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段ボール財布を作る【習作編】

 いつだったかテレビで観てから気になっていた島津冬樹さんの段ボール財布。ブティック社から本が出ていることを最近知って購入したので、さっそく作ってみることにした。オールカラーでおしゃれなデザインの本書。型紙とミニウォレットが作れる段ボールがつく。洋裁の本をたくさん出しているブティック社らしいなぁ、と妙に納得した。

この本を購入

 今回は習作と位置付け、構造を理解するためにもまずは挑戦してみた。素材の段ボールは手持ちの、スペルガのスニーカーの箱にする。

これで長財布を作ってみる。

 本にある通り、まずは段ボール潰しから。定規を使って内部のヒダを潰して、カサを薄くしていく。靴の箱は裏紙剥がし不要とのことで、まずは潰のみ。

隙間がなくなるまで潰す 

 次に型紙から型を起こす。今回は長財布をつくる。これも本書にしたがって、100円ショップ(ダイソー)でPPシートを買ってきて、トレペの要領で型紙を写し取った。

長財布のメインの型はA4には入らない

 難儀したのがカッターで型を切り出す作業。単純に私が苦手なだけなのだが、PPシートがそれなりに硬くて定規が、まぁずれること。マステで仮止めして作業したら、格段に楽になった。その型を段ボールにあてて、パーツを切り出していく。

シートは硬め
切り出したパーツ

 あとはパーツを折って貼って組み立てていくだのだが、ここで今回選んだ段ボール箱に起因する問題が発生。
 ひとつは厚み。靴の箱がどれも裏紙剥がし不要というわけでもないらしく、この箱はちょっと厚すぎた。そして厚いまま無理して折ってしまったので、メインパーツの中でも、小銭入れのヒダになる部分が破れてしまった。無駄なシワもたくさん入る。なので急遽裏紙を剥がす。これは楽にできた。
 もうひとつは、表面のニス加工。折り曲げたところのニスが割れて、みすぼらしくなってしまうことがわかった(割れて剥離したニスの粉がすごい出る)。ニスでの硬化を狙っているせいか、紙そのもの、特に内側が弱い。本番の段ボール選びでは気をつけねば。

パーツを木工用ボンドで接着

 今回は完全な「お試し」なので、ケチってスナップボタンはつけていない。ダイソーには本で指定されているアメリカンホック11mmがなかったので、10mmのバネホックを購入(打ち具付き)。これで用をなすのかも検証する必要があるだろう。

 とりあえず形だけでも作ってみると要領がわかってきた。最初に型を切り出すまでがわりかし大変だが、それを過ぎればあとは楽しいだけだ。

紙だと木工用ボンドはすぐに固まる

 作り始めてみないとわからないのが、選んだ段ボールが当たりか外れか。裏面を剥がしたり、折ったり、貼ったりと素材への負荷が高めなので、強度としなやかさが両立した段ボールと巡り合えたらラッキーだろう。「これぞ!」というのは、段ボール潰し(段ボール鞣し、かな)だけして、自分の技術が上がるまで保管しておくのがおすすめだ。

 改良したいなと思った部分もいくつか。
 野暮ったくなるのがサイドのひだパーツ。ここが厚いので収まりが悪い。ここだけ段ボールを変えるのもアリだと思った。また、折り込んだ角の部分が今回の段ボールではきれいに仕上がらない。ニスもやっかいだが、化粧紙を貼った段ボールだと表面だけ破れてしまったりする。
 作ってみると裏面の露出面積も大きいのがわかったので、場合によっては和紙などで裏張りしてもかっこよくなるかな、と想像したり。ヒダの取り付け位置は本の指示通り行わないと、財布の天地サイズが変わってしまうので注意が必要だ。指示にはなくても、折り返すところを接着してしまったほうが楽で仕上がりがきれいな箇所もある(小銭入れ部分の長辺のキワとか)。

シンプルな作りの財布になる

 この分だと、あと1、2回は練習しないといけないかも。しかし、図案のどこを使うか考え、実際に組んでいく作業はとても楽しいので、すぐにでももうひとつ作りたい。うまく作れるようになったら周りにも配りたい。あと、島津さんのCartonで売っている長財布と本で紹介されているこの長財布とは構造が異なるので、商品版(の写真)を参考にしつつ、作り方を工夫できるかもしれない。

 こういう工作は、集中できてなかなか清々しい。何よりも、街で段ボールを見る目が変わること間違いなし、である。(了)


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