Eazy43

身近な出来事を中心にパリッとエスプリの利いたホッコリとする文章を目指して投稿しています。

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箱根登山鉄道運転見合せ

箱根登山鉄道が大雪のために運転見合せになった時に撮った写真です。 箱根の山の中で足止めされて大変でしたけど、雪景色がキレイだったことはよく覚えています。 #写真 #箱根 #登山鉄道 #雪景色

    • 古い日記

      西日が差し込む午後のカフェ。ラピスラズリ色のエプロン姿の店長マナミはカウンターの内側で母親が遺した古い日記を読んでいた。 4月15日 快晴 久しぶりに色彩小路の「あじさい」にて夕食にした。独り暮らしはこんな時に融通が利く。独り身も悪くない時もある。長い付き合いになる店長の誠ちゃんはドクター・ストップで引退する予定らしい。味噌煮込みの薫りが染み付いたこの店がなくなるのは非常に惜しい。お店は知り合いに居抜きで貸して、生活費の足しにするらしい。お互いに年金ぐらし、それを聞いてなん

      • ジョン・ガードナーについて〜或いは哀しい性〜リプライズ

        その図書館は地上8階、地下二階建ての非常に大きな図書館である。ラウンジ・スペースでは飲食可能なスペースがあった。資料請求した本が書庫から準備できればスマホに通知される。最新のトレンドにも対応していた。ジョン・ガードナーの「オクトーバー・ライト」が書庫から受付カウンターに届くのを待合室で待っている時に彼に話し掛けてくる男がいた。 「そうなのかい?あんたもあの映画のファンなんだ。それは奇遇だね。」とその男は城山に嬉しそうに語りだした。その男はジョン・レノンのTシャツの上にジャケッ

        • 「オチ」はどこへ溶けた

          差別は決して許されない。偏見は正しい価値観ではない。そんな事は誰でも知っている。それでも自分の中にそれらが存在している事を自覚させられる出来事は必ず起こる。 城山の英語検定の模試の成績はC判定だった。公園のベンチで遊歩道の向こう側の散りはじめた桜を苦い顔で見つめていた。彼の横には食べ終えたコンビに弁当が無造作に置かれていた。味は覚えていない。 その時にドレッド・ヘアーのジャマイカ系黒人らしき人物が彼の方にゆっくりと近づいてきた。そして、地面を指差して、こう言った。 「あなたの

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        箱根登山鉄道運転見合せ

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文〜その3〜

          ジョン・ガードナー著「オクトーバー・ライト」は収蔵している図書館が少ないです。その理由を考えてみました。 この作品は「ショットガンでテレビを撃ち抜く老人と同居する姉の大喧嘩」をメインにして、自分の部屋に閉じこもった姉が見つけた本「ロスト・ソールズロックの密売者たち」の物語が並行して進行する枠物語です。 本筋のバーモントの田舎町で暮らす姉と弟、そして、彼らの家族及び友人にはしっかりと過去や現在の状況が描かれます。こちらは大学生だったレイモンド・カーバーに創作の講義を行った著者ら

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文〜その3〜

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文

          ジョン・ガードナー著、宮本陽一郎訳「オクトーバー・ライト」を読みました。 ショットガンでテレビを撃ち抜くジェイムズと同居するサリーを中心とした物語。そして彼女が見つけた本「ロスト・ソールズロックの密売者たち」の物語が並行して進行する枠物語です。 この作品は登場人物の発言と行動が特に面白い。 「バスタブの中で溺死させるのであれ、ブルドーザーで轢き殺されるのであれ、同じ方法で人が殺される番組が毎晩三つは必ずあるはずだし、」 これはジェイムズの娘のジニーの台詞です。これでジェイムズ

          「オクトーバー・ライト」の読書感想文

          昭和の空

          重たく、苦しい、昭和の空の下を彼は淀みだらけの足取りで街灯の下を過ぎる。クライアント、違う、あの頃はそんな言葉はなかった。お客様の急な設計変更で徹夜に次ぐ徹夜で疲労が頂点を越えそうな夜に限って、帰宅に向かう電車の中で酎ハイで乾杯している女の子たちと鉢合わせをする。 「プハ〜! リンキン・パークのライブ帰りに飲む酒は最高だね〜!」とA娘。 「ラッパーの彼がさ、アタシだけを見つめていたのよ。今夜は熱すぎて眠れないよ。プハ〜」と彼の熱い抱擁とそれからの秘め事を想像しながらクビっと飲

          昭和の空

          私は読書家ではありません

          読書は好きです。しかし、読書家ではありません。本に見事に読まれてしまいます。紙のノートには印象的な文章を書き写しています。 そこですぐれた文体たるための第一規則は主張すべきものを所有することである。    〜ショーペン・パウエル〜 もし小説の中の言葉が作者の無神経さや、不注意さや感傷なんかによって不鮮明になっていたら、その作品はとりかえしのつかないハンディーキャップを背負うことになるというのがガードナーの持論だった。 〜レイモンド・カーバー「ファイアズ(炎)」より〜 そ

