伊豆半島 山と海の古道を歩く

伊豆半島を一周する古道の調査・研究を記録。ただいま北伊豆エリアを調査中です。伊豆半島か…

伊豆半島 山と海の古道を歩く

伊豆半島を一周する古道の調査・研究を記録。ただいま北伊豆エリアを調査中です。伊豆半島から富士山を歩く祈りの道。

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伊豆峯次第 拝所一覧④〜河津編〜

37.清瀧大権現 38.弁財天女 見高浜の中央から尽き出た岩山の上に鎮守。ウバメガシに囲われた境内は、小さいながらお手入れがよく行き届いており、集落の人柄が鏡のように映されている。 応永12年(1405)江ノ島から移されたとされ、海上安全、安産守護、福寿長久の福神として信仰。地元では「弁天さん」として親しまれる神社だ。牛と蛇の像が印象的、まるで世界の信仰の歴史を顕現させているようだ。 見高を境に、南側は海底火山の噴出物が隆起した地層、北側は陸上火山の溶岩が覆った地層で

    • 伊豆峯次第 拝所一覧③〜東伊豆町編〜

      25.三島大明神/走湯大権現/箱根大権現 伊豆大川温泉の入り口に鎮守する大川三島神社。キレイな鳥居をくぐり、参道の高さ 10 メートルほどの石段を上るとすぐに本殿がある。 大川三島神社の天井漢詩では、禹の治水成果を詠っている。日本における禹王信仰を確認出来る歴史的にも興味深い神社だ。 古代中国における聖君・禹は、中国歴史上の最初の王朝「夏」を創始し、 黄河の治水に成功したと言い伝えられる治水の指導者である。 社殿の正面には立派な龍の彫刻、右側面には薙刀を持っている髯の

      ¥3,000
      • 伊豆峯次第 拝所一覧②〜伊東市編〜

        前回の拝所・熱海市編はこちら↓ 12.天満神 比波預天神社(ひはよてんじんじゃ)は創祀の年代は不詳。宇佐美で一番古い神社である。 平安時代に編纂された「延喜式神名帳」に記されている『加理波夜須多祁比波預命神社』がこの神社だと言われている。祭神については様々異説あり。 境内には古社らしく大木が立ち並ぶ中、一際見事なホルトの木は樹高18メートル、幹周6.9メートル。静岡県指定の天然記念物だ。 ホルトの木は、南関東沿岸部以南の本州から台湾・中国南部・インドシナ半島に渡って

        ¥3,000
        • 伊豆峯次第 拝所一覧①〜熱海市編〜

          1.先達之宿場 伊豆修験の上席とされた円光院が「伊豆峯」の辺路修行の先達を勤めたとされている。『先達の宿場』とあるので円光院と思われるが、現在に円光院は存在しない。 伊豆山村内には円光坊以下、西蔵坊、宝珠坊、円秀坊、歓喜坊、定光坊、常福坊の7坊が散居していた。修験者は半僧半俗の宗教者であり、一般の庶民と変わらぬ生活を送りつつ、伊豆峯辺路の修行などで得た験力を以て、人々の求めにより加持祈祷を行ったり、陰陽師的な活動も生業としていたと知られている。 明治初年の神仏判然令を受

        伊豆峯次第 拝所一覧④〜河津編〜

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        • 東伊豆
          16本
        • 北伊豆
          9本
        • 西伊豆
          12本
        • 富士山
          1本
        • 南伊豆
          17本

        記事

          北伊豆古道を歩く〜日金山ー熱海編〜

          2022年11月10日。本日は伊豆半島一周の古道踏査ラストとなる日金山から岩戸山を経由して伊豆山、走り湯まで約10kmを歩く。山頂から海を目指す、はじめての山登りではなく、山下りコースだ。 9時 伊豆山の走り湯にて待ち合わせ。今日は ATAMI ART EXPO2022で走湯山俯瞰図を発表した清水玲さん、ASH DA HEROサトくんと踏査する。一台は走り湯に駐車して、スタート地点の十国峠へ移動する。 山を越え、海を眺め、人と出会い、歴史や文化を味わう。150年の時を経て

