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けがれた者達の歌 春雷

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春の季節に書いた 春の詩と物語の在り処
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#創作

砂煙

砂煙

砂煙が舞い
何かが
蠢いて居る

此の乾いた世界に
蟲達は順応し
進化し続け
巨大化した化物となった

振り上げた
刃は
只の威嚇にしかならぬ

僕の身の内に
もっと力が在ればと…

黒い太陽が狂わせた世界

人間は
蟲達の餌食だ

創作の蟲        #詩

創作の蟲       #詩

創作する者達の中で
創作する理由に
人との関わりを欲して
創作しているなら

気のおける者達が
かなり減った
今の状況は
寂しさを感じる

Xを去ると
決めたなら
止はしないけど

創作する理由に
他に無かったのか?

なんて思う

創作の蟲が疼いたら
また帰って来れば良い

無人の学校

無人の学校

眼が覚めたら
教室にいたんだ…

外に出ようと思って
教室から出たら

異常な静けさに気が付いた

人も鳥も居ない
風も無い

無音だ

怖くなって
直ぐに学校から
出たかったが出られ無い

時計を見ると

短針が無い!?

時の分からぬ
無人の学校で

僕は彷徨い続けて居るんだ

人形

人形

ある日、夢の中で
幼い頃に遊んだ人形が言うんだ

「もう、私の事が可愛く無いの?
私に長い耳が有れば可愛い?
羽根が有れば可愛い?
フサフサの尻尾が有れば可愛いの?」って

夢から醒めると
飼っていたペットの
兎の耳と
インコの羽根と
犬の尻尾が
引き千切られていたんだ

悪魔の魚

悪魔の魚

水面に指先で

言葉を綴っては

息を潜めている

魚に伝える

声が無い魚だから

秘密が他に漏れる事は無いのだ

私の絶対的な下僕なのだ

赤髪の民

赤髪の民

眼に写るのは

海と空ばかり

手に触れるのは

色の無い風と

塩っぱい海だ

海の民は 海風と波任せ

夜空と海の

青と碧と蒼の世界

これだけの

沢山の「あお」の中に居て

「あお」に染まれず

傷んだ髪は

皆、赤髪だ

闇の香

闇の香

闇夜の臭いが僕を誘う

此方に、おいでよ と

闇夜の臭いが僕を誘うんだ

此方側の人間だろう?と

僕を誘うんだ

海鹿(アメフラシ)

海鹿(アメフラシ)

砂が足の裏に刺さる

酷く強い痛みだ

足が有る事の痛みが

大地を歩く事が

こんなに苦痛を伴うとは知らなかったんだ

だからって

今更

海には帰れないよ

海では生きていけないよ

海を捨てたんだ

此の姿が海を拒絶するんだ

二重詩

二重詩

せきがんのあまね
はくせんのかせのみち
こどくのあじ
むじのなきごえ
あまつきとおる

隻眼の天音
白扇の綛の路
孤独の亜児
狢の那き声
天月通る

赤岩の周
白泉の枷の未知
蠱毒の味
無慈の無き越え
天尽き遠流

白尾の者

白尾の者

風に靡く白い尻尾

まるで遊ぼうと

誘われているみたいだ

風と共に

夜空に駆け出し

星に触れて瞬かせ

海に触れて波を起こす

眠り時は

森の奥

月灯りの照らす中

白尾の者は眠るのだ

嘆きの唄 

嘆きの唄 

太陽と月を崇める者達の

嘆きを如何か聞いておくれ

夜空も星も静寂閑雅

黒い太陽の静けさに危惧し

地上の月の灯りに恐れる

侵食するのは悪意の言葉だ

黒い太陽に溜息させるなと

月を満ち欠けさせるなと

青銅の悪魔が嘲笑う

いつかが来るのか 来ないのか

時は刹那に過ぎ逝くだけ

青銅の悪魔

青銅の悪魔

此の世界は

黒い太陽の

一吹きで

全てが消し飛ぶ

脆く弱い

世界だと

青銅の悪魔が謳うんだ

花と舞う

花と舞う

音楽は鳴り止み

その場に私は跪く

静けさが身を包む中

私は手に持つ劔を

鞘に納め

地面にそっと置く

鈴の音が響く中

花の子が持つ花を受け取り

私は花の舞を魅せる

花の子が

風に花吹雪を散らせば

視界が遮られる

それでも

舞う私と

視線が合う者がいるんだ…

月夜の衣装

月夜の衣装

月の光を反射し

綺羅びやかに見える布地

纏えば 月の光の中

捕らえよう

月の光を

此の手の中に

月光の衣装で舞えば

神さえも眼に止めるはず

緩やかな風を味方に付け

長い尾鰭を持つ魚の様に

優雅に舞い続けるんだ