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南伊豆

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伊豆半島を一周歩く日本最古の巡礼路の調査・研究の記録。南伊豆編です。
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南伊豆古道を歩く〜子浦ー伊浜ー波勝崎編〜

南伊豆古道を歩く〜子浦ー伊浜ー波勝崎編〜

2022年5月26日。11:00 子浦のいすゞ浜荘に到着。今回も車を停めさせていただき、子浦から北上する。現代と古い地図を比べながら、いすゞ浜荘の小林さんと道のおさらい。ほぼ今の国道が古道と考えて良さそうだ。

この先、子浦ー落居ー伊浜までの海沿いの道は、昭和49年の伊豆半島沖地震で崩落してしまってるので今はない。伊浜ー波勝崎は波勝崎モンキーパーク内に出るのか。野猿の波勝崎から大展望の高遠山を越え

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南伊豆古道を歩く〜波勝崎ー高通山ー雲見編〜

南伊豆古道を歩く〜波勝崎ー高通山ー雲見編〜

2022年5月18日。昨夜未明、突然伊豆にやってきたサトくんと思い立って南伊豆へ車を走らせる。昨年の今頃も一緒に訪れていたエリアを歩くことになった。

伊豆半島屈指の秘境・波勝崎に到着。アクセスは不便だけど、それに相応しい地球の息吹を感じることができる。そして波勝崎と言えば、猿。野生のニホンザルが300匹以上の暮らす、東日本最大の生息地だ。

波勝崎モンキーベイへ行くと、サルの世界を散策したり、人

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南伊豆古道を歩く〜吉田ー妻良ー子浦ー日和山編〜

南伊豆古道を歩く〜吉田ー妻良ー子浦ー日和山編〜

2022年5月7日。子浦の朝。昨日は1日かけて石廊崎から吉田まで歩いた。

昨晩なんて足はくたくた、身体的にもしっかりと疲労があり「充分歩いたから」と自分に言い聞かせ、今日は歩かずに戻るはずだった。ところが、、、

吉田ー妻良

9:40 車は引き続き、民宿いすゞ浜荘の駐車場に停めさせてもらい、小林さんに吉田まで送っていただく。国道から吉田の集落までは奥深く、伊豆半島でも指折りの秘境だ。

朝ごは

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南伊豆古道を歩く〜石廊崎ー中木ー入間ー吉田編〜

南伊豆古道を歩く〜石廊崎ー中木ー入間ー吉田編〜

2022年5月6日。夏休みのようなゴールデンウィークをご縁のあった南伊豆で過ごし、今日から南伊豆古道ロケハンの後半戦が始まる。本日の伊豆半島は無風、凪。あまりにも波がないので、鳥のさえずりだけが伊豆の音として響き渡る。

雨予報だった天気予報と違う朝を迎え、思い立って伊豆半島を南下している。南伊豆は電車がなく、特に南伊豆南西部のバスは路線や時間に限りがあるので、移動は困難が多いのにも関わらず無計画

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南伊豆古道を歩く〜弓ヶ浜ー石廊崎編〜

南伊豆古道を歩く〜弓ヶ浜ー石廊崎編〜

2022年4月22日。朝は富戸の定置網漁船に乗せてもらった。分厚い雨雲は東に流れ眩しい朝日が見えてきた。天気予報を見たら南伊豆の雨マークもなくなったので今日も歩く。

前回からの続き。今回は弓ヶ浜から伊豆半島最南端・石廊崎を目指して歩く。

弓ヶ浜・湊

弓ヶ浜・湊(みなと)からスタート。推定10km。南伊豆の最南端・石廊崎港を目指す。手石(ていし)の山道はすでに通れないことは確認済み。下流(した

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南伊豆古道を歩く 〜下田ー龍宮窟ータライ岬ー弓ヶ浜編〜

南伊豆古道を歩く 〜下田ー龍宮窟ータライ岬ー弓ヶ浜編〜

2022年4月14日。昨日の下田までの道の続きを繋げる。本来は続きから歩き始めたいのだけど、今回はまだロケハンなので効率を考えて下田に帰ってくる逆順で歩くことにした。

前回までの記録はこちら↓

本日の道のりはこちら。推定15km、古道の調査なので西洋普請の恩恵であるトンネルはできる限り通りたくない。明治の地図とGPS地図を合わせて見る限り、今回は山越が2回ある予定だ。

下田駅前の4番バスのり

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南伊豆古道を歩く 〜下田公園ー春日山遊歩道編〜

南伊豆古道を歩く 〜下田公園ー春日山遊歩道編〜

2022年4月13日。伊豆半島は厚い曇天に覆われているが、太平洋上は晴れ間が見える。南伊豆エリアに入る前には、高確率で展望の良い尾ヶ崎ウイングに立ち寄る。今日も良い天気に恵まれそうだ。

