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パニック状態のツバメを見て、思ったこと

駅から家までの道のり。あるお店の軒下に、ツバメの巣ができていた。この辺りはカラスも多い。このままじゃ、糞も落ちるし、危ないと考えたのだろう。店主が巣の下に、受け皿ならぬ、受けボックスを取り付けていた。

その間に、親ツバメが帰ってきた。周囲を飛び回りながら、ピイ〜ピイ〜ピイ〜ピイ〜鳴いている。パニック状態になっている様子だ。小学生くらいの女の子が、「大丈夫だよ、大丈夫だよ。少しだけ待っててね。」とツバメに声をかけている。それでも、ツバメは鳴き止まない。巣の中にはヒナがいるらしい。

私はその場を通り過ぎて、家へ向かった。でも、親ツバメの鳴き声が、耳から離れない。飛び回る姿も、目に焼き付いてしまった。

店主は、お客さんとツバメの親子、両方を守ろうとしていた。だが、親ツバメの目には、そうは映っていない。自分の大切なものを守る姿ではなく、奪う姿として映っていたのだろう。

女の子の「大丈夫だよ、少しだけ待っててね」の言葉が、ツバメに通じていたら、どうだっただろう?それでもやっぱり、ツバメと店主の間に信頼関係がなかったら、同じか。。。

そんなことを考えてしまったのは、親ツバメの姿が、韓国にいた時の同僚たちの姿と重なり、店主の姿がかつての自分と重なってしまったからだ。

私が勤務していた会社は、韓国からの撤退を決めた。一部の従業員と揉めに揉めた。私にとっては、思い出したくない出来事だった。だから、その後ずっと、考えないようにしていた。

なのに、ツバメのピイ〜ピイ〜ピイ〜ピイ〜の鳴き声を聞いて、なぜか思い出してしまった。

結局は、私と彼・彼女たちとの間に信頼関係が築けていなかったんだな。信頼関係がなければ、どんな言葉も行動も、意図した通りに相手に伝わることはない。今さらながら、そんなことを思った。

今朝、その巣の前を通ったら、親ツバメが卵を温めていた。目が合った気がした。関係ないのに勝手に、そこに、そのままいてくれてありがとうと心の中で呟いていた。何だかほっとした。

もう会うことはないけれど、彼・彼女たちも元気でいてくれればと思う。









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