嶋森 悠

普段はプログラマーやってます。 映画、本、漫画等の感想を書いていこうと思ってます。 哲…

嶋森 悠

普段はプログラマーやってます。 映画、本、漫画等の感想を書いていこうと思ってます。 哲学、心理学、文化人類学、歴史のジャンルが好きです。

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映画「許されざる者」を見て

クリント・イーストウッド主演の西部劇。 主人公は引退した元悪党、今は老いた体に鞭打ちながら、小さな牧場で暮らしています。彼は奧さんを亡くし、男で一つで2人の子供を育てています。そんな中、その牧場に1人の賞金稼ぎが… と、導入はこんな感じ。この後、昔の相棒、牧場に来た賞金稼ぎ、主人公、の3人で、不穏な空気漂う町へと向かいます。 主人公は元悪党(強盗とか殺人とかしてる)なんですが、序盤はただの頼りないおじいちゃんでビビります。牧場では家畜に引きずられ、馬に乗ろうとしては落馬、

    • 映画「どん底」(フランス)を見て

      1936年に公開されたフランスの映画 タイトルを見てちょっと暗い映画なのかなと思ったが、全然そんなことは無く、コメディ要素が多分にあり、展開も早いので見ていて飽きなかった。 主演はジャン・ギャバン、コソ泥のぺペルを演じる。このぺペルと、ギャンブル狂の男爵(役者はルイ・ジューヴェ)が主人公だと思われる。メインの主人公はぺペルだろうけど。 ぺペルは分かりやすく主人公って感じなんだけど、自分はどっちかっていうと男爵のかっこよさにハマった。 まず服装というか、着こなしですね、あと

      • 映画「離愁」を観て

        1973年に製作された映画。  ラストシーンが印象的、というか、すべてがラストシーンのためにあるような映画なんだな。というのが観終わってようやく分かった(観終わらないと分からないのは当たり前なんだけど)  フランスって恋愛観というか、男女間の情事みたいなものがなんか日本と違うなぁというのは、思いましたね。すごい情熱的ですよね。情熱的というか、なんというか……列車内の出来事は情事も情事で「おいおい……マジかよ」とか思ってましたけど、ラストを観て全部ふっとびました。「こういう

        • 映画「ラストマン・スタンディング」 を観て

          1996年公開、ブルースウィリス主演の西部劇映画  ストーリーとしては、黒澤明監督の「用心棒」に近い。(近いっていうか、そのままですね) でもやっぱりいいですね、西部劇。「荒野の用心棒」も面白かったけど、これも面白い。優しさっていうのは、強くないと貫き通せないっていうのが分かりますね。  ただちょっと、主人公の銃強すぎないか?とは思ってしまったけどね。銃で撃たれた人ってそんな派手に飛ぶ??みたいなね。漫画「クローズ」一巻で坊屋春道に殴られるヒロミくらい吹っ飛んでたもん。まぁ

        映画「許されざる者」を見て

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          映画「栄光のル・マン」 を観て

          1971年、米国映画 主人公のマイケル・デラニーがかっこいいですね、渋い。 見た目もかっこいいんですが、中身も渋い、というかカッコいい。(どっちだ) レーサーで、レース中に事故に遭っているんですが、そんなの全くお構いなしですからね、ガンガン走る。走ることしか頭にないってくらいに、一途。 それがかっこいいんですよね。 今時の日本の作品だったら「事故のトラウマが〜」とか言ってそうなもんですけどね、そういうのは全くない。恐怖心なんてものは無い、そんなん当たり前って感じで、ただ勝ち

          映画「栄光のル・マン」 を観て

          シン・仮面ライダーを観て(ネタばれ有り)

          先に結論書いちゃうけどね、正直言って、めちゃくちゃ良かった。すげー格好良かった。もう本当にこれに尽きる。とにかくすげー格好良かったんだ…… 一応、私の仮面ライダー歴を言うと、リアルタイムで見てたのは平成ライダーのみ。子供のころにビデオ(VHS!)で見てたのがBLACKとか、BLACK RXとか。 (BLACK以外にも何個かビデオで見てたはずだけど、あんまり覚えてない) 平成ライダーはあんまりちゃんとは見てなくて、やっぱり一番思い出にあるのはBLACK、とかそんな感じのライダ

          シン・仮面ライダーを観て(ネタばれ有り)

          神様はどこにいった?

          最近、カラマーゾフの兄弟という本を読んだ。ドストエフスキー作の、世界的に有名な作品だ。実はこの本を読んだのは2回目だ。前に読んだのは10年くらい前だろうか、いや、もっと前か。 今回読んでみて思ったのは、最初に読んだ時よりも、だいぶ面白いなと感じたことだった。なんというか、純粋にサスペンスとして楽しめた。同じサスペンスものを2回も楽しめるとは思わなんだ。しかも驚いたことに、自分が思ってた真犯人と今回読んだときの真犯人が違っていた。これは一体どういうことだろうか。前回も今回も、私

          神様はどこにいった?

