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竹の子メモワール

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『中村都夢』氏の小人シリーズが大好きで、中でも頭を出したばかりの筍に2人の小人が両側から寄っかかっているほのぼのとした色紙が1番のお気に入りです。この筍から「成長」「時の経過」を…
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#思い出

久保田利伸さま、ごめんなさい

久保田利伸さま、ごめんなさい

22歳の思い出

大学を卒業した春、私は新聞社の契約社員として勤めていました。アルバイトの女子大生ともすぐに仲良くなって、仕事の合間にこんな会話も。
「昨日の夜ヒット見た?」「はい。いろんな歌手が出ててよかったですよね〜」
「ねー。確かに色んな人が出てたよね。」「はい。」
「久保田利伸って歌上手いね。さすがトンガの人だけあるよね」
「えっ?」「うん?」「トンガ……って」
「そうじゃないの?あのリズ

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3種の神器

3種の神器

自転車通学私は高校時代自転車通学でした。夏は風を切ってとても爽快でしたが、冬は辛いものでした。特に私の母校は早朝7:20から夕方遅くまで授業があるため、暖かい太陽の恩恵を得ることがなかったので、寒さはこたえました。

雨ガッパ
自転車用の雨ガッパは雨を入れないように袖口にはゴム、スカートが濡れないように大きなマチがありファスナーでしっかり閉じることができ、首もギリギリまでハイネックになる程ファスナ

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桜色の光

桜色の光

小学校一年生の時にあったこと....小学校一年生の時にあったことです。私はその頃それ程大きな方ではありませんでした。学校に行くといつも廊下の向こうから駆けてきて、私をしっかり抱きしめる女の子がいました。
その子は「ゆきちゃん」という特別学級の子でした。ゆきちゃんは私と同じ歳だけど、ずっと大きくて力が強くて、抱きしめられた私はいつもそのままでいました。

遠足の時も一番後ろで私はゆきちゃんとしっかり

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発明家

発明家

電車の中で20代前半の頃です。その頃私は編み物を習っていて、その日も大きな荷物を肩に下げ、電車に乗っていました。
特急電車はやはり混んでいて、通路で立っていました。時刻はお昼過ぎ。
丁度後方から強い日差しが差し込んでいる頃。2人席の窓際に座っている男性のお客さんの後頭部に、まるでお茶の水博士のような円形の後頭部にその陽射しが直撃していました。年齢のせいか少々脂ぎった地肌がジリジリとしているようです

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なぜか夏の思い出

なぜか夏の思い出

ピアノレッスン

土曜日の午後、いつものように小学生の私はバス停を降りて、小さな坂を下りほそい道を歩いて、ピアノの先生の家に向かっていました。その時後ろからリズムに乗ってタッタッタっと足音が近づき、あっという間に私を追い越していきました。

それは青いジャージ姿の大学生くらいの男の人です。
「あっ落ちた!」後ろポケットから何かが落ちて、走り寄って拾い上げると、それは4つに畳んだお札の束でした。

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通りすがりの友達

通りすがりの友達

「友達」と一言で言っても....地元の大学に進んだ私は、幸運なことに高校の友達も多く一緒に進学しました。
ただ、同じ学科には高校の友達はいなくて、いつも一緒に行動するのは新しい友達でした。高校の友達も「友達の友達は皆友達」(懐かしい)式で、輪が広がっていきました。
となると、時には高校の友達と新しい友達が混ざることがあります。女子同士は男子には考えられない順応性があって、まるで前からの友達のように

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