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外国人が施設長になる時代が到来!?ジャパニーズドリームがココに!


KAiGO PRiDE WEEK  DAY-4「日本で働く外国人施設長」2024年2月20日(火曜日)


多様性とグローバル化がもたらす介護業界の新たな可能性

インターナショナル・ジャパン・介護フェスティバルは、介護の魅力と可能性を広く発信することを目的としたイベントです。主催者である一般社団法人KAiGO PRiDEは、日本の介護をグローバルに展開し、海外の人々にも日本式介護を選択してもらいたいという強い願望を持っています。この取り組みは、今後ますます国際的な活動へと発展していくことが期待されています。


「介護に関係ない人はいない」KAiGO PRiDE WEEK 2024 のメインメッセージ


外国人介護職員の現状と価値

日本の介護現場において、外国人介護職員の数は約4万人に達し、すでに多くの施設で彼らの存在が当たり前となっています。外国人介護職員は新しい技術や異なる視点を持ち込み、日本の介護に新たな刺激とイノベーションをもたらしています。これは単に外国人を受け入れることのメリットだけでなく、介護業界全体の発展に寄与していると言えます。

例えば、一般社団法人KAiGO PRiDEの代表理事マンジョット・ベディは、外国人でありながら日本の介護業界にブランディングの重要性を認識させ、業界全体のリブランディングを目指しています。さらには、外国人職員が持ち込む新しいアイデアや文化が、日本の介護サービスの質向上に繋がるということに着目して取り組んでいます。


教育とサポートの重要性

外国人職員の成功は、適切な教育とサポート体制によって大きく左右されます。

本イベントでは、グスタフ・ストランデルさん(国際ケアシステム株式会社 代表取締役)とマシュウ・カラシュさん(特別養護老人ホームささりんどう鎌倉 施設長)の2名の外国人施設長をスペシャルゲストとして迎え、その経験と知見を共有してもらいました。彼らは、外国人が日本の介護現場にもたらす新しい視点やエネルギーの価値を強調しました。また、日本の介護業界が直面する人材不足の解消に向けて、外国人労働者の積極的な受け入れと支援の重要性を語りました。

特別養護老人ホームささりんどう鎌倉では、外国人職員向けの日本語教育や介護教育に力を入れています。これにより、外国人職員は日本の文化や介護の現場にスムーズに同化し、チームの一員としての役割を果たすことができます。

左 グスタフ・ストランデルさん(国際ケアシステム株式会社 代表取締役)
右 マシュウ・カラシュさん(特別養護老人ホームささりんどう鎌倉 施設長)


ダイバーシティの受け入れと共生

介護業界における外国人職員の増加は、ダイバーシティ(多様性)の受け入れという観点からも重要な意味を持ちます。彼らの存在は、介護現場に新たな視点をもたらし、国際的な理解と協力の基盤を築いています。このような環境は、より包括的で革新的な介護サービスの提供につながり、介護の質の向上を促します。


外国人施設長の介護現場での貢献と文化的影響

グスタフさんとマシュウさんは、それぞれの豊かな国際的経験を日本の介護業界にどう生かしているかについて語りました。

グスタフさんはスウェーデンからの視点を日本に持ち込み、特に「タクティールケア」(触れ合いによるケア)を導入しました。これは日本の介護施設ではあまり見られなかったアプローチであり、認知症の方々に特に効果があり、安心感や信頼関係の構築に寄与しました。このケア方法は、日本全国で1万3000人の高齢者に実践され、大きな成果を上げています。グスタフさんは、触れることの重要性と、その文化的違いが日本の介護に新たな視点をもたらしたことを強調しました。

一方、マシュウさんは、アメリカ出身でありながら日本の武術や文化に深い興味を持ち、日本に定住。英会話教室の経営を経て介護業界に足を踏み入れ、人との触れ合いを通じて日本の家庭や文化を深く理解しました。介護の現場で彼が大切にしているのは、利用者との直接的なコミュニケーションと愛情深いケアです。マシュウさんにとって介護は単なる仕事ではなく、人生の喜びそのものであり、施設長としてもその情熱を現場に反映させています。

グスタフさんとマシュウさんの話からは、外国人が日本の介護現場にもたらす影響の大きさがうかがえます。異文化からのアプローチが、日本の伝統的なケアに新しい息吹をもたらし、高齢者ケアの質の向上に貢献していることが明らかになりました。彼らは、日本の介護業界における外国人の重要性と、文化的多様性を受け入れることの価値を実証しています。



アメリカと日本の介護システムの違いと心がこもったケアの重要性

アメリカの介護システムには、メディケアやメディケイドのような保険制度が存在しますが、日本の介護保険制度のような包括的なサポートは提供されていません。マシュウさんは、日本の「心が入ったケア」がアメリカとは異なる重要な特徴であると指摘します。例えば、彼の施設では褥瘡ゼロを目標に掲げ、職員が利用者一人ひとりに対して丁寧に声をかけ、身体を動かし、おむつを交換するなど、子供のような細やかなケアを実践しています。このような細部にわたる注意と心遣いは、アメリカの介護現場ではなかなか見られないものです。マシュウさんの体験からは、日本の介護職員が日常的に行うケアの価値と、それが持つ深い意味が浮かび上がります。この対比は、文化的背景の違いが介護の質にどのように影響を及ぼすかを示しています。

日本の介護施設運営における外国人施設長の視点

日本の介護施設運営に関して、外国人施設長であるグスタフさんとマシュウさんは、マネジメントと現場のコミュニケーションについて重要な意見を共有しました。


グスタフさんは日本のマネージメントにおける「根回し」の文化を評価しつつ、その実践がうまくいかない場合の問題点を指摘しました。彼は経営者と現場職員間の知識のギャップに注目し、専門職の意見を尊重する姿勢の重要性を強調しました。

