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自分が頑張っていた頃、聴いていた歌を聴いてみる

昔よく聴いていた、懐かしい曲が聞こえてくることって、けっこうある。すると突然、それを聴いていた頃の感情まで蘇ってくる。

私は韓国から帰国して、もう韓国はいいや。。。と思った。正直、もう関わりたくないなと。だから、実家に置いてあった数十枚の韓国のCDを全て処分した。持っていた数十冊の韓国の本も、全部捨てた。韓国語の辞書も教材も、全て捨てた。

家の中から韓国のモノを一掃し、韓国とは関わりのない仕事を探した。そして、韓国と関わらない生活をしていた。

そんなある日、あちらこちらで、ハナミズキが咲いているのを見た。『ハナミズキ』って歌があったよな。どんな歌だったっけ?とYouTubeで検索した。

いろんな『ハナミズキ』を見て聴いているうちに、ソン・シギョンさんが歌う『ハナミズキ』に辿り着いた。日本語で歌っている。日本語なのに、韓国の歌みたいだ。というより、私の記憶の中にあった韓国の歌が、呼び起こされてしまった感じだった。

私は韓国のアイドルにも、歌手にも、俳優にもハマったことがない。だけど、韓国語の勉強をしていた頃、韓国のCDをよく聴いていた。今はどうなのかわからないが、昔の韓国には、1998年ダンスベストとかバラードベストとかいうCDがあった。そういうCDをたくさん持っていた。

たぶん、その中にソン・シギョンさんの歌が、いくつもあったんだと思う。ドラマの主題歌もあるから、どこかで何度も聴いていたはず。彼は、バラードの皇帝、元祖スイートボイス、バラードの貴公子、鼓膜彼氏などと呼ばれている。その彼が、日本で活動しているとは知らなかった。私にとっては懐かしい日本の歌をカバーしている。なぜか聴きまくってしまった。

日本語の懐かしい歌なのに、韓国の歌みたい。韓国の懐かしい歌みたいだった。何だかよくわからないけど、抵抗できない心地よさだった。気づくと、ソン・シギョンさんの韓国の歌まで聴き始めていた。

で、泣いていた。涙が止まらなくなっていた。ヤバい。。。韓国との関わりの中で、楽しかった時間、充実していた時間、韓国語を習得しようと夢中になっていた時間、そして、その頃の感情が蘇ってきた。

私は、2回目の韓国生活で抱いてしまったネガティブな感情が大きすぎて、それまでの韓国との関わり全てを、ネガティブ色で塗りつぶしていた。そして、全てを真っ黒にしたまま、封印しようとしていた。

でも、よかったことも、楽しかったこともあった。すべてが嫌いなわけじゃない。好きなところもある。好きな人もいる。大切な人もいる。んだった。

それを思い出させてくれたのが、ソン・シギョンさんの歌だった。彼が日本語で歌ってくれていなかったら、聴くことはなかったと思う。だから、日本語で日本の歌をカバーして、自身の歌も日本語で歌ってくれたことに感謝。

こうして、自分が頑張っていた頃、何かに夢中になっていた頃、いや、よかった頃だけじゃなく、苦しかった頃に聴いた歌を久しぶりに聴いてみるのって、いいかもしれない。

過去の思い出は、記憶の中で変化していたりする。でも、その時に感じた感情、というか感情のカケラみたいなものは、意外とそのまま、自分の中に残っている。それを歌は呼び起こしてくれる。今の自分に思わぬ刺激を与えてくれる。そんな気がする。

ということで、私は、いつか飛行機の中で、偶然、ソン・シギョンさんの隣の席になって、お礼を言う妄想をしている。






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