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【読書感想#13】「知らなかった」は、許されない。背筋が凍る傑作短編集。(ネタバレなし)

【概要】

作品名:噛みあわない会話と、ある過去について
著者:辻村深月
発行所:講談社
発行年:2021年
頁数:223頁
ジャンル:短編集、恋愛、学園

【あらすじ】

大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。
「ナベちゃんのヨメ」
国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」
人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!

【評価】

4/5

【感想】

※ネタバレは含みませんのでご安心ください

本作は、2018年に『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞した辻村深月の受賞後第一作目の作品だ。
「ナベちゃんのヨメ」、「パッとしない子」、「ママ・はは」、「早穂とゆかり」の4つの短編を収録している。
それぞれの物語では、「ある過去」によって生まれた痛みや憎しみを気持ちいいほどに解放させた姿が恐怖を感じさせるほどに描かれている。

これほど感情を揺さぶられる作品はそうないだろう。
読み終わったあと、直感的にそう思った。
それぞれの短編に言えることだが、とても考えさせられる小説だった。自分の今まで生きてきた中で確立してきた価値観や主観的な見方が揺らぐほどに、衝撃を受けた。

本作に関して、様々な口コミや感想を読んできたが、一番多い声が「これはホラーだ」というものだ。
私もまさしくそう思う。
どこがどうホラーなのか、どの部分に恐怖を感じたのかはここでは省くが、肝を冷やすこと間違いなしの作品だ。

辻村深月ワールドの新たな扉を開く鋭利な物語を、ぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。

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