          私は読書家ではありません

          滝へと続く小径〜Vol.2〜前書きつき〜

          山を超えて、大雨で橋桁が流された川では水面に顔を出す飛び石で道を繋いできた。限界が脳裏に浮かび始めた頃、森の間からその滝は見えていた。 「水は高きから、低きに流れる。」 滝から通じる小川には散りはじめた桜の花びらが流されていた。それを飽きずに眺める野良猫がいる。その光景に人生の儚さを投影するのは人間の可笑しくも、面白い部分だろう。野良猫は刹那に流して、次の目標に狙いを切り替える。 その小川の淵に植えられた桜の下では幕末の新選組と平安貴族に扮したコスプレーがオードブルと白ワイン

          滝へと続く小径〜Vol.2〜前書きつき〜

          「滝への新しい小径」の読書感想文

          レイモンド・カーヴァー著、村上春樹訳「滝への新しい小径」を読みました。同著者の「ファイアズ(炎)」には彼に大きな影響を与えたジョン・ガードナーの教えに「土地(ground)」と「大地(earth)」の違いがありました。 It means ground, dirt, that kind of stuff. But if you say “earth“ that's something else, that word has other ramificatons. それ

          「滝への新しい小径」の読書感想文

          山に登って「お先へどうぞ。」と道を譲られた。 山を下って「子ども達についていくのは大変だよ。」と初老の男性と笑顔で言葉を交わした。 伐採された切り株だらけの森でひと休み。 大雨で丸太橋が流された川は飛び石の上を慎重に足の置き場を確認して渡りきった。 ようやく目指していた滝に辿り着いた。 そこで滝を成立させる為には山と森と雨と小川が必要なことに気づいた。 結末から始まった昨日の夢は楽しかった。 始まり、真ん中、驚きの無かったその夢は完結する前に何処かへ飛び去っていった。 そいつ

          大人だからできること!

          崖に突き出した岩の上に彼は立っていた。彼は崖の谷底から眼をそらしていた。春風が彼に吹きつける。その風を受けると落下の恐怖と隣り合わせだった。そんな恐怖から両脚がガクガクと震えだしそうな姿を見せるわけにはいけない。彼にはその理由があった。 細い峠道を子供たちが通り過ぎている。彼はすれ違うのも困難な場所でなんとか彼らとすれ違う道を作るため不安に駆られながら岩の上に立っていた。本当はここから直ぐに立ち去りたい。しかし、子供たちに無様な姿は見せられなかった。 「ありがとうございます」

          大人だからできること!

          金時山と夕日の滝は春の風が吹いていました

          金時山から夕日の滝ルートを歩きました。 箱根湯本からバスの同乗者は7〜8人。意外と少ないです。その中で親子連れのお父さんが女の子に言いました。 「パパは眠るので美術館の最寄りのバス停に着いたら、起こしてね。」 「どうして未来のことが分かるの?」と上手に切り返した女の子。バスが走り始めたら見事にお父さんの膝の上で眠っていました。確かに未来はわかりません。空き席だらけの長閑なバスだからこその光景でした。 金時山登山口の最寄りのバス停での降りる客は私だけ、バス停は閑散としていました

          金時山と夕日の滝は春の風が吹いていました

          何かが違う

          記者会見で彼は「何となく違和感を感じていた」と説明した。 新しい通訳はこう英訳した I started feelig a something a mess. (私は何かが混乱していると感じはしめた。) あるメディアは彼の発言をこう英訳して報道した。 He got a sense that something was wrong. (彼はなにか(普段とは)違う感覚を覚えた。) 私は通訳の発言をこう聞き間違えた。 I started feeling a something abs

          何かが違う

          日蔭のテトラポット

          海岸のそばには砂浜がある。砂浜の反対側には防波堤と放置されたテトラポットが並べられていた。市街地から離れた海岸の特性。警察と地元の住民の眼が届きにくい、そこに便乗してテトラポットの「FOCUS」の落書きの前でポーズを決めている赤い髪の女が笑顔をカメラに向けていた。法の網の目の隙間で、親子連れが仔犬と子供を遊ばせている。そんな場所だからこその風景があった。 「その考え方は間違ってないと思うよ。」と笑顔をカメラに向けていた。 「彼は金を騙し取り、嘘を重ねて、法の網をある時点までは

          日蔭のテトラポット

          彼は正にINNOCENTです

          英会話教室の通っているとこちらのニュアンスが相手に伝わらないのは日常茶飯事です。ある日、クラシック音楽が好きで、特にショパンがお気に入りの生徒にこんな質問をしました。 What's your killer tune of Chopin?《あなたのお気に入りのショパンの曲はなんですか?》 《killer tune》はポップミュージックのファンならばフツーに使います、しかし、《殺し屋みたいな(あなたを殺す)曲》。そんな言葉をクラシック音楽のファンはあまり使わないでしょう。 別

          彼は正にINNOCENTです