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【本要約】ホモ・デウス〜テクノロジーとサピエンスの未来

2021/5/4

序章

ホモ:人
デウス:神
人類は、飢餓・疫病・戦争を克服した。
人類は、神へのアップグレード = ホモデウスを目指す。

【現代の死因】
・飢餓より、食べ過ぎで死ぬ人の方が多い。
・戦争・テロ・犯罪の合計者数より、自殺者の方が多い。
・戦争や疫病より、砂糖で死ぬ人が多い。
 = マクドナルドやコーラの摂取過多で、糖尿病で死ぬ人が多い。

戦争は、油田や金鉱や土地などの物質を巡っての争いだった。しかし、今は、物質よりも、知識の方が、経済的価値を持つようになった。その結果、物質を巡る戦争がなくなった。

また、戦争は、国対国の問題だけでない。核兵器で、世界滅亡させる可能性がある。核兵器の発達が、戦争を抑止している。

飢餓・疫病・戦争を克服した人類は、暇になった。21世紀の人類は、不死と幸福を追い求めて、神へとアップグレードしようとする。

テクノロジーを発達させて、神へのアップグレードを目指すことで、逆に、人間は、無用者階級になっていく。

生物はアルゴリズム

宗教

現在の世界は、「自由主義」という宗教である。

宗教は、その時代の多くの人が信仰しているモノ
宗教は、多くの人に、人生の目的や秩序を与えるモノ
【宗教】
人命が尊いという価値観
資本主義
社会主義

科学

生命科学で、" 脳 " を調べた。
" 魂 " も " 自己 " も " 自由意志 " も見つからなかった。
" 遺伝子 " と " ニューロン " しかなかった。

自由主義者が個人の自由を重視するのは、「人間には自由意志がある」と信じているからだ。しかし、「人間には自由意志はない」ことが、科学で証明された。

【実験】被験者にスイッチを握らせての脳神経活動を観察する。
・被験者がスイッチを押すよりも前に、どちらのスイッチを押すのかが予測できる。
・本人が自分の意図を自覚する前に、脳波が観測される。
・最大で数秒前に、脳波が観測される。

「何かをしよう」と思った時には、既に、それをしている。
実際の行動に移した後で、頭の中で、「それをしよう」と考えている。

進化論では、動物の全ての行動は、遺伝子コードで決められている。自由意志は存在しない。

「生物は、アルゴリズムに過ぎない」ことが、生命科学で発見された。

アルゴリズム … 問題解決の処理手順
リモコンを押し、テレビが付き、チャンネルを選ぶことは、アルゴリズムの一種である。

人間も、複雑なアルゴリズムに過ぎない。
脳内のニューロンが手順によって処理されている存在に過ぎない。

人間とAI

ルネサンスでは、世界の中心は、神ではなく人間となり、神信仰主義から、人間至上主義となった。人間至上主義は、自由主義が土台となっている。そして、現代では、自由主義が崩壊の危機に面している。

・人間の経済的有用性が失われ、価値がなくなる。
・集団としての人間には価値があるが、個人としての人間には、価値がなくなる。
・ホモゼウスにアップグレードした人間にしか、価値がなくなる。

人間の経済的有用性

テクノロジーの発展によって、人間の経済的有用性がなくなると、自由主義が崩壊する。人間に価値を認めることが、経済的有用であったから、自由主義が繁栄した。

近代以降の大量生産、大量消費には、1人1人の人間が必要だった。

21世紀は、人よりも、最新のテクノロジーの方が、経済的有用性が高まっていく。

経済的有用性がなくなった1人1人の人間を必要としなくなった。

AIは意識に関しては進歩していないが、意識がなくても、人間より、経済的有用性は高まってきている。知能と意識が分離がはじまった。

これまでは、高度な知能は、発達した意識と結び付いていた。

AIのアルゴリズムが、 人間の知能を追い抜こうとしている。

馬車に取って代わった自動車と同じ流れである。自動車が発明された時、馬車をアップグレードさせず、引退させた。

AIの進化によって、人間はアップグレードされず、引退させられるのか?

「生き物は、アルゴリズム」であるという説が誕生した。

人間もアルゴリズムである。AIもアルゴリズムである。人間もAIも平等となった。

人間がAIに代替えされていけば、富と権力は、AIのアルゴリズムを支配する特権階級に集中する。もしくは、AI自体が権力を持つようになるかもしれない。

個人としての人間

AIのアルゴリズムが、自分自身よりも、よく自分を知るようになる。

昔は、神に従って行動していた。
18〜20世紀は、自分で考えて行動していた。
21世紀は、AIのアルゴリズムに従って行動する。

アマゾンのオススメを購入し、食べログの点数で食事をし、YouTubeやNetflixのオススメをずっと見続けてしまう。AIのアルゴリズムに従って行動している証左だ。

AIのアルゴリズムが、人間自体のアルゴリズムを超えた日に、人間自体としての価値はなくなる。人間自体も、AIのアルゴリズムに価値を見出し、それに従うようになる。人間からAIのアルゴリズムへ権力が移管された。

