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【R.I.P.】デヴィッド・クロスビー2+1枚の現代性
「Lighthouse」で得たアクチュアリティ
先週、David Crosby&Lighthouse Bandの「LIVE AT THE CAPITOL THEATRE」を予約した。それにしてもDVD付きのCDを買うなんて、本当にいつぶりだろうか……。
※無事購入!
ミシェル・ウィリスの新譜に感動して以来、改めて「Lighthouse」と「Here If You Listen」を聴き直して
ロビー・ロバートソンが奏でた残響のアメリカーナ
ロバートソンはずっとそうだった
昨年、ロビー・ロバートソンが亡くなった。
2023年8月9日のことだから、もう半年がたつ。私がもっとも敬愛していたミュージシャンであったので、彼がすでに地上にいないという事実は、とてもさびしい。
おそらく多くの日本人がそうであったように、私も結局ロビー・ロバートソンが音楽を奏でる現場に立ち会うことはできなかった。そのことも、よけいに喪失の穴が埋まらない原因に
ダニエル ・ラノワ「Player, Piano」と幻想のケベック
2010年代からのラノワ
ダニエル ・ラノワの『ソウル・マイニング』(2013年、みすず書房刊。原著は2010年)は、文章が描き出す世界は詩的で美しく、奔放な構成は散文的で、まさに「ラノワの本」という感じだった。刊行時の初読からそう何度も読んでいるわけではないが、折に触れてパラパラ飛ばし読みしたり、彼の音楽を聴きながら該当箇所を読んだりしている。
もちろん名盤・名録音の誕生秘話として、ラノ
段ボール財布を作る【習作編】
いつだったかテレビで観てから気になっていた島津冬樹さんの段ボール財布。ブティック社から本が出ていることを最近知って購入したので、さっそく作ってみることにした。オールカラーでおしゃれなデザインの本書。型紙とミニウォレットが作れる段ボールがつく。洋裁の本をたくさん出しているブティック社らしいなぁ、と妙に納得した。
今回は習作と位置付け、構造を理解するためにもまずは挑戦してみた。素材の段ボールは手
チャールズ・ステップニーの未来とJディラの過去
*日本盤CDを聴いて若干の修正を施してあります。
ローファイの裏にある未来
様々な方がすでに書いているように、発掘音源として発売されたチャールズ・ステップニーの「Step on Step」は素晴らしいアルバムだった。聴きこんでもよし、流しっぱにしてBGMにするのもよしで、Spotifyで夜な夜な再生している。
1970年前後の一人多重の宅録なので、4chテープにピンポンしながら形にしたと思
マーク・ジュリアナと幸福への小径を往く
聴くことの音という作品
幸福への小径、もっとも重要な質問、見方、私たちの本質、自由になる勇気……詩的というか、哲学的というか、なんとなく暗示的な言葉が並ぶ。これらは「聴くことの音」と題されたマーク・ジュリアナのジャズ〜アコースティックサイドの新作、「ザ・サウンド・オブ・リスニング」の冒頭から5曲のタイトルである。
前2作では、もっとポップなタイトルが曲には付けられていた。本作はティク・ナ
スナーキー・パピーの新譜がすさまじかった
すごいアルバムを聴いてしまった
「ライヴ録音からこれを作れるのか!」
スナーキー・パピーの新譜を聴いて、口をあんぐりさせるほかなかった。
超絶技巧集団のスナーキー・パピーだからライヴだろうがスタジオだろうが、どんな演奏でも「できる」ことは旧譜からもわかってはいるが、それ以上に「こんな録音物の作り方を思いつくの?」という衝撃だった。やはりマイケル・リーグの発案なのだろうか……そうだとすると、
最近好きな米国女性音楽家たち
ここのところnoteを更新していませんでした。まとまった記事を書く時間ももうしばらくとれなそうなので、この数年のあいだ好きで聞いているアメリカ人女性音楽家の音源をいくつか貼ってみたいと思います。順不同、以前の投稿でふれた音楽家は除く。
アメリカの女性音楽家に限定したのに特段の意図はないのですが、深くディグっていないなか、好みで追っていってできたリストから有限化してみた、という感じです(するとC
祝来日! 再結成ブラック・クロウズはドラムがいい
ブラック・クロウズが今年の11月に、およそ17年ぶりに日本でライブをやる! 彼らのインスタで知って、テンションが上がったのだ。そこには東京公演として立川の文字が……意外なチョイスだなと思ったが、サム・ゲンデルや坂本慎太郎が出たフェスをやったステージだ。
各音楽ニュースやスポーツ紙にも取り上げられていた。
クロウズは活動休止と再結成を繰り返していて、今回が3度めの再結成中となるようだ。ロビ
マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットが弾き倒す強靭な『Inter-Are』
マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットの新作を、10月にコアポートが日本先行発売するという朗報を耳にして、小躍りしているのは私だけではないだろう。
ちょっと先のようだが、もう6月も終わりが見えており(恐ろしいことに)、もう少しといえばもう少し。しかしその時間が、カルテットの2枚のアルバムや関連作の復習をしておくにはちょうどよいのは間違いない。
マーク・ジュリアナの「ジャズ・カルテット」