今日は大島、利島、鵜渡根島、新島、式根島、神津島が見える。柔らかな風が吹いて、雲は太平洋に流れ、晴れ間が広がっていく。祝福の一日を受け取った。

本日から南伊豆エリアの古道の調査を開始する。2021年6月から調査

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南伊豆町・白水城址〜発掘調査⑥

南伊豆町・白水城址〜発掘調査⑥

昨日、伊豆の考古学者・金子浩之先生から南伊豆最南端・石廊崎にある白水城趾の再度、発掘調査に行くと突然の連絡をいただいた。

発掘調査⑤の後日、更に2日間の調査を行い、成果をマスメディアへのプレスリリースして約1ヶ月が経過した。

少し時間が空いてしまったが、今回は学術的な決着をつけに行くという。

毎度ながら金子先生との時間は伊豆半島を通じて学びしかない。私は明日の計画の優先順位を調整して参加させ

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南伊豆町・白水城址〜発掘調査⑤

南伊豆町・白水城址〜発掘調査⑤

伊東では降っていた雨だけど須崎が見えてくる頃には、覆っていた厚い雲から青空が覗き始めた。寒冷前線が通る直前は南西、通り過ぎると乾いて西風になる。今日は穏やかな海だ。

古文書を読んでみると造船は冬の間に行うことが多い。材木集めは11月まで、12-1月で造船、3-4月に初めて乗り出す。5月に処女航海で江戸へ往く。

伊豆半島の古道を歩いていて痛感するのだけど、陸路は山越えの厳しい地形が多い。伊豆半島

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南伊豆町・白水城址〜発掘調査④

南伊豆町・白水城址〜発掘調査④

本日、最高気温は18°と一気に春がやって来ました。まるで薄雲がかかったような春霞。今日は伊豆諸島は見えません。ほぼ無風、海は凪。穏やかな証拠です。

今日は伊東自然歴史案内人会の小川明美さんも参戦です。発掘調査は東京に住んでいた頃、新宿区の旧都営住宅の建て替えで縄文・弥生の集落跡を掘って以来だそうです。

前回までの発掘調査の様子はこちら

9じ 石廊崎港に集合。時間厳守ではないので途中参加の方も

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南伊豆町・白水城址〜発掘調査③

南伊豆町・白水城址〜発掘調査③

子浦の朝。穏やかな朝を迎えます。集落は、寂れた漁港というよりどこか懐かしさがあります。時間軸は違えど、かつては活気があった地域であったからなのか退廃的な美しさを感じます。

南史会を訪ねた際、かつて子浦は風待ちの港として賑わい、遊郭まであったことを"ころばし地蔵"の話を聞いて知りました。そう言われると、昔の赤線地帯と似た妙な雰囲気があるような気がしてきました。

昔の言葉で「妻良の七坂、子浦の八坂

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南伊豆町・白水城址〜発掘調査②

南伊豆町・白水城址〜発掘調査②

風のない穏やかな小春日和。朝に国道135号線を南下するなら尾ヶ崎ウイングに立ち寄ることをお勧めします。白浜海岸、竜宮島、爪木崎、空気の澄んだ日には伊豆諸島が一望できます。

いつもキレイにお掃除してくださってるトイレもあるので、車を停めて休憩するのに絶好のビューポイントです。

今日は滅多にお目にかかれない三宅島が見えました。澄んだ空気と朝か夕方の斜めからの太陽光、条件が揃うと三宅島は浮かび上がり

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南伊豆町・白水城址〜発掘調査①

南伊豆町・白水城址〜発掘調査①

先日散策してきた石廊崎漁港の東に聳える標高60mの天然の要塞・白水城址。その後、地権者や南伊豆町の教育委員会はじめ関係各所の承諾を得ることができ、いよいよ本日より白水城址の発掘調査開始です。

天気予報では、今年に入ってから最高気温となる16°となっています。しかし、風が強いようなので防寒着も用意して南伊豆にいざ出発です。

伊東市教育委員会の金子浩之先生と合流して南伊豆へ。東伊豆海岸沿いに走る国

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南伊豆町・白水城址〜鷲ヶ岬を歩く

南伊豆町・白水城址〜鷲ヶ岬を歩く

「満月にやって来たな。セーラームーンだな!明日の漁に行くか?」伊豆半島にやって来たことを伝えると、嬉しいお誘いが!もちろん即答です。早朝は富戸漁港の日吉直人さんに定置網漁に連れていってもらいました。ヤリイカ、スルメイカ、サバ、ウルメイワシ、ホウボウなどなど…イカは魚の重量で落ち潰されないよう手網で掬います。網の中を悠然と回遊するキハダマグロの存在感にドキッとしました。

先日、南伊豆町の町史を編纂

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