          北伊豆古道を歩く〜日金山ー熱海編〜

          西伊豆古道を歩く〜井田ー江梨編〜

          2022年11月4日。本日は、井田から西浦江梨を直結していたという、現在は消えてしまった約4キロの道を探す。 かつては井田村と江梨村を繋いだ生活道であるから荷馬も通ったはずだと聞いている。西洋普請で大瀬崎への県道が開通してから、廃れていった道だ。 11:00 今回のゴール地点、西浦江梨(にしうらえなし)の海蔵寺で待ち合わせ。今回は伊豆新聞の森野宏尚さん、伊豆半島ジオパーク研究員の辻修次さん、ATAMI ART EXPO2022で「走湯山俯瞰図」を発表した清水玲さんと踏査す

          西伊豆古道を歩く〜井田ー江梨編〜

          北伊豆古道を歩く〜函南ー日金山編〜

          2022年10月20日。雲ひとつない快晴。風もなく、空気も澄んで、季節も丁度良く、山歩きには絶好のコンディションだ。 前回までの道はこちら↓ 函南町平井 8時 伊豆峯次第の255番目のチェックポイント・法伝寺からスタート。本日はいよいよ伊豆修験の総本山、日金山への古道を踏査する。 法伝寺の本尊は延命地蔵菩薩。日金山・東光寺と同じ本尊である。日金山にお参りするときは、必ずこの地蔵堂にお参りし、延命と極楽往生を祈ったという。 祈りこそたましいの呼吸、内なる声に心と思いを

          北伊豆古道を歩く〜函南ー日金山編〜

          北伊豆古道を歩く〜西浦江梨ー大瀬崎編〜

          2021年10月14日。15時 ゴールの大瀬崎に車を停めて、乗り合いジャンボタクシー「ふじみgo!」に乗って東海バスの終点・西浦江梨へやって来た。 西浦江梨(にしうらえなし) 今回は西浦江梨ー大瀬崎を歩く。まず、今まで時計回りに歩いてきたのに、なぜ反時計回りで歩くのかを説明しなければならない。 現代の地図では、井田から大瀬崎は県道17号線によって道は繋がっているが、西浦江梨への道は存在しない。 ところが、明治23年の大日本帝国陸地測量部の地図によると、井田から大瀬崎へ

          北伊豆古道を歩く〜西浦江梨ー大瀬崎編〜

          西伊豆古道を歩く〜戸田ー井田編〜

          2022年10月13日。すっかり季節は移ろいで、ススキが秋の風に揺られている。今朝は空が重い。雨雲は近くまで来てるのかも、なんて思っていたら一粒、二粒。 気づいたら雨が降っていたのでどうなるかと思ったが、車を停める頃にはすっかり雨は止んでいた。 9時 井田(いた)に到着。今回は伊豆半島の北西部、戸田ー井田の道を踏査する。 この区間は公共の交通機関が限られており、電車はもちろん定期運行の路線バスもない。唯一この区間を結ぶのは、デマンド式(予約制)ジャンボタクシー「ふじみg

          西伊豆古道を歩く〜戸田ー井田編〜

          北伊豆古道を歩く〜三島ー函南編〜

          2022年9月30日。朝日の柔らかさも、空気もすっかり秋色に。北伊豆の拠点・沼津キャンプからは、富士山の頭の先はほんのりと冠雪が見えた。 検索してみたら今シーズンの初冠雪。夏から秋、そして冬へ。季節の歩みを感じられる新しい朝を迎え、本日も感謝いっぱいの1日がはじまる。 前回までの道はこちら↓ 三嶋大社 8時 伊豆峯次第の252番目のチェックポイント・三嶋大社からスタート。朝日清々しい境内では、朝の奉仕からはじまる巫女さんの姿に出会い、早速感謝。 三嶋大社は、古くより

