってみる。
そしてその男性と深く関係を持つことで、
彼女の人生

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生きてきた事、そして生きていくことを整理してみる『ドライブ・マイ・カー』

全くもって沼のような作品。
丁寧とかでなく緻密に作られている様は圧巻。

村上春樹のモダンな世界観の映像美や空間が美しい画角から、
いつしか物語へと没入させる展開は見事。
現実と過去、過去からの現在、時が流れるように
チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」が絶妙に織り込まれているこの作品。

【家福悠介】(西島秀俊)は
愛していた妻の【音】(霧島れいか)の運転が嫌いだったし。
【音】が望まない物は自

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山田杏奈の演じる本能を見せつけられた『ひらいて』

山田杏奈の演じる本能を見せつけられた『ひらいて』

原作は読んでいない。
綿矢りさ原作。映画『ひらいて』

クラスでも人目を引く主人公の【愛】
彼女の愛する人【たとえ】には秘密の彼女【美雪】がいる。
美雪は愛とは正反対の存在感と佇まいで、
決してたとえの心に入れない愛は、たとえ欲するがゆえ美雪に近づく。
それは、愛の全てをかけた略奪である。

愛を演じた山田杏奈が、本当に劇的に見事で苦しくなるほどだ。
透明感の中にある澱んだ深く暗い闇。
若く未熟で

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儚くも情熱的な人生交錯 『LA LA LAND』の芸術家ロマンチシズム

儚くも情熱的な人生交錯 『LA LA LAND』の芸術家ロマンチシズム

私はミュージカルと称される作品が少し苦手だ。
『メロディー』ではなく『台詞』という言葉の中に
ほとばしる演者の魂みたいなものが、
口から魔煙のごとく溢れ出る感じが好きなのです。

だが最近、先入観や思い込みで損しているかもしれない∙∙∙
と思うようになり、
評価が高かったものや、推しや友人が進めている作品は見るように心がけている。

で、今回観たのは、私が苦手だったミュージカル作品
「LA LA

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