最近の記事

公私のけじめ 公私混同

韓国で働いていたある日。歯がズキズキ痛み始めた。 私は病院も、歯医者さんも大の苦手である。会社が入ってくれている海外駐在員向けの保険では、歯科治療はカバーされていない。だから、歯医者へは行かないほうがいい。などと、言い訳、悪あがきをしてみたが、痛みはひどくなる一方。渋々、歯医者さんへ行った。 先生は日本の医科歯科大学を卒業された、日本語が流暢な方。丁寧に診察、説明をしてくれた。「手術をしなければなりません」 この言葉を聞いた私は、相当ビビった顔をしていたのだろう。日本語

    • なんで整形しないんですか?

      これまでの人生で「なんで整形しないんですか?」と言われたことがある。合計4回。これが多いのか少ないのかは不明だが、発言の主はすべて、韓国人である。日本人に言われたことはない。 私の目は一重、鼻は団子鼻だ。ご丁寧に、どこをどう直せばいいかまで、説明してくださった。おっしゃりたい気持ちは、よくわかる。しかし、心の中に留めておいていただきたかった。そんなにハッキリと言われると、正直、キツい。 会社の目の前に美容整形クリニックがあった。その隣には写真スタジオ。韓国に赴任して間もな

      • 一人オセロゲーム

        幼い頃、家族でよくオセロをやった。そのオセロが、今も実家にある。私は弱い。だいたい負ける。 オセロで負けたことのない、キンコン西野さんによると、最初から数を取りに行ってはいけないらしい。オセロは、最終的に盤面を自分の色にすればいいというゲーム。最初から数を取りに行って、自分の色だらけにしてしまうと、自分の打つ手がなくなってしまうんだとか。なるほど! 最近になって、人生での、ひとつひとつの経験って、オセロのようにひっくり返せるのかもと思った。もしかしたら、ゆたかさとは、一人

        • 自分が頑張っていた頃、聴いていた歌を聴いてみる

          昔よく聴いていた、懐かしい曲が聞こえてくることって、けっこうある。すると突然、それを聴いていた頃の感情まで蘇ってくる。 私は韓国から帰国して、もう韓国はいいや。。。と思った。正直、もう関わりたくないなと。だから、実家に置いてあった数十枚の韓国のCDを全て処分した。持っていた数十冊の韓国の本も、全部捨てた。韓国語の辞書も教材も、全て捨てた。 家の中から韓国のモノを一掃し、韓国とは関わりのない仕事を探した。そして、韓国と関わらない生活をしていた。 そんなある日、あちらこちら

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          パニック状態のツバメを見て、思ったこと

          駅から家までの道のり。あるお店の軒下に、ツバメの巣ができていた。この辺りはカラスも多い。このままじゃ、糞も落ちるし、危ないと考えたのだろう。店主が巣の下に、受け皿ならぬ、受けボックスを取り付けていた。 その間に、親ツバメが帰ってきた。周囲を飛び回りながら、ピイ〜ピイ〜ピイ〜ピイ〜鳴いている。パニック状態になっている様子だ。小学生くらいの女の子が、「大丈夫だよ、大丈夫だよ。少しだけ待っててね。」とツバメに声をかけている。それでも、ツバメは鳴き止まない。巣の中にはヒナがいるらし

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          怒りの瞬発力がない方へ。モーニングノートのおすすめ

          人生2回目の韓国生活。最初の2年半は、駐在員として働いた。といっても、大企業の駐在員じゃない。途中で韓国からの撤退が決まり、ほぼ半分は撤退作業だった。毎日、夜中まで残業。土日も出社。たまの休みは、気絶したかのように眠った。 よく壊れなかったなと思う。いや、壊れていたかもしれない。夜中にひとり、嗚咽しながら、ヨダレに鼻水、垂らしていたから。 私の怒りの感情は、瞬発力がない。しかし、抜群の持久力がある。何かが起こった時、すぐに怒りが爆発しない。火がつかない。えっ!?はっ!?と

          怒りの瞬発力がない方へ。モーニングノートのおすすめ

          お願いへのハードルの高さと、NOへの免疫力は人によって違う

          韓国にいた頃、はっ?はあ?と思うようなお願いに、何度もお目にかかった。 例えば、びっしり韓国語で書かれた20ページのプレゼン資料。日本語に翻訳してくれという。もちろん、私のご好意、無償奉仕で。私は彼の会社の人間でもなんでもない。彼の友達の友達だった。 ある時は、日本に一時帰国する時、買ってきてほしいと、画像が送られてきた。知育玩具。デカい。600x450x300mmの箱に入っている。スーツケースにだって入りやしない。彼女は、すでに全く関係のない、以前、取引のあった会社の社

          お願いへのハードルの高さと、NOへの免疫力は人によって違う

          他人の苦労はゴマ粒大、自分の苦労は無限大

          美味しそうなコース料理を前に、私はミニトマト半分しか食べていない。次々と運ばれてくる料理。皆さんの前の皿は、次々と入れ替わり、ひと皿のみ。私の前には、無数の皿が広がっている。 「私だって、食べたい。黙ってくれ。首絞めたろか?」 心の中で、何百回、叫んだことだろう。どれだけのフードロスを発生させてしまったことだろう。後悔しかない。 某韓国企業の日本法人で働いていた私は、いつのまにか何でも屋になっていた。日本法人は立ち上げたばかり。社員5人の小さな組織。 日本語と韓国語の