マシュウさんは、管理者としての説明責任と現場職員の意見を重んじる逆ピラミッド型のマネジメントを提唱しました。また、介護業界全体の課題についても言及し、特に人材不足問題への対応遅れを批判しました。

両者の意見からは、介護施設運営におけるリーダーシップの質が、施設の成功に直接関わっていることが明らかになります。外国人施設長の視点は、日本の介護現場に新たな視野を提供し、経営と現場の良好な関係構築のための学習と成長の大切さを教えてくれます。


実際のZoom配信の様子

介護業界におけるウェルビーイングの重要性と将来展望

介護業界は、人々のウェルビーイング(幸福や満足度)を高める重要な役割を果たしています。この業界で働くことは、単に身体的な健康だけでなく、精神的、社会的な幸福を支えることに直結しています。

グスタフさんはウェルビーイングの科学的側面を解説し、特に高齢者が抱える病気にもかかわらず、人生の満足度が高いことを指摘しました。介護の場で得られる学びは、身体の不自由さを超えた精神的、社会的満足感につながります。

一方、マシュウさんは、ウェルビーイングを実現するためには、ワークライフバランスの保持が不可欠であることを強調しました。彼は、安全な環境の提供と職員の育成に注力し、職員一人ひとりの心のケアを重視する管理者の立場からのアプローチを説明しました。これにより、職員がウェルビーイングを感じられる職場環境を作り出すことの重要性を示しました。



これらの視点から、介護業界が日本社会においてウェルビーイングの推進者としての役割を担うことの重要性が浮かび上がります。介護業界は、人々の幸せを追求する仕事であり、社会全体のウェルビーイングを向上させるためのキープレイヤーになると期待されています。この業界が持つポテンシャルは、単に安定した職業領域を提供するだけでなく、社会の幸福度を高める重要な貢献をしていくでしょう。


日本での介護職への挑戦を検討する外国人へのメッセージ

外国人施設長のグスタフさんとマシュウさんは、日本での介護職に興味を持つ外国人へ向けて、日本の介護業界への参加を検討する上での重要なアドバイスを提供しました。

グスタフさんは、日本での生活と仕事が充実していることを強調し、日本語習得や資格取得がキャリアアップへの鍵になると述べました。

一方、マシュウさんは日本の安全性、教育、医療制度の素晴らしさを挙げ、日本での暮らしの質の高さを強調しました。

彼らは、外国人が日本社会に同化し、日本の文化やマナーを尊重することの重要性を訴え、介護職における心のこもったケアを提供するための熱意とやる気があれば、日本で成功できる多くの機会があることを示しました。これらのメッセージは、日本での介護職を目指す外国人にとって、チャレンジを受け入れ、努力し続ける価値があることを伝えています。日本の介護業界は、国際的な視点を持つ人材を求めており、積極的な参加が期待されています。




日本の介護業界における外国人の役割と未来の展望

日本の介護業界は、外国人労働力の導入により、多様性とグローバルな視点を取り入れる大きな転換期に立ち会っています。外国人施設長であるグスタフさんとマシュウさんは、日本で介護職を目指す外国人へ向けて、日本の社会と介護業界で成功するための重要なアドバイスとメッセージを提供しました。彼らは日本での生活の質、安全性、医療保険、介護保険制度の高さを評価し、外国人が日本で介護職に就くことの魅力と機会を強調しました。また、日本社会への同化、日本語習得の重要性、そして日本の文化やマナーを尊重することの大切さを訴えました。

このような背景のもと、日本の介護業界における外国人の増加は避けられない傾向であり、言語や文化のハードルは次第に低減していくと予想されます。AI技術の発展によるリアルタイム翻訳など、コミュニケーションの障壁を解消する技術的進歩も、外国人職員の導入を加速させる要因となっています。さらに、グローバリゼーションの進展と若い世代の国際的な感受性の向上も、業界の多様性を促進する重要な要素です。

介護業界の将来においては、外国人職員が持つハングリー精神や熱心さ、新たな視点をどう生かしていくかが重要な課題となります。彼らの強みを活かし、介護現場の質の向上や新しいケアの方法の導入につなげることが、業界全体の成長に貢献するでしょう。また、外国人職員の採用を進める際には、マネジメントの視点から、適切な教育とサポート体制の構築が不可欠です。人手不足が進む中、外国人職員の積極的な採用と育成は、介護業界にとって避けて通れない道となっています。

この転換期において、日本の介護業界は外国人職員を受け入れる準備を進め、彼らと共に成長し、社会全体のウェルビーイングの向上を目指すべき時が来ています。外国人労働力の導入は、単に人手不足を補うだけでなく、日本の介護業界をさらに豊かで多様性に富んだものに変える機会を提供していきます。

マシュウ・カラシュ(アメリカ出身)、マンジョット・ベティ(インド出身)、グスタフ・ストランデル(スウェーデン出身)の三人は初対面にも関わらず英語でのコミュニケーションで話に花が咲いた


今回のインターナショナル・ジャパン・介護フェスティバルで紹介した介護現場における外国人職員の積極的な活用の事例は、日本の介護業界が直面している人手不足の問題を解決し、よりグローバルで多様性に富んだ未来を築くための重要なステップです。教育とサポートの充実、文化的な違いの尊重、そしてダイバーシティの受け入れという柔軟な思考と姿勢が、これらの取り組みを成功に導く鍵となることでしょう。

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