          映画「二十四の瞳」(1954年)を観て

          1954年に公開された日本の映画。自分が観たのは2007年にデジタルリマスターされた版。 涙、ただただ涙だった。戦中、戦後の暗さと、その中でもただひたすらに生きていく明るさ、希望が胸に詰まる。 舞台となっている時代と、今の時代とでは価値観がまるで違うが、何故か感情移入してしまう。子供も大人も男も女も皆平等に辛いことがあるし、死んで行くし… そんな中での主人公大石先生のひたむきさ、まっすぐなところが、果てしなく尊いですね。眩しすぎて見れないです、泣くことがあっても前向きなんで

          映画「二十四の瞳」(1954年)を観て

          与太小説「王手飛車取り」

          ここは将棋王国。 「王様!王様!」歩が言った。 「ん?なんじゃ?」振り返る王様。 「今日も勝ちましたね!」 「あぁ、そうじゃな…」 「どうしたんですか?そんなに浮かない顔して。」 「はぁ、勝ったと言っても、活躍しているのはいつも飛車や角、はたまた金か銀か、香車か桂馬か…ワシではないんじゃよ。」王様はため息をつきながら言う。 (私の名前は入ってないんですね…)歩は思った。 「いいじゃないですか、勝てたんですから。第一、王様が活躍したなんて話、聞いたことないですよ。」歩が言う。

          与太小説「王手飛車取り」

          映画「ナヴァロンの要塞」を見て

          1961年公開のアメリカ映画(原作は1957年に発売された戦争小説。) 主演はグレゴリー・ペック まずグレゴリー・ペック演じる主人公のマロリー大尉がカッコいいですね。完全に伊達男です。これで身長190cmあるというんですからね。デカすぎるだろ。 アンソニー・クイン演じるスタブロス大佐もいい味出してますよね。渋いです。 戦争を題材にした映画ですが、生々しい描写はあまりなく、戦闘シーンもそんなにないです。どちらかというと冒険とか、人間関係とかの描写がメイン。 しかしフィクシ

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          日本戯れ話「竹太郎」

          むかーしむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。 お爺さんは山へ山賊をしばきに、お婆さんは海釣りに出掛けました。 お爺さんが山賊共をしばき倒した後の帰り道、竹を切っている一人の青年に出会いました。 爺「おぉ、浦島か?」 浦「あ、どーも!お久しぶりです。」 爺「竹取かえ?精が出るのぉ。こんな遠くまで取りにきとるのかえ?」 浦「いやぁ、実は今度、子供が…」浦島は照れ笑いしながら言いました。 爺「おや!めでたいのぉ!」 浦「いやぁ、ははは…なんで、しっかり稼がな

          日本戯れ話「竹太郎」

          ドストエフスキー著 「死の家の記憶」を読んで

          著者の獄中体験記、のような本。 実際に体験したことをもとに書いているだけあって、人物描写は非常にリアルで生々しい。獄中に行ったことはないが、そうだよな、そうなるよな、と何故だか妙に納得してしまう。 内容は主に、出会った人々と起きた出来事が綴られているだけだが、あまりに非日常的なので、普通の感覚からするとそれが既に面白い、癖が強い人が集まりすぎているというか…。そもそも各地で癖が強すぎて爪弾きにされてる人たちが集まっているのだから、面白くないわけないのだが。(だからと言って、

          ドストエフスキー著 「死の家の記憶」を読んで

          映画「コーチ・カーター」を見て

          2005年公開のアメリカ映画。  スポーツマンというのが何なのかが分かる。カーターはバスケを教えてるんじゃなくて(実際は教えているが)人としての生き方を教えている。スポーツを通し、人間として大切なことを教えてくれる。  体育館の封鎖は、カーターにとってもかなりの不利益があっただろうが、彼が自ら鎖を解くことは無かった。最初から、人の目なんか気にしていない、自分のことは考えるのではなく、生徒のことを考える。これが教育なのではなかろうか。生徒に好かれたいと思っていたら、教育なんて

          映画「コーチ・カーター」を見て

          ドストエフスキー著 「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)を読んで

           何だろう、この小説は。暗く、陰鬱な主人公の手記として書かれていて、内容は混乱を極めるが、哲学的でもあるように思う。あとがき、というか訳者による解説によるとどうやら、元々あった部分を検閲により消されているらしい。そして消された部分は、この本で唯一の希望の部分だったらしい。作者自身が、この希望の部分を消されたことによって、作品が矛盾してしまっていると言う。それでもこの作品が長く読まれ続けている理由は何だろうか?それは、もしかしたらドストエフスキーの他の作品が有名なため、かもしれ

          ドストエフスキー著 「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)を読んで

          映画「灰色の長い線」を見て

          1955年のアメリカ映画  人と人との縁が映し出されている。良映画でした。  人間、真っ直ぐに生きようとしたら何かにぶつかるし、それは良いことをしたとか、悪いことをしたとかとは関係のないことなんだと、改めて思った。それでも何かにぶつかっても真っ直ぐに生き続けることに、人としての何か、大事なのものがあるような気がする。  現代では人と人との繋がりは薄れ、そして広がっていく。友人は辛い時に一緒にいてやれてこそ友人だと思う。作中、我が子を失った主人公を迎えに酒場までやってくる

          映画「灰色の長い線」を見て

          映画「村の写真集」を見て

          2004年公開の日本映画。  家族、故郷の原風景を見た。故郷、田舎、家族・・・その懐かしさがこの映画には篭っていると思う。父親の姿は、やはりこうでないといけない。賢い必要なんて、全くないのである。賢くて要領が良くて優しくて・・・そんなものより、芯だけ通っていればいいのである。それだけでいい。口数だって多い必要は無い。自分の父親は死んでから随分経って、普段どんなもんだったかと思い出すことも無いが、この映画を観ている間は、父親のことを考えていた。  家族というのは綺麗事だけでは

          映画「村の写真集」を見て