          他人の苦労はゴマ粒大、自分の苦労は無限大

          怒ってもいい時の条件

          韓国に行って半年後くらい。 大学時代のコーチが、学生数名を連れて、合宿に来た。私の韓国語はやっとこさ中級の入口にさしかかったところ。そんなこともお構いなしに、我がコーチは、私を通訳兼お世話係として起用した。 一緒にプールを使わせてもらうスイミングクラブのメンバーたちに学生を一人ずつ紹介する我がコーチ。 「こいつは、猿っぽいけど、風呂に入りに来たわけじゃないんです。泳ぎます。種目はバック。去る日本選手権では・・・(続く)」 難しすぎる。長い。こんなん、どうすりゃいいんだ。

          怒ってもいい時の条件

          恐怖、警戒、嫌悪、攻撃が出たら、「私が知らないだけじゃないか?」と問うてみる

          韓国に到着して、まだ間もない、とある週末。 部屋でひとり、テレビを見ていた。 軍隊にいる息子たちが、家族に送るビデオレターが流れている。もちろん、ほとんど聞き取れない。 ところが、突然、聞き取れる言葉が流れてきた。「オンマ、サランヘヨ」 当時の私の単語力で解釈すると、 オモニ=お母さん オンマ=ママ サランヘヨ=愛してる つまり、テレビから流れる言葉は「ママ、愛してる」だ。 何十人という韓国の息子たちが、次々に「ママ、愛してる」である。「ママ、愛してる」「ママ、愛し

          恐怖、警戒、嫌悪、攻撃が出たら、「私が知らないだけじゃないか?」と問うてみる

          人は時に、極端な一般化をしてしまう

          韓国に赴任して、しばらくの間、なんとなく疑問に思っていたことがある。会社では、毎朝9時から接客用語を唱和していた。 「いらっしゃいませ」 「かしこまりました」 「少々お待ちくださいませ」 「申し訳ございません」 「お待たせいたしました」 「ありがとうございました」 うちは、いわゆる接客業ではない。 「いらっしゃいませ」を言う機会はない。 なぜだろう?と思いつつ、まあ、挨拶は大事だしね、と流していた。 ある時、前任者と話をしていて、その謎が解けた。 社員の遅刻があまりに

          人は時に、極端な一般化をしてしまう

          動機なんて何だっていい

          1997年、クリスマスのちょっと前。 私は初めて韓国という国に行った。 別に行きたかったわけじゃない。 所属していた水泳部のコーチが、韓国で合宿をするというから、仕方なく行った。 ニンニクもネギもタマネギもニラも、辛いものも全部、苦手。スーツケースに、わかめラーメンとシーフードヌードルを詰め込んで行った。 宿泊先のホテルにある時計と、私の時計の差は5分。韓国と日本は近いから、時差は5分なんだな〜と解釈した。 翌朝、ホテルの時計に合わせて、集合時間の6時に行ったら、怒ら

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          自分には思い込みがあると認識しておけば、イラッを少し減らせる

          1年ほど前の話である。通勤途中で同僚A氏に会った。「ちょっと聞いてよ!」朝からかなりご立腹である。 うちの会社では、年に数回、海外拠点から10人ほどが集まり、1週間のトレーニングを行う。彼女はその担当だった。ホテルの手配から食事の手配まで、すべて彼女が行っていた。 そのトレーニングに参加予定の韓国人K氏から、こんなお願いをされたという。 「自分の出張に合わせて、週末に妻と義母も東京に行く予定だ。最後の1泊+週末2泊、畳ルームを手配してほしい。」と。 畳ルーム、Tatam

          自分には思い込みがあると認識しておけば、イラッを少し減らせる

          言葉を分解する腸内細菌

          とある年のクリスマス in 韓国。女3人で、イタリアンレストランへ行った。日本人2人、韓国人1人、切ない女たちのクリスマスランチ。 生牡蠣が出た。私は30数年の人生で、一度も牡蠣を食べたことがない。生モノ全般があまり好きではなく、あの見た目もちょっと苦手。でも、クリスマスだし〜と初挑戦してみた。 ふ〜ん。まあ、食べられないこともないな。食べず嫌いを克服し、私も成長したものだ。と自己満足していた。 翌日の夕方、残業していた私は、体の力が抜けてしまって、立てない。何かがおか

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          誰かのフツ〜の日常は、誰かに癒しを与える

          この2ヶ月ほど、在宅勤務だから、ずっと家にいる。お隣さんも同じ様子。チラッとシルエットを見たことはあるが、会ったことはない。 彼女の朝は、8時のアラームから始まる。 15分後、もう一つ別のアラームも参戦。 2つのアラームの協演が1時間ほど続く。 10時過ぎから、ピロピロピロンと電子音。 そして、名前は知らないが、アイドルの歌。 その後は、お笑い芸人の声と彼女の笑い声。 たまにサスペンスドラマ。 そして、ごくごくたまに、中国語教材の音声とリピートする彼女の声、5分。 夜にな

          誰かのフツ〜の日常は、誰かに癒しを与える

          他人が変われば、自分も変わる

          海外に行くと、身振り手振りが大きくなっちゃう。底抜けに明るい人間になっちゃうという話、よく聞く。日本を出たら、言葉だけでなく、性格も変わっちゃうというやつだ。 私は日本では、極度に内向的、根暗だった。そんな私が、韓国に行って、底抜けに明るくなったか?NOである。人はそう劇的には変われない。 しかし、ところ変われば、周りが違う扱いをしてくれる、ということがある。たとえば、韓国にいれば、日本人だというだけで、たびたび違う扱いをされる。 つたない韓国語で話せば、食堂のおばちゃ

          他人が変われば、自分も変わる