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羽毛旅行/エッセー


 逃走中の羽毛のようにふとんが耳をつつむ。かすかに流れる風はやさしく、そのままやわらかく私の内側へ。こころがふわり風船のように飛んでいったら、音のない世界でシャボン玉のように割れた。そのしぶきは、小人の世界で虹をつくり、かれらを喜ばせる(私も嬉しい)。かと思うと水分として私は、自分に湿度があることを思い出す。そうしてある晴れの下で露天風呂に漂う、しろいしろい煙になる。ふゆり、ふゆりといつかの風に揺れてしずかに。

 さあ大きな風が吹いたら、長沼の方まで飛ばされよう。そして富良野へ、空知川の上で泳ぐ、よくわからない砂のような虫になる。キラリと古い雲母が私を呼んだから、それを照らす金色の太陽になった。そうして風をあたためたあとは、きみどり色のタオルケットにつつまれる、まくらの中の、羽毛に還る。



エッセー:羽毛旅行
isshi@エッセー

◎前回のエッセー

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