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動機なんて何だっていい

1997年、クリスマスのちょっと前。
私は初めて韓国という国に行った。

別に行きたかったわけじゃない。
所属していた水泳部のコーチが、韓国で合宿をするというから、仕方なく行った。

ニンニクもネギもタマネギもニラも、辛いものも全部、苦手。スーツケースに、わかめラーメンとシーフードヌードルを詰め込んで行った。

宿泊先のホテルにある時計と、私の時計の差は5分。韓国と日本は近いから、時差は5分なんだな〜と解釈した。

翌朝、ホテルの時計に合わせて、集合時間の6時に行ったら、怒られた。
「初日から遅刻とは、ナメてんのか!」と。
「韓国時間で6時じゃないんですか?」
普段は小心者のくせに、堂々としている。
「朝からふざけるな!」と激怒された。

母校の名誉のために、大学名は明かさないが、
「時差」を理解していない大学生であった。

そんな私が、韓国でモテた。
モテて、モテて、モテまくった。

美人ぞろいの我が水泳部で、なぜか、私だけがモテた。女子は全員が彼氏持ちという我が水泳部で、なぜか、彼氏なしの私だけがモテた。

当然である。あぶれたメスは、一匹しかいないのだから。

しかし、モテ免疫のなかった私の頭の中には、虹色のお花畑が広がった。
あぶれメスの自覚など皆無。

「韓国に行けば、私はモテる!」
幸せな勘違いをした。そういや、この大いなる勘違いが、すべてのはじまりだった。

「モテ」のために、仕事をして、お金を貯めて、韓国へ留学して、また仕事をして、韓国に赴任して、帰国して、また仕事をして、、、今に至る。

「動機は何だっていい。大事なのは、行動と結果だ。」とキレイにまとめるつもりだったが、自分の結果に気づき、愕然とした。

まあ、自分の描いていた結果を得られないこともあるだろう。

それでも、夢がない、やりたいことがない、やりたいことがわからない、と時間を過ごしているよりも、「モテ」を求めて動いていた、あの頃のほうが生きている感じがした。血が巡っている感じがした。

だからやっぱり、動機は何だっていい。心と体のダイエットのためにも動こう。動いていれば、代謝も上がって、心も体も鍛えられる。最近の自分自身への言葉である。

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