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#09 音楽史④ 15世紀(ルネサンス前編)

この音楽史のシリーズはこちらにまとめてありますので是非フォローしてください。

さて、今回は主に15世紀(1401~1500年)の話です。日本では室町時代真っ只中。1467年に応仁の乱が起きて戦国時代に突入していく時期ですね。

フランスではイギリスと百年戦争(1337~1453)という長い争いが起きていました。(国家という概念は薄い時代であり、封建諸侯の領地争いが重なったものだったようですが。)

この戦いを通じてイギリスからフランスに新しい響きが入ってきて、それまで受け入れられていなかったハーモニー(3度や6度の音)も受け入れられるようになったといいます。作曲手順として、ただ旋律を重ねるだけでなく、響きも考慮されるようになっていきます。

教会の権威が失墜し、社会的混乱が続いていくなか、グレゴリオ聖歌の束縛から解放されて、職業として音楽家が出現するようになります。

15世紀初頭は ブルゴーニュ楽派
デュファイ (1400~1474), バンショワ(1400~1460) など
15世紀後半から16世紀は フランドル楽派
オケゲム(1425~1495), ジョスカン・デ・プレ(1440~1521) など

と呼ばれる人々が活動。

その音楽技法は、歌詞を分割して、それぞれのパートが対等の価値をもち、お互いに要素を模倣しあいながら展開していくもの(通模倣様式)。

このように、ルネサンス音楽は
複数パートの重なり合い=ポリフォニーの全盛期となります。
メロディを追いかけていくカノンなどがわかりやすい例ですかね。
イメージできない人はかえるの歌を思い浮かべてください。
(ちょっと違うかな?笑)


この時期、印刷術、火薬、羅針盤 が改良され普及。
ルネサンスの三大発明とされています。
(もとは中国のものなので、正確にはヨーロッパでの発明ではないですが、改良・普及して社会に大きく影響したという点では発明といえるのでしょうか。)

印刷術は楽譜の普及にも影響し、
それまで無かった「作品」「作曲家」という概念が出現します。
黒符・白符などでリズムまで正確に記すようになります。
(現在の五線譜の形になるまであと少し!)

羅針盤はご存じ大航海時代の幕開けへと影響します。


ところで、ヨーロッパの端、イベリア半島では
長らくイスラム勢力下にありましたが、
キリスト教徒による「レコンキスタ(国土回復運動)」が起こり、
15世紀までにはイスラム勢力がいなくなりました。
そして、15世紀後半に、スペインポルトガルが誕生。
この二国が、イスラム・オスマンを通らずにアジアと貿易するため、
海への進出に乗り出すこととなります。

大航海時代前夜

海洋進出をざっと流れで見ると

1488 ディアス(ポルトガル)がアフリカ最南端に到達。
1492 コロンブス(スペイン)がアメリカ大陸に到達、
   インドに着いたと勘違いする。
1494 トルデシリャス条約・・・世界を2分割してスペインとポルトガルで分け合うという勝手な約束を結ぶ。
1497 バスコ・ダ・ガマ(ポルトガル)  がアフリカ回りでインドに到達。
1501 アメリゴ・ヴェスプッチ(スペイン)が「新大陸はインドではない」と報告。
1510 コペルニクス(ポルトガル)が地動説を考案
1519~22 マゼラン(スペイン)が世界一周。地球球体説が証明。

ポルトガルが先にアジアとブラジルに進出したため、
スペインはブラジル以外の中南米地域の支配を進めました。

それまであったマヤ文明、アステカ文明、インカ帝国などを一瞬にして滅亡させてしまい、先住民たちを奴隷として働かせて、金・銀・タバコ・とうもろこし・じゃがいもなどを生産するようになります。

このころのスペインではビウレラという楽器が登場し、のちのギターのもとになります。


闇深い海洋進出の歴史。
ヨーロッパ人のための従来のクラシック音楽史には関係のない部分で無視されがちですが、南北アメリカ大陸が主な舞台であるポピュラー音楽史にとっては非常に重要なルーツとなっていきます。

このシリーズはポピュラーとクラシックをなるべく並行して見ていくことを目標にしているので、ここからヨーロッパとアメリカの両方の目線を意識して音楽史を追っていきましょう。

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