アップグレードした人間

「生き物は、アルゴリズム」として、階級付けするならば、AIのアルゴリズムが、人間自体のアルゴリズムを超えた時点で、人間とAIの地位は逆転する。AIの方が、人間より優性となる。一方で、そのAIのアルゴリズムを支配する人間も、存在する。

AIの支配者である人間 > AI > AIの敗者である人間

という構図の完成だ。

歴史上、貧富による社会的格差はあったが、生物学的格差はなかった。

人間は、「生物学的に平等である」という価値観が、自由主義の土台だ。その価値観の崩壊は、自由主義の崩壊を招く。

AIの支配者である人間と、AI未満の人間に、区分され格差が生じる。

人間格差社会

20世紀の医学は、「病人を治すこと」が目的だった。

21世紀の医学は、健康な人をアップグレードさせる方向へと進んでいる。AIの支配者である健康な人間をアップグレードさせる。

20世紀は、経済的に、たくさんの健康な労働者が必要だったから、労働者の病気を治す必要があった。

21世紀は、経済的に、たくさんの健康な労働者を必要としなくなる、労働がAIに代替えされるからだ。

AI未満の労働者の病気を治すことに、経済的理由がなくなる。

「万人のためだ」と信じていた医療によって、AIの支配者である人間と、AI未満の人間に、優劣が付けられた。

これから先の21世紀は、自由主義から、どんな世界へと変貌を遂げるのか?

新世界

「自由主義」という宗教が終わりを告げ、宗教革命が起こり、新しい宗教が誕生する。

宗教は、その時代の多くの人が信仰しているモノ。宗教は、多くの人に、人生の目的や秩序を与えるモノ。人命が尊いという価値観・資本主義・社会主義・自由主義も宗教である。

新しい宗教が誕生するのは、新しいテクノロジーが誕生する時であると、歴史が証明している。

新しいテクノロジー宗教は、2つある。
テクノ人間至上主義
データ至上主義

テクノ人間至上主義

我々、ホモ・サピエンスより、もっと優れたホモ・ゼウスを作り出すために、テクノロジーを使う。「人間を進化させよう」とする考え方であり、人間の心をアップグレードしようとする。

そして、人間の心をアップグレードする際には、経済的有用性が加味されるはずだ。

サボらずに労働し続けるように、AIのように24時間絶え間なくとはいかないまでも、できるだけ、長時間労働できるように、アップグレードされる。

それは、人間の心を失った、ダウングレードされた人間を生む行為に等しい。

人間は、社会を支配するために、ダウングレードを使ってきた。

狩猟採集時代は、動物の地位が高く、家畜化に不都合だった。だから、有神論の宗教を作り、動物を劣等生物とした。宗教が、動物を家畜として扱う正当性を与えた。

テクノ人間至上主義は、人間をロボットのような意識のない存在へと造り替えるかもしれない。

データ至上主義

全てがデータの流れからできている。万物の価値は、「どれだけ、データ提供できるか」で決まる。

生き物を、アルゴリズムだと考えた
コンピュータで、高性能のアルゴリズムを設計できるようになった

生物アルゴリズムも、電子工学アルゴリズムにも、全く同じ数学的法則が当てはまった。生物と機械を同じものとみなす。そして、いずれ、電子工学アルゴリズムは、生物アルゴリズムを超える。

データ至上主義では、データの流れが全てである。

人間は、インターネットというデータの流れを、創造するための道具である。そして、やがて、人間は、データの一部としてインターネットに取り込まれていく。

「人間の価値観が変わること」は稀である。最後に価値観が変わったのは、18世紀の人間至上主義革命の時である。人間至上主義革命によって、人間の自由・平等・友愛が1番の価値を持つようになった。そして、21世紀には、人間至上主義から、データ至上主義に移行する可能性がある。

インターネットとつながることに意味があり、インターネットと切り離されたら、人生の意味そのものを失ってしまう。何かをしたり味わっても、「誰もそれを知らないなら、意味がない」という考えである。

「何かを経験したら、記録し、インターネットにアップロードし、シェアする」というのは、ただの流行ではなく、自分の存在価値の証明なのだ。

データ至上主義の世界では、データを提供できない人間には、価値がない。インターネットから情報を享受しているだけの人間には価値がない。「インターネットに情報を提供している人間にしか価値がない」とい世界である。

データ至上主義は、人間を単なるアルゴリズムとみなすことで、人間はデータを処理する存在として扱い、「人間の権威や意味をなくす」という革命である。

18世紀には、人間至上主義者は、「神は人間の想像力の産物だ」と言った。

21世紀には、データ至上主義者は、「神は人間の想像力の産物だが、人間の想像力はアルゴリズムの産物に過ぎない」と言う。

18世紀の人間至上主義革命では、神中心から人間中心に変えることで、神を主役から外した。

21世紀のデータ至上主義革命では、人間中心からデータ中心に変えることで、人間を主役から外すかもしれない。

生き物は、アルゴリズムに過ぎず、データ処理を行なっているだけなのか?


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