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自分には思い込みがあると認識しておけば、イラッを少し減らせる

1年ほど前の話である。通勤途中で同僚A氏に会った。「ちょっと聞いてよ!」朝からかなりご立腹である。

うちの会社では、年に数回、海外拠点から10人ほどが集まり、1週間のトレーニングを行う。彼女はその担当だった。ホテルの手配から食事の手配まで、すべて彼女が行っていた。

そのトレーニングに参加予定の韓国人K氏から、こんなお願いをされたという。
「自分の出張に合わせて、週末に妻と義母も東京に行く予定だ。最後の1泊+週末2泊、畳ルームを手配してほしい。」と。

畳ルーム、Tatami-roomである。

A氏はアメリカの大学を卒業している。外資系企業を渡り歩き、世界のあらゆる国の人たちと接した経験がある。優しい彼女は、こう考えた。

「奥さんとお義母さんに、高級旅館のような和室で、日本の雰囲気を味あわせてあげたいんだな。」

忙しい合間をぬって、探した。東京にも、あるにはあるが、会社からのアクセスを考えると、どこも厳しい。やっと見つけたと思っても、満室で予約が取れない。けっこう時間がかかったが、なんとか見つけた。

会社からほど近い場所にあるホテル。そこに、外国人観光客向けに設置された和室があった。THE 畳ルーム。眺望も最高である。

これで喜んでもらえるとホッとして、連絡をした。ホテル情報、料金3名1泊=45,000円、合計135,000円也。

K氏からすぐに返事があった。
「NO~! そんなに高いなんて、あり得ない。無理、自分で探します。」

そこで、彼女は大爆発!私の時間を返せ!である。

私も過去に全く同じ経験した。もう痛いほど、泣きたくなるほど、よくわかる。
Tatami-roomの悲劇である。

韓国人が「畳ルーム」と言う場合、2つの意味が考えられる。
ひとつは、私やA氏が考えた「日本の高級旅館にあるような和室」。
もうひとつは、「みんなで床に布団を敷いて寝れる、安く泊まれる部屋」である。そして、私が聞いた「畳ルーム」の95%は後者であった。

しかし、日本人が外国人から「畳ルーム」と聞いてイメージするのは、ほとんどが前者ではないだろうか。金額で言うと、高額路線と低額路線。「畳ルーム」という一つの単語が、正反対のものになる危険性をはらんでいるのだ。

人は、自分が言ったことは、自分が意図した通りに、相手に伝わっていると思い込んでしまう。

でも、聞くときには、自分の経験に沿って、聞きたいように聞いている。頭の中で自動変換している。無意識のうちに、思い込んでいる。

ということを、頭に入れておけば、イラッとする回数を少し減らせる。

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