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老後は田舎でのんびり?何言ってるんですか。あなた達に安息の地など無いのです。死ぬまで札束で殴りあっていればいい。


ああいう文脈で語られるところの「田舎」という言葉に強烈な違和感を覚えるんですよね。

せいぜいジョイフル本田があるような場所ってことでしょう。
林野を切り拓いて「家」とよばれるコンクリート製の卵が整然と産み付けられたニュータウン。ニンゲンの巣。ただ都心から離れているというだけで果たして田舎と呼んでいいものかどうか甚だ疑問です。

それは田舎ではなくて、横に伸ばしただけの団地ですよね。
一階がスーパーや床屋、本屋になっていたあの団地。覚えてます?
それがべたっと潰れて伸びて、そしてお店がすべてイオンと蔦屋とチェーン店に変わっただけ。

そんなところに移住したところで、何かが変わるとは到底思えませんね。

だから結局のところ、最初は良いですけどいつしか不便さだけが際立って、ストレスが溜まるだけだと思うんです。
まあ家の中でテレビとネットしか見ない人生なら別にいいのかな。

そこは都心から離れてはいますが、まぎれもなく都市機能の一部です。田舎ではありません。

人間を栽培して都市に供給する生産基地ですね。

それにしても、いままでその恩恵だけは確かに受け取っておきながら、いざ年をとってデメリットが見えてきたら文句を言って、途端に移住だのセカンドライフだのなんだのって甘ったれるなって言いたいですよね。
収入が下がってもしがみつき続ければいいのに。
死ぬまで東京で消耗して消費して納税し続けてくださいよ。

年取ると都会に居づらいっていう話は聞きますよね。
「マンハッタンには老人はいない」みたいな話。
金と若さと発展性を失った人間は街から必要とされなくなるみたいな。存在が許されない。
働けなくなった働きアリが群れから捨てられるみたいな話。

必死に頑張ってみてもオッサンオバサン張り切っちゃってイタイねってだんだん居場所がなくなっていく。
センスが古い。アイデアが古い。考え方が古い。仕事が古い。動きが古い。生き方が古い。
必要とされなくなって行く。いくら頑張っても、頑張ってすらいない若者に簡単に負けるようになってくる。

大きな大きな流れからじわじわと村八分にされるイメージ。

人間関係が希薄で良いなんてとんでもない。
それは希薄な関係で済むような状況にしか身を置かなかった若くて希薄な人間にとってだけのお話ですよ。
淘汰圧は確実に働きます。

だって、自分達だって若い頃、ただのオジサンやオバサンと付き合ってましたか?
彼らから何か得るものありましたか?
無いですよね。

そのオジサンやオバサンが、いまどこで何してるか分かります?
わからないですよね。

明日のあなたなんですよ。

そこから逃げ出してみたところで、真の意味で逃れることはできません。交通アクセスだとか、考えてしまったでしょう。
都市機能への隷属から逃れられていない証拠ですよ。

同じように、そこに住む若い居住者は都市への通勤者であったり、子育ての間の仮住まいであったり、都市を生きる人です。
その土地に根を張って生きようとする人たちではないのです。そもそもその町はそういう風には作られていませんし。

彼らに真の友人はいません。
共同体意識も帰属意識もありません。

どこどこの生まれと言えば自動的に知識や教養が担保されたり、だれだれの子供というだけで自動的に将来の立場や経済的な安定が推測されたりはしません。
宗教的、歴史的、社会への貢献からくる尊敬を無条件に得ることもありません。そして責任を担うこともありません。
家や地域、世代に対してなんらかの役割や価値が与えられる田舎と違い、その浮遊性の高さゆえに人々はそういうものに縛られない価値しか持つことができません。

いまどんな会社にいるか、履歴書に書けるような経歴だったり学歴だったり、なにかの点数、資格、体験、すべて金で買える、代替可能な価値。

彼らに安息の地などどこにもないのです。
金で殴り合う事しか知らない人たちは、どこへ行ったとしても金で殴り合う事しかできません。

自分の力で生きていく、といえば聞こえはいいですが、哺乳類が群れを離れて生きるのなら、戦いの人生しか残っていないのです。

家族は群れではありませんし、そもそも自分の生まれや親を捨てたあなたの子供がいつまでも貴方の仲間でいてくれるとでも?ありえないですよね。同じように去っていくに決まっています。

それは「家」ではありません。誰かが引いた線の上に置かれた、ただの箱です。

たった一世代で構築できるものなんてたかが知れています。
そして、もしもあなたが築き上げた何かがあるとして、そこではそれを子孫に引き継ぐことはできません。

結局のところその場所に居る限り、いくら金を持っていたとしても巣穴の中をうごめき、共食いしながら消耗していく虫たちの一匹であることに変わりはないのです。

何も持っていない、何者でもない人たちの巣としてはまこと高機能ではありますが、そこで生まれ、人生の最初の一ページがその景色から始まる子供たちは、将来どんな景色を求めて巣だって行くのか。

彼らが戦うための武器として、たくさん金を与えてあげて下さい。

だって何者でもないあなた方が子供に授けてあげられるものなんて、せいぜいそれくらいですよね。
他になにかあります?

何も無いですよね。

彼らがその巣穴を抜け出した後、もっと広い視野で世の中を見ることができることを切に祈っています。

そのためにその札束を燃料にして、後ろから押してあげて下さい。

高く

高く。


おしまい。


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