          北伊豆古道を歩く〜三島ー函南編〜

          北伊豆古道を歩く〜沼津ー三島編〜

          2022年9月28日。気温23°。秋晴れ。本日は沼津御用邸記念公園からスタートする。まだ園内に入ったことがなかったので、まずは見学してから歩くことにした。 前回までの道はこちら↓ 沼津御用邸公園 到着が開園には少し早過ぎたので、公園の外側を散策。まず目に入ってくるのは、守衛所付きの鋳鉄製の本邸正門。ここから園内には入れない。 園内を囲むようにクロマツ林が植えられている。その中でも一際目立つのが、推定樹齢400年の「根上がり松」。その名の通り根っこが地面から飛び出して、

          北伊豆古道を歩く〜沼津ー三島編〜

          北伊豆古道を歩く〜内浦ー沼津編〜

          続けて読むと伊豆半島一周する。前回の道、西浦〜内浦編はこちら↓ 内浦長浜(うちうらながはま) 2022年9月14日。10時半 内浦長浜の集落を歩く。長浜シーフードの前を通りかかると、準備中の札がかけてあるけどパトランプは点灯している。スナックのような佇まいだけど、安くて美味しい海鮮丼が食べられる穴場のお店だ。営業しているのか? 覗き込むと通常営業していたので、早めのランチをいただくことに。「今日は〝でんでん〟が入ったよ、底魚。しめ鯖とまぐろで作ってあげる。」 後で調べ

          北伊豆古道を歩く〜内浦ー沼津編〜

          北伊豆古道を歩く〜西浦ー内浦編〜

          北伊豆の拠点に宿泊し、富士山村山古道を一緒に登った沼津在住の稲葉くんに、本日の踏査区間まで送ってもらう。 前回は古地図と現代地図を重ねても、馴染む古道が浮かび上がらない、机上の調査の限界を痛感した西浦江梨(にしうらえなし)〜西浦古宇(にしうらこう)間の踏査が完了。 続けて読むと伊豆半島一周します。前回の道、西浦エリアはこちら↓ 今回、踏査するのは伊豆半島の首の部分に面した、駿河湾の奥の院・西浦〜内浦エリア。ロケハンと机上の事前調査により、道はほぼ確定済み。厳しい山道もな

          北伊豆古道を歩く〜西浦ー内浦編〜

          西伊豆古道を歩く〜土肥ー戸田編〜

          2022年9月12日。11:23 道の駅 くるら戸田に到着。戸田交通が運営する乗り合いバスに乗り込む。1日3便、予約のあったダイヤのみ運行する。いわゆるデマンド式の自主運行バスだ。 土肥ー戸田の区間は交通機関がないので大変重宝する。否、厳密には東海バスが運行しているのだけど、中伊豆を経由した路線なのでこの区間は利用しづらい。 当然の事なのかもしれないけど、実践的な地域の助け合い。不便がそうさせるのか、陽が沈む地域だからなのか。毎度ながら西伊豆に来ると、利他をベースにした人

          西伊豆古道を歩く〜土肥ー戸田編〜

          富士山 村山古道を歩く 一日目

          2021年8月5日。2:45 日本写真家協会のフォトグラファー・インテツくんと合流し都内を出発。富士山を目指す。 4:20 御殿場から高速道路を降りると、闇の中に聳え立つ黒い富士山が現れた。見慣れない夜富士の大きさに少しの恐怖を感じつつ。よく見ると日の出を狙う登山者のヘッドライトが、点々と山頂へと連なっていた。 5:01 水ヶ塚駐車場に到着すると、朝日を浴びた赤い富士山が待っていた。待ち合わせた映画監督のゆうだいと合流。数日前、たまたま登山の企画を話したところ、神出鬼没の

          富士山 村山古道を歩く 一日目

          北伊豆古道を歩く〜西浦編〜

          2022年9月7日。真夏のウォーキングは過酷なのでしばらく休止していが、9月に入り一発目。本日より北伊豆の調査がスタートする。午後からは雨予報なので、午前中でどこまで調査できるのか。 今回、踏査するのは伊豆半島の首の部分に面した、駿河湾の奥の院・西浦エリア。事前準備では何度も地図とにらめっこしていたが、古地図と現代地図を重ねても、しっくりくる古道が浮かび上がってこない。机上の調査が進まない、地味ながらこれまでの中でも、指折りの不安要素の多いコースだ。 続けて読むと伊豆半島

          北伊豆古道を歩く〜西浦編〜