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大切な場所〜リプライズ〜
満天の星空の下で缶チューハイで乾杯した。ヒロミはスマホを観ながら笑っていた。「ツイッターのコメント欄が炎上しているよ。読んでみなよ。」と彼女は城山に方にスマホの画面を向けた。著名人の離婚報告には「卒業します」と書かれていた。そのコメント欄には「敵前逃亡だろう!」、「卒業ってナニ?中退だろ!」等々のコメントを読みながら城山も思わず笑ってしまった。
「やり方が間違っているよ。」と彼は笑いながら雑居ビル
「大聖堂」の読書感想文
レイモンド・カーバー著、村上春樹訳「大聖堂」を゙読みました。
登場人物は大抵は失業、離婚、アル中、等々の問題を抱えています。この短編集の特徴をよく表していると思う部分が「轡(くつわ)」にありました。
She sighs and leans back. She lets me keep the hands. "I'd say ’Dreams, you know, are what you wake
ジョン・ガードナーについて〜或いは哀しい性〜リプライズ
その図書館は地上8階、地下二階建ての非常に大きな図書館である。ラウンジ・スペースでは飲食可能なスペースがあった。資料請求した本が書庫から準備できればスマホに通知される。最新のトレンドにも対応していた。ジョン・ガードナーの「オクトーバー・ライト」が書庫から受付カウンターに届くのを待合室で待っている時に彼に話し掛けてくる男がいた。
「そうなのかい?あんたもあの映画のファンなんだ。それは奇遇だね。」とそ
「オチ」はどこへ溶けた
差別は決して許されない。偏見は正しい価値観ではない。そんな事は誰でも知っている。それでも自分の中にそれらが存在している事を自覚させられる出来事は必ず起こる。
城山の英語検定の模試の成績はC判定だった。公園のベンチで遊歩道の向こう側の散りはじめた桜を苦い顔で見つめていた。彼の横には食べ終えたコンビに弁当が無造作に置かれていた。味は覚えていない。
その時にドレッド・ヘアーのジャマイカ系黒人らしき人物が
「オクトーバー・ライト」の読書感想文〜その3〜
ジョン・ガードナー著「オクトーバー・ライト」は収蔵している図書館が少ないです。その理由を考えてみました。
この作品は「ショットガンでテレビを撃ち抜く老人と同居する姉の大喧嘩」をメインにして、自分の部屋に閉じこもった姉が見つけた本「ロスト・ソールズロックの密売者たち」の物語が並行して進行する枠物語です。
本筋のバーモントの田舎町で暮らす姉と弟、そして、彼らの家族及び友人にはしっかりと過去や現在の状況
「オクトーバー・ライト」の読書感想文
ジョン・ガードナー著、宮本陽一郎訳「オクトーバー・ライト」を読みました。
ショットガンでテレビを撃ち抜くジェイムズと同居するサリーを中心とした物語。そして彼女が見つけた本「ロスト・ソールズロックの密売者たち」の物語が並行して進行する枠物語です。
この作品は登場人物の発言と行動が特に面白い。
「バスタブの中で溺死させるのであれ、ブルドーザーで轢き殺されるのであれ、同じ方法で人が殺される番組が